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第ニ章

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 本邸から帰っていつも通りの日常を過ごし、久しぶりにお母さん達に会い気疲れしてしまったから、何時もより早めに就寝してると、騒がしい声で目が覚めてしまった。

「何?誰かが怒鳴ってる声?」

 慌てて部屋の外に出ようとするけど、既の所で思い留まる。

 今、外に出るのは不味いよね?

 もしも私に何かあったら、ミリーの責任問題になってしまう。

 カヤならどうでも良いけど、ミリーに迷惑をかけるのだけは絶対に嫌。

 どうしよう……………

 どうすれば良いのか分からず、ドアの前で立ち止まってると、部屋のドアがノックされる。

「はい」

 恐怖で出づらくなってる声を振り絞る。

「ミリーで御座います。お部屋に入っても宜しいでしょうか?」

 部屋の前に居るのがミリーだと分かり、緊張していたからだから力が抜ける。

 そうだよね………、私を危害を加えるかもしれないものが、部屋をノックしたりするわけがない。

 ドアの前から一歩下がる。

「入って良いよ」

「失礼致します。起きておられて良かったです」

「流石にこんなに騒がしかったら起きるよ。それで何が起きてるの?」

 今も騒音が聞こえている。

 部屋から離れた場所で騒いでるのか、内容までは聞こえてこないけど、女性が怒鳴り合ってるのは分かる。

「それが奥様が乗り込んでこられて、カヤ様と何か問題が起きたようなのです。現状を把握する前にシエル様の安否を確認しに来たので、何が起きてるのかはまだ把握しておりません」

「お母さんが乗り込んできた!?カヤはお母さんを怒らせるような事をしたって事?」

 この怒鳴り声はお母さんとカヤの声ってこと?

 お母さんが怒鳴ってるのを初めて聞く。

「詳しい状況を確認していますので、シエル様は私が来るまで絶対に部屋から出ないで下さい。私が出ましたらすぐに鍵を閉めて、窓がない部屋の奥にある浴室まで避難してください」

 ん?

 部屋に乗り込んできたのはお母さんなんだよね?

 そんなに警戒する必要があるかな?

「私も一緒に行くよ。私にはアクアが居るから、何かあっても危険じゃないよ」

 興奮してる2人の所にミリーだけ行かせるほうが心配だよ。

 お母さんはどうか分からないけど、カヤはミリーを嫌ってるから何をするか分からない。

 ミリーは少し迷っているみたいだけど、私が1度言ったら中々意見を変えないことを理解してるから困ってるのがわかる。

「絶対に私の前には出てはいけませんよ。何かあったらすぐに近くの部屋に避難してください」

「はーい」

 不謹慎かもしれないけど、ちょっとワクワクしてしまう。

 何が原因かはまだ分からないけど、これって修羅場ってことだよね?

 お母さんとカヤが揉めてるなら、多分原因はお父さんだよね?

 お母さんが居ない間に浮気でもしたのかな?

 でもあのお父さんが相手するとは思えないけど?

 昔は女性関係が派手だったみたいだけど、お母さんと出会ってからは、そんなことは一切しなくなったと聞いてる。

 お母さん達がいる部屋に近付くと、揉めてる内容がちゃんと言葉として聞こえるようになる。

「修羅場だね~」

「シエル様!?何処でそんな言葉を覚えたのですか!?」

「うーん、分からない。でも知ってる~」

 流石に前世の記憶があるからなんて言えないよね。

 部屋のドアを開けると、目の前には凄い光景が繰り広げられている。

「うわぁ~」

 酷い………、

 これは醜い

 お母さんとカヤがお互いに髪を掴み合っていて、カヤの右頬はビンタされたのか赤くなっている。

「謝りなさいよ!!私の男に手を出して、ただで済むと思ってるの!!」

「煩いわね!!この淫乱女!!お前みたいな不誠実な女には、ジェイミー様の妻は相応しくないのよ!!」

「私は不誠実なんかじゃないわ!!皆を平等に愛してるんだから!!泥棒猫のクセに私に歯向かうなんて許さない!!」

 やっぱりお父さんが浮気したの?

 詳しい内容が分からない。

 誰か説明してくれる人…………

 本人達に声をかけるのは危険だよね。

 詳しい状況が分からずに困っていると、ちょっと離れた場所にボロボロになって倒れてる人がいた。

 多分、私達が来る前に2人を止めてた人かな?

 この屋敷にはカヤとミリー以外のメイドは居ないから、お母さんについてきた人だよね?

 私はボロボロで倒れてる人の近くに行く。

「大丈夫?」

「ん………」

 駄目だ。

 痛みで意識が朦朧としてるみたい、頭打ったりしてないよね?

「アクア」

「どうしましたか?」

「アクアならこの人を治せるよね?」

「治せますがこの者を助けるのですか?この者は普段からシエル様を馬鹿にしてる者の1人ですよ?」

 アクアは普段から自分の眷属である水の妖精や下級精霊を使って、情報収集をしてるから私以上に私の周りに詳しいんだよね。

「それでも治して欲しいの。この人しか今何が起きてるか聞けないと思うから」

「はぁ~~、シエル様がそう希望するなら仕方有りませんね」

 アクアはそう言うと、ボロボロのメイドの体を大きい水溜りで包み込む。

 えっと…………、大丈夫だよね?

 息が出来なくて死んだりしないよね?

 私が怪我した時は怪我してる部分だけ、水の膜で包まれるから問題ないけど、今回は怪我が酷いせいだからなのか、大きい水溜りに包んでるみたいだけど、あれは本当に大丈夫なんだよね?
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