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抱いているのは……

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 いつからだろうか。何が誰がきっかけで自分は性行為に対して抵抗が無くなってしまったのか。そんなことを頭の片隅に置いたまま、佳織は今日も秘密の仕事をする。山野辺邸に着くと、いつも通りもはやルーティンとなっているが、椎名により寝室に案内され今日は服を全部脱いで裸になるように指示をされた。

「……分かりました」

 椎名にも従順になってしまった佳織は口答えすることなく、着ている服を全部脱いで一糸纏わぬ裸になった。佳織の身体には無数のキスマークや歯型が付けられている。

「アンタも随分と派手な身体になったもんだ。まあ、俺が言えた口じゃないが」
「っ……」
「こっちに鏡がある。来い」

 部屋には全身が映る鏡があった。佳織は自分自身の身体をまじまじと見て赤面した。

(私、こんなに痕付けられてたの!?)

 椎名が佳織の背後から腕で佳織の身体を支えた。

「椎名さん……?」
「あーあ…俺が以前付けた痕は消えちまったか……」
「ふっ…ああんっ」

 佳織の裸体を指でいやらしく触る。

「胸が小さいの良いよな」

 そう言うと佳織の小ぶりな乳房をやわやわ揉み始めた。ツンと乳首が屹立するのはお約束だ。椎名がそれを見逃すはずがなく、乳首を突いて抓って引っ張る。

「客に抱かれる前に乱れてみるか?」

「ぃやぁんっ…」
「嫌じゃないだろ?嬉しいだろ?なあ……」

 椎名は触るのを止めない。

「ひ、あッ…やらぁ……」
「嘘つくな、よ!」

 ギュッ!

「アァァンッ!!」
「おいおい。乳首だけでイクなよ」
「はあ、はあ、はあ……」

 乳首を強く引っ張られた佳織は呼吸を整える。休息など与えられるはずがなく、椎名の手は胸からお腹へするする移動していく。

「ひえっ…」

 腰回りを触られるとくすぐったかった。手が無毛の陰部に到達すると、身体がビクンとした。

「濡れてる。はー……客が来る前だってのに。これ以上やると客からクレームきそうだから止めとくわ」

 佳織から離れた椎名は、今日の接待の準備を始める。

「ベッドに仰向けになって」

 佳織はベッドに上がり、仰向けに寝た。すかさず両手と両脚をソフトカフスで拘束される。カフスの先はチェーンになっていてベッドの支柱に繋がっている。緩く拘束されているので完全に身動きが取れない訳ではない。両手はバンザイの恰好で脚は陰部が見えるような体勢で、しかも裸というのが羞恥心に刺さる。

「凄い恰好だな。俺がさせたんだけど。で、仕上げはコイツ」

 黒のアイマスクだった。佳織の視界は遮られた。

「気分はどうだ?」
「何か変な感じです。実は以前にも似たシチュエーションは経験しているんですが……」
「こういうの経験済みとか、どんだけ淫乱なんだよ」
「っ、仕事です!仕事!」

 恥ずかしくなってつい言い返してしまった。

(そうよ。仕事、仕事。これは仕事なんだから)

「それじゃ客呼んで来るから。このままイイ子で待っていろよ」


 寝室の扉が開いて、相手が入って来たのが感じ取れた。佳織からは相手が男なのか女なのか年齢も分からない。唯一分かっているのは性癖だけだ。こういう目隠し拘束プレイが好きなことだけだ。

 ベッドに相手が座ったのが佳織にも分かった。相手の手が佳織の裸体を撫で始めた。

「ふ、ぅん……」

 可愛い声で啼いたが、相手は何も言わない。首、鎖骨、胸、乳首は撫でるだけだった。

(やっぱり変な感じがする……)

 相手の指先は潤んだ蜜口へ。陰部も撫でるだけなのかと思った矢先のこと、指は躊躇なく中へ侵入した。

「ぁ……ひあッ」

 じゅぽじゅぽと二本の指で膣を掻き回される。

「あっあっ…んん゛……ッ…やぁんっ…あはっ…ひぃん!」

 相手の動きがピタっと止まった。

(え…何で…私、失礼なことした?もしかして喘ぎ声で引かれた?)

 だが佳織が心配することなく、手が動き出した。

(ああ…良かったわ……)

 唇からひっきりなしに嬌声が零れて止まらない。声を抑えると苦しいのを知っているから、どんなに恥ずかしくても素直に喘ぐ。

「ん……っんうッ…おおッ…お゛ー…ふぅ…んお゛ぉ…」

 接待相手によっては色気のある喘ぎ声が好きな人、対して変態な喘ぎ声が好きな人がいる。この人はどうなのだろう──佳織はそんなことも考えていた。

「あっあっんっ」

 指が膣内から抜けていく感覚が切なくてきゅう、と媚肉を締め付けた。

(もっとナカを弄ってくれても良かったのに。残念…)

 レロレロ…チュッ、チュッ……

 相手の動きが手から口、舌に変わった。陰部を舐められてまた手とは違う快楽を与えられる。

「はぁん……っ」

 じゅるっじゅるじゅる!!

「ふぁっ…ああんっ」

 恍惚とした溜息が勝手に漏れる。剥き出しのクリトリスを吸われれば「イクッ~~!」と叫んでしまう。色っぽさと淫乱で変態の差が激しいのも佳織の特徴だった。椎名曰く、こういったのが好きな客は多いらしい。アブノーマル好きというやつだ。かつて椎名の同僚は佳織と同世代の女だったが、変態要素の多いプレイが耐えられなくなり秘密の仕事を辞めたとのことだった。

「ふ、うぅ……んお゛ぉ…あっああ゛ッ…はー……んう゛!!」

 目隠しをされているから相手がどんな顔をしているのか分からない。ただ相手の表情を想像するだけで興奮する。

(いやぁん。私……本当に変態だわ)

 佳織は頬を赤らめていた。少しして脚をM字に開かれた。相手の指でくぱあと陰部が拡げさせられ外気にあたりスースーした。

(挿れるの……?)

 蜜を零す入り口に宛てがわれた先端は驚くほど熱く、硬かった。

(おち〇ち〇……こんなに硬いのは久しぶり…ああんっ!)

 ペニスが中へ侵入する度に、佳織の身体がビクビク跳ねた。

「はぁ…んっ…」

 ズチャッ…ズチャッ…ズチャッ…

「あぁ…ん…はぁ…はぁ……」

 パンッパンッパンッパンッ!

 規則正しい律動の音が妙に心地良い。

「…あぁ…ん、そこぉ……」

 佳織は腰を突き上げて相手におねだりする。自分が感じる箇所をもっと突いて欲しかった。今のままでは物足りない。

「あぁ…はぁっはぁ…あぁ……っん…」

 イケそうでイケない。アイマスクで目隠しをされて両手両足を拘束さている──他者から見ればエロティックなシチュエーションにも関わらずだ。どうしてイクことができないのか。佳織はイきたくてむずむずして下から腰を打ちつけた。

 バチュンッ、バチュンッ、バチュンッ!!

「あんっ…」

 この仕事は相手の意志を尊重する。しかし今の佳織は自分がイきたかった。理性より本能のままに身体が動いてしまった。

「アッアッアッ、ハァンッ!!」

 さっきまでと打って変わり、生々しい水音が大きくなった気さえする。男と繋がっている下半身に熱が集中する。相手が思い通りに動いてくれないのなら、こちらから動くしかない。

(あ"あ"っ…はぁ…うんっ…おチ○チ○、気持ちイイのに、イケない…イきたいのにぃ)

 グチャッグチャッ!

「あっあっんお゛っ、あ゛ッ、あ゛ッ…イきたいよおおおっ!!」

 ズチャッ、パンッ、パンッ、バチンッ、バチンッ!!

 佳織は激しく腰を振り続けた。すると耳元にふうっと息を吹きかけられた。この生温かい息はどこかで感じたことがあった。

「いやらしい女だ」

 それは聞き覚えのある声だった。


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