35 / 40
第ニ章
11
しおりを挟む本邸から帰っていつも通りの日常を過ごし、久しぶりにお母さん達に会い気疲れしてしまったから、何時もより早めに就寝してると、騒がしい声で目が覚めてしまった。
「何?誰かが怒鳴ってる声?」
慌てて部屋の外に出ようとするけど、既の所で思い留まる。
今、外に出るのは不味いよね?
もしも私に何かあったら、ミリーの責任問題になってしまう。
カヤならどうでも良いけど、ミリーに迷惑をかけるのだけは絶対に嫌。
どうしよう……………
どうすれば良いのか分からず、ドアの前で立ち止まってると、部屋のドアがノックされる。
「はい」
恐怖で出づらくなってる声を振り絞る。
「ミリーで御座います。お部屋に入っても宜しいでしょうか?」
部屋の前に居るのがミリーだと分かり、緊張していたからだから力が抜ける。
そうだよね………、私を危害を加えるかもしれないものが、部屋をノックしたりするわけがない。
ドアの前から一歩下がる。
「入って良いよ」
「失礼致します。起きておられて良かったです」
「流石にこんなに騒がしかったら起きるよ。それで何が起きてるの?」
今も騒音が聞こえている。
部屋から離れた場所で騒いでるのか、内容までは聞こえてこないけど、女性が怒鳴り合ってるのは分かる。
「それが奥様が乗り込んでこられて、カヤ様と何か問題が起きたようなのです。現状を把握する前にシエル様の安否を確認しに来たので、何が起きてるのかはまだ把握しておりません」
「お母さんが乗り込んできた!?カヤはお母さんを怒らせるような事をしたって事?」
この怒鳴り声はお母さんとカヤの声ってこと?
お母さんが怒鳴ってるのを初めて聞く。
「詳しい状況を確認していますので、シエル様は私が来るまで絶対に部屋から出ないで下さい。私が出ましたらすぐに鍵を閉めて、窓がない部屋の奥にある浴室まで避難してください」
ん?
部屋に乗り込んできたのはお母さんなんだよね?
そんなに警戒する必要があるかな?
「私も一緒に行くよ。私にはアクアが居るから、何かあっても危険じゃないよ」
興奮してる2人の所にミリーだけ行かせるほうが心配だよ。
お母さんはどうか分からないけど、カヤはミリーを嫌ってるから何をするか分からない。
ミリーは少し迷っているみたいだけど、私が1度言ったら中々意見を変えないことを理解してるから困ってるのがわかる。
「絶対に私の前には出てはいけませんよ。何かあったらすぐに近くの部屋に避難してください」
「はーい」
不謹慎かもしれないけど、ちょっとワクワクしてしまう。
何が原因かはまだ分からないけど、これって修羅場ってことだよね?
お母さんとカヤが揉めてるなら、多分原因はお父さんだよね?
お母さんが居ない間に浮気でもしたのかな?
でもあのお父さんが相手するとは思えないけど?
昔は女性関係が派手だったみたいだけど、お母さんと出会ってからは、そんなことは一切しなくなったと聞いてる。
お母さん達がいる部屋に近付くと、揉めてる内容がちゃんと言葉として聞こえるようになる。
「修羅場だね~」
「シエル様!?何処でそんな言葉を覚えたのですか!?」
「うーん、分からない。でも知ってる~」
流石に前世の記憶があるからなんて言えないよね。
部屋のドアを開けると、目の前には凄い光景が繰り広げられている。
「うわぁ~」
酷い………、
これは醜い
お母さんとカヤがお互いに髪を掴み合っていて、カヤの右頬はビンタされたのか赤くなっている。
「謝りなさいよ!!私の男に手を出して、ただで済むと思ってるの!!」
「煩いわね!!この淫乱女!!お前みたいな不誠実な女には、ジェイミー様の妻は相応しくないのよ!!」
「私は不誠実なんかじゃないわ!!皆を平等に愛してるんだから!!泥棒猫のクセに私に歯向かうなんて許さない!!」
やっぱりお父さんが浮気したの?
詳しい内容が分からない。
誰か説明してくれる人…………
本人達に声をかけるのは危険だよね。
詳しい状況が分からずに困っていると、ちょっと離れた場所にボロボロになって倒れてる人がいた。
多分、私達が来る前に2人を止めてた人かな?
この屋敷にはカヤとミリー以外のメイドは居ないから、お母さんについてきた人だよね?
私はボロボロで倒れてる人の近くに行く。
「大丈夫?」
「ん………」
駄目だ。
痛みで意識が朦朧としてるみたい、頭打ったりしてないよね?
「アクア」
「どうしましたか?」
「アクアならこの人を治せるよね?」
「治せますがこの者を助けるのですか?この者は普段からシエル様を馬鹿にしてる者の1人ですよ?」
アクアは普段から自分の眷属である水の妖精や下級精霊を使って、情報収集をしてるから私以上に私の周りに詳しいんだよね。
「それでも治して欲しいの。この人しか今何が起きてるか聞けないと思うから」
「はぁ~~、シエル様がそう希望するなら仕方有りませんね」
アクアはそう言うと、ボロボロのメイドの体を大きい水溜りで包み込む。
えっと…………、大丈夫だよね?
息が出来なくて死んだりしないよね?
私が怪我した時は怪我してる部分だけ、水の膜で包まれるから問題ないけど、今回は怪我が酷いせいだからなのか、大きい水溜りに包んでるみたいだけど、あれは本当に大丈夫なんだよね?
87
お気に入りに追加
375
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。
だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。
それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。
王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!?
けれど、そこには……。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる