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第ニ章

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 やっとピアノの時間が終わった~~~。

 ピアノって苦手なんだよね。

 片手だけなら問題ないけど、両手になると一気に難しくなる。

 両手が違う動きをするなんて無理だから!!

 この国の王族や貴族は何かしら楽器を弾けないといけない。

 楽器を演奏するのは男も女も一般教養に入っていて、全く扱えないものは落ちこぼれだと言われてしまう。

 楽器を扱うならピアノ以外が良かったけど、勝手にピアノにさせられてしまったんだよね。

 ピアノを選んだのはカヤなんだけど、ピアノを選ぶ前にひと通りお試して弾いてから、1番下手だったピアノを選ばれてしまった。

 絶対に嫌がらせだよね?

 カヤを雇ってるのはお父さんだけど、カヤが仕えてるのは私なんだから、雇い主に嫌がらせするのってどうなの?

 ピアノを教えてくれてる先生が部屋を出て行くのをボーっと見ながら、カヤへの不満を心のなかでいっぱいにしていると、ミリーとカヤが部屋に入ってきた。

「お時間がありませんので、急いで本邸に向かいましょう。ジェイミー様を待たせるわけにはいきません」

 今日もついてくるんだ。

 いつもは私をミリーに任せるのに、お父さん達との食事会の時だけは、カヤが基本的に私のお世話をする。

 お父さんへのアピールなんだろうけど、そのアピールは何の意味もないんだよね。

 お父さんは私に興味ないからね。

「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。お父さん達は予定の時間の1時間後に来るんだから」

 あの人達は時間にルーズだから、誰一人として時間通りに来る人は居ない。

 1番最後に来るのはお父さんとお母さんだけど、その他の人たちも早くても、予定時間の10分後に来るんだよね。

 元日本人の私からしたら、10分前行動が当たり前だから、時間にルーズな人の思考回路が理解できない。

 待たせるより待つほうが気分的にマシなんだけどね。

「何度も言ってますがお父さんではなく、お父様とお呼びください。王族として庶民みたいな言葉遣いは恥ですわ。母親が庶民だと離れて暮らしてても、母親みたいになるのかしら?」

 この人は本当にお母さんが嫌いなのね。

 今でもお父さんをお母さんに奪われたって思ってるみたいだし。

 全くそういう話が上がっていたわけでもなかったらしいのに、思い込みって怖いよね。

 本邸で働いてるメイドさん達の話を聞いて知ったんだけど、カヤはお母さんとお父さんが出会う前に、お父さんの複数人いるセフレの1人だったらしい。

 今ではセフレは1人も居ないみたいだけど、カヤだけが今も執着してるみたいなんだよね。

 カヤがセフレで満足していたことにビックリだよね。

 いや……、満足はしてなかったのかな?

 陰でお父さんのセフレを排除してたのかもしれない。

 バレてもお父さんは気にさなそうだからね。

 カヤがお父さんから厄介者扱いされて、関係を切られる可能性はあっただろうけど、今も使用人として雇ってるなら、カヤは上手くやっていたのかもしれない。

「私が2人をなんて呼ぼうが、本人達が気にしてないから良いんじゃないの?カヤに命令されるいわれはないよ。貴女は使用人であって、私の教育係ではないでしょ」

 私が自分の意見をズバリと言ったことで、ミリーとカヤはビックリする。

 今までは逆らったりしなかったからね。

 今まで逆らわなかったのは、カヤが怖いとかでは決してなかった。

 まだカヤを言い負かす機会ではないと思っていたから。

 私は精神年齢は16歳だったけど、実際年齢はまだまだ幼児だったから、大人みたいに言い負かしても効果はなかったはず。

 大人の真似事をしてるだけだと判断されて終わるだけ。

 それに舌足らずなところもあったから、言い負かしても格好がつかなかった。

 だけど7歳になったからそろそろ問題ないと思ったんだよね。

 7歳はまだ幼いかもしれないけど、自分の意見を言うことだって出来る年齢のはず。

 最近は舌足らずになることもないし、ずっと我慢してたけど反撃するなら今だよね。

 私はもう誰かの言いなりになったり、誰かの犠牲になったりしない。

 神様が私に愛し子って地位を授けてくれたんだから、私は私の好きなように生きる。

 愛し子って地位はそれが許される。

 私は自分の意見を曲げるつもりはないって、意思表示をするようにカヤを睨みつける。

 カヤはカッとしたのか右手を振り上げる。

「その手をどうするつもりなの?私に危害を加えることは、アクアが絶対に許さないよ。貴女は水の精霊王を敵に回すつもり?」

 私とカヤの間に水のシールドが現れる。

 水だから簡単に通り抜けそうなのに、このシールドはどんな攻撃も通さないんだよね。

 カヤは顔を真っ青にして完全に戦意喪失する。

 アクアは普段は姿を消してるから、私に水の精霊王がついてることを忘れられがちなんだよね。

 今はこのぐらいにしておこうか。

 カヤに辞められたらそれはそれで困るからね。

 補充出来る人員がここには居ないからね。

 食事を運ぶことしてしてないけど、居ないよりは良いと思うしね。

 ミリーをあまり本邸の使用人と接触させたくない。

 あそこの人達は妾の子であるミリーを馬鹿にしてる人が多いから。
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