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第一章
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しおりを挟むシャボン玉の周りが光に包まれて、気が付いたら水の中に戻っていた。
どうすれば良いの!?
泳げないから陸に戻れないんだけど!!
水の中にいるのに、シャボン玉は壊れることなく存在している。
突っついたら割れるかな?
好奇心に負けて手を伸ばそうとする。
「それは止めた方が良い。外からの衝撃には強いが、内からの攻撃は弱いですから」
『ばぁう!?(誰!?)』
あれ?
喋れない?
さっきまであんなに流暢に喋れていたのに………
あっ!!
神様があの空間だけ特別だって言ってたっけ?
そんな~
また言葉に不自由な生活に戻るの………
「えっと…………、説明したいんですけど大丈夫ですか?」
知らない男性が居たんだった。
『ばぶぅー?(貴方は誰?)』
「私は水の精霊王です。神に姫様のことを説明してこいと指示を受けました。地上で姫様が困ったことがあったら、私が直接守るように指示をされています」
『ばぁ~ぶぅ~~あぁ~?(貴方が私を守ってくれるの?)』
「私が姫様の護衛の争奪戦で勝ちましたので、基本的に私が姫様の事を守らせてもらいます。姫様は7歳になるまでは、神と会話が出来ないので、その間は私が姫様と神の仲介役になります。」
………何で私の言ってることが分かるの?
精霊王って超能力者?
精霊王が私の護衛って凄すぎじゃない?
神の愛し子ってそんなに凄い存在だったんだ。
「姫様の言葉が分かるのは、私が姫様の心を読めるからですよ。勝手ながら姫様と契約をさせていただいので、姫様の心の声や居場所が勝手に分かるようになってます」
えっ!?
私にプライバシーはないの?
居場所が分かるのは、私の安全を守るためって考えたら納得出来るけど、心の中を読めるのは反則だよね?
今は喋れないから有り難いかもしれないけど、私が思春期になった時に絶対に嫌なんだけど
今もちょっと嫌な気持ちのほうが大きい。
「申し訳ありません。でも人間と契約した精霊は、全員が契約主の心を読む能力があります」
それに拒否権はないの?
「残念ながら………、精霊と契約するような人は、心が綺麗な人が多いせいなのか、我慢強い人が多いんですよ。そのせいで精神を壊してしまう人が多いので、神が私共にこの能力を授けてくれたんです。契約主が壊れてしまうのは私共も辛いですから」
うーん、精霊と契約出来る人は心が綺麗な人が多いのか。
私は神様の指示で契約してるみたいだから、心が綺麗って言うのは関係ないよね?
「姫様はとても心が綺麗ですよ?姫様と契約したい精霊王は多いですからね。でも姫様は神の愛し子ですから」
えぇ~、私はそんな大層な存在じゃないんだけど、精霊王ってとても偉い人たちだよね?
そんな存在達に特別視されるの違和感しか無い。
『あぁ~う?(契約って何?)』
「契約は加護を与えたものと魂を繋げる行為を言います。契約することで、契約主の健康状態や精神状態が分かるんです。居場所や心を読むことが出来るようになるんですよ」
健康状態もわかるんだ。
自分が気が付いてない病気も分かるのかな?
「勿論、分かりますよ。姫様は健康体ですね。精神面も安定してるみたいで安心してます。仕方ないとはいえ、あんな親の元に生まれるのは、私共は心配だったんです」
精霊王にも心配される親ってどうなの?
精霊にも評判が悪いんだ。
「とても悪いですね。聖女には普通は光の上級精霊がつくのですが、あの者には誰もつきたがらないので、今も精霊の加護を所持してないんですよ。だから回復魔法も弱いですね」
それって聖女として大丈夫なの?
聖女の役目がどんなものか知らないけど、役立たずなのにあんなに偉そうなの?
「人間の考えてることは分からないですけど、今も聖女として地位があるみたいですから、あれでも問題ないんでしょうね。姫様が聖女として認められたら、お役御免になると思いますけどね」
私って聖女になるの?
面倒臭くて嫌かも
それに私が聖女になって、あの人がその地位から降ろされたら、絶対に逆恨みしてきそうだよね?
自分が努力してないのが悪いのに、逆恨みされてもしも殺されかけたりしたら、私って不幸すぎない?
「そんなことは私達がさせませんよ。姫様は我々が絶対に守りますから。それでは説明も一通り出来たと思うので、そろそろ皆さんのところに戻りましょうか?ここは神が居た空間と違って、普通の時を刻んでますから」
お願いします。
それと姫様ではなく、シエルって呼んでくれると嬉しい。
神様が私のためにつけてくれた名前だから、この名前を気に入ってるんだ。
「畏まりました。シエル様、これからよろしくお願いします」
貴方には名前はないの?
水の精霊王って言うのは種族と地位でしょ?
「精霊には名前はありません。人間と契約して名前を付けられるものも居ますけど、水の精霊王は私一人なので名前の必要性がないんですよ」
精霊王が沢山いるわけないもんね。
それぞれの属性に1人だけなら、名前をつける必要性がないか。
でも水の精霊王では味気ないよね~。
これからお世話になるみたいだし、名前で呼びたいけど勝手に付けて良いのかな?
「私に名前を付けてくださるんですか!!」
良いの?
「勿論です!!シエル様から名前をつけていただけるなんて光栄です」
大袈裟だな~
う~ん、水の精霊王の名前か………
アクアってのはどうかな?
「ありがとう御座います!!皆に自慢ができます。今日から私の名前はアクアです!!」
喜んでくれたなら良かった~
『ばぁ~~う~(これからよろしく~)』
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