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第一章

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 ……てことは、私はこの世界に転生してくれたあの神様の子孫ってこと?

 偶然?

 それとも狙って今の親の子供として転生させた?

「お伽噺として有名ですけど、あれは全て事実の出来事です。1000年以上前の話にはなりますが、王族に神の血が流れてるのは本当です」

「そうなんですね。何か色々と納得出来ました。だから王族の中にたまに神の愛し子が誕生するのですね」

 愛し子………

 そういえばあの神様が私は愛し子だって言ってたけど、それって前世だけの話なのかな?

 それとも今も愛し子?

「王族って本当に凄いんですね~、でも姫様は愛し子ではないみたいですね。愛し子は滅多に現れないからそれが普通ですよね~、でも姫様は聖女様とジェイミー様の娘だから期待してたのにな~、残念~」

 今回は愛し子じゃないんだ。

 面倒臭いことにならなそうで良かった気もするけど、見放された気がしてちょっと複雑かも。

「まだわかりませんよ。神殿に行かないと愛し子か判断が出来ませんから」

「え~?でも愛し子様はピンクの髪に水色の瞳って決まってますよね?姫様は黒髪に黒い瞳ですよ~」

「これはあまり知られてませんけど、王族が神殿に行くのは愛し子かどうか確認するために行くんです。愛し子だったら神様が名前を決めてくださいます。名前を贈られるのと同時に愛し子様の容姿が変わります。ですから王族は神殿に行くまでは名前を決めてはイケないんです」

 ………ファンタジーだ。

 急に髪の色と瞳の色が変わるの?

 元日本人としては、黒髪の黒い瞳がしっくり来るんだけど、贅沢は言えないよね。

 この世界はファンタジーの世界みたいだし、日本人みたいな容姿は目立つよね?

 産婆やメイド達も明るい髪色をしてるから、多分あれが普通なんだよね?

「では私は聖女様のところに戻りますので、姫様のことは任せましたよ」

「はい!!」

「は~い」

 産婆は私の顔を1度見てから、名残り惜しそうに部屋から出て行った。

 私は綺麗に整えられたベットに寝かされる。

 おぉ~、とても寝心地が良い!!

 肌触りもサラサラで幸せ~

「やっと出て行ったわね。ババアが何時までも居座るんじゃないわよ!!」

 えっ!?

 誰?

 キョロキョロ周りを見ると、さっきまで間延びした喋り方をしていたはずなのに、カヤと言うメイドが別人みたいになっていた。

「お姉様、姫様の前でそんな喋り方をするのは………」

「お姉様なんて呼ばないで!!私はお前を妹なんて思ってないわ。お父様が気まぐれで作ってしまった出来損ないが、私の妹なんて認めないわ」

 二重人格なの?

 さっきと全然性格も話し方も違うじゃん。

 姉妹で仲良いのかと思ってたけど、違ったみたいね。

『あぶぅ~、ぶぅ~ぶぅ~』

 喧嘩は駄目なんだよ~

 父親が不倫して出来た妹が憎いのかもしれないけど、この子には罪はないのに可哀想だよ。

 でもこんなに嫌ってるのに、何で同じ職場で働いてるんだろう?

 候爵令嬢なら働かなくたって問題ないよね?

 まさか嫌がらせをする為に同じ職場に来たの?

「煩いわね!!だから赤ん坊は嫌いなのよ!!何言ってるか分からないし、何考えてるの分からないから気味悪いのよ!!」

 なら何で私の専属メイドになってるのよ。

 他の担当にしてもらえば良いのに、私だって私を嫌ってる人にお世話してもらうなんて嫌なんだけど

「カヤ様!!姫様に対してそんな態度は許されません。姫様は王族で聖女様の娘なんですよ」

「聖女の娘だから何なのよ。それに暴言を吐いても何も理解してないわよ。お前が誰にも言わなければ問題ないわ」

 理解してるから!!

 自由に行動できるようになったら、お前なんて専属から外してやる!!

「姫様は愛し子かもしれないんですよ!!それに聖女様の娘なんですから敬わなければいけません」

「お前が私に指図をするな!!お前は私がジェイミー様に近付くために、お父様にお願いして引き取らせたのよ。お父様にお願いしたらお前の子供を消すことだって出来るのよ」

 酷い!?

 お姉さんの子供を人質にするなんて性格悪すぎでしょ。

「私が姫様の乳母になったら、私の子に何もしないって契約したはずです!!」

「契約なんて破るためにあるのよ。契約が契約として機能するのは、同等の身分の時だけよ。良い勉強になったわね」

 うわぁ~、悪役の中の悪役ね。

 契約は守るためにあるに決まってるじゃない。

 お姉さんは絶望して涙を流す。

 今の私には彼女を慰めることも、助けてあげることも出来ない。

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