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初めての接待

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「二宮。接待に行くぞ」

 定時後に早乙女が、佳織に付いて来るように言った。ビルの地下駐車場には、タクシーが待機していた。

「お疲れ様、二宮さん」

「社長……」

 氷室が柔らかい笑みを顔に浮かべていた。三人はタクシーに乗る。助手席に佳織が、後ろに氷室と早乙女が座る。

(気が重い。確か、今日の接待相手は、情報通信業の大手企業経営者の三輪様──最初から大物だわ)


 接待相手の三輪が待つホテルに到着すると、エレベーターでそのまま部屋へ向かう。部屋に着くと、身なりのいい中年男性が三人を迎えた。

「どうぞ、さあ入って入って」

「三輪様。失礼致します」

 まずは氷室が挨拶し、早乙女と佳織が後に続いた。

(うわ、部屋広い! え、高そうなワインやシャンパンが置いてある)

「これが秘書の二宮です」

 早乙女に紹介されて、佳織は深くお辞儀をした。

「ふうん。君がねえ」

 頭の頂上からつま先まで舐め回されるように視姦されて、佳織の背筋をぞわりと悪寒が駆け上がった。

(怖い──っ)

「とりあえず、まずは乾杯でもしようか。ワインはいけるかい?」

 三輪が年代物の赤ワインのボトルを見せた。

(いかにも高級ワインって感じ。三輪様、ワイン好きなのかしら。確か年齢は40代後半だったはず……)

「いただきます」

 氷室がワイングラスを受け取る。

「二宮さんはどうする?」

 氷室に突然訊かれ、ビクッと身体が跳ねた。

「え、あっ、わ、私は……遠慮しておきます」

 酔っ払って接待どころで無くなったら、会社のメンツが丸潰れだ。すると氷室がすまなそうな表情をした。

(どうして、そんな顔をするの……?)

 佳織は氷室がますます分からなくなった。これまでに見てきた冷酷な顔、穏和な顔、ニコニコ微笑んだ顔──どれも氷室なのだ。

「ごめんね、二宮さん。三輪様、ソフトドリンクはありますか?」

「ああ。そうだね……」

 三輪が冷蔵庫を開けて「緑茶とジンジャーエールそれからオレンジジュースがあるよ。何が飲みたい?」と佳織に笑みを向けて訊ねた。

「あ、で、では……緑茶でお願いします」

「りょーかい。にしても、君は真面目だねえ」

 リビングでは会社経営者同士の堅苦しい話というより、世間話ばかりしていた。佳織も話にはついていけたが、これからの接待のことばかりが脳裏に浮かび、笑みを取り繕うので精一杯だった。緑茶もほとんど飲んでいない。


「そろそろいいかな」

 チラリと三輪が佳織を見据えた。

「はい」と氷室が落ち着いた声で答える。

「二宮は今回が初めての接待になります。美輪様に失礼が無い様に、お部屋にも私が同席させていただきます」

(専務が!?)

「ああ。それは構わないよ」

 怖い──でも逃げたらあの淫らな動画を公開されてしまう。どちらに転んでも佳織にとっては最悪の展開だ。

「愉しめそうだ」

(っ……)

 氷室は寝室には入らずにソファに座ったままだ。

(あ……社長は一緒じゃないのね)

 そおっと佳織が氷室を見ると、彼は顔色を変えずにワイングラスに口をつけていた。氷室は佳織と視線を合わせようともしない。

「固くならないで、リラックスしてよ」

「三輪様。は、はい……」

 そう言われてもリラックスできる状態にはない。今から性接待をするのだから──

 寝室へと続くドアを開けると、佳織の目に真っ先に飛び込んできたのは真っ白なベッドだった。

(本当にここで私──)

 寝室には大きな窓があり、都会の夜景を一望できる。だが今の佳織に夜景を楽しむ余裕などはない。


「ぁっん……」

 ワンピースの上から胸を掴まれて、思わず声をこぼす。隣にいる三輪がこれから始まる期待を隠せずに舌なめずりする。

「色っぽい声だね」

 佳織はベッドに身体を投げ出されて、三輪が覆い被さる。

 ギシッ……!

「み、三輪様……っ、んんっ」

 強引に唇にキスをされて、舌が口内に侵入する。

(やっぱり、こんなの嫌ぁ……!)

 佳織が抵抗する素振りを見せると、少し離れた場所から「二宮」と悪魔の声がした。

「三輪様のご要望には必ず応えるんだ」

(専務!? そ、そんな……!)

「二宮。舌を出せ」

(ああ……もう逃げられない──)

 佳織は早乙女の言われた通りに舌を出した。三輪の舌と絡まり、ぴちゃぴちゃ卑猥な水音が鼓膜に響く。獲物を貪るような深い口づけ──おかしくなりそうだった。

「はぁん……」

 いやらしいだけのキスだけで、甘い吐息が零れる。

「あ……んん…」

 着ていたジャケットは簡単に脱がされ、ワンピースも背中のジッパーを下ろされて、上半身はブラジャーだけの姿になってしまう。

「ほう。胸の形はいいな」

 三輪のゴツゴツした手がブラジャーの中に入り、胸のふくらみを弄ばれる。

「あん…あっ…!」

「感じているのかい?」

「…っ、は、はい……」

「ここは?」

 ぎゅうっと乳首を捻られる。

「ああんっ!」

 身体に電流が走ったようだった。

「ここは女なら誰でも感じやすいんだ」

 両乳首を指で弄って摘んで押して捻る。

「あぁ…あん…あん…あっ……はぁ…」

 ブラジャーを上げて胸が露になる。尖った乳首を舐めてカリッと噛んだ。

「はぁんっ…やんっ…あぁ!!」

 胸だけで強い刺激が佳織を襲う。

(私、どうなってしまうの──!?)


 ビリッ、ビリッ……!!

 ストッキングを破かれる音がした。

「下はまだ触っていないのに濡れているじゃないか」

「…っ」

「君は淫乱なのかな?」

 グッと三輪の指がショーツ越しに充てられた。

「ああっ!!」

「こんなに濡れているんだ。下着が役に立っていないんじゃないか?」

 グリグリ強く指を押し付けてくる。

「はぁんっ……!」

 ビリッ…ビリッ…ビリッ…

 パンティストッキングの空いた穴が、更にビリビリと広げられる。

「下着。下げていいかな」

「はい……」

 ショーツを足首まで下げられて、秘部が外気に晒された。

「ほう。ここの毛は整えているんだね」

 満足そうに笑う三輪。佳織は答えるのが恥ずかしくて何も言えなかった。

 クイッ…

「ぁん…!」

 指ピストンで膣内をグチャグチャ犯し始めた。

(何これ、指だけでイキそう!!)

「はははっ、いやらしいな! 指が何本入るか試そうか」

 二本、三本と指が増やされる。

「あんっ、やだぁっ、だめぇっ──!!」

 三輪の指の動きに合せて、佳織の腰がくねくね動く。そして三輪の指が最も敏感な箇所を押したその時だった。

「あァッン!」

 佳織は腰を反らして、指だけでイカされた。

「まだだよ。ここはどんな味がするかな?」

 大の字になった佳織。イったばかりで動くことができなかった。三輪は佳織の秘部に顔を寄せて、溢れる愛液を舐める。

 じゅる…じゅる…じゅっ…

「んっ…あ、あぁ……」

 再び身体が目覚める。三輪が愛液を奥から吸い上げると、身体は強制的に目覚めた。

「んあぁぁ──!!」

「ふう。美味いな」

(何てことなの……専務も見ているのに!)

 佳織は羞恥で顔が真っ赤になった。


「分かるかい?」

 三輪が佳織の手を取り、ズボンの上から雄の象徴に手を充てがわせる。

「っ……!」

(美輪様の勃ってる!)

「もうこんな状態だ」
 
 それは手を沿わせなくても、十分に分かる程だった。ズボンを脱ぐと、雄々しい男の象徴が佳織の目に飛び込んできた。

(フェラをしろってことよね……大きい……)

「二宮。口を開けろ」

 早乙女の無慈悲な命令に佳織は身体を震わせる。

「そ、そんな……」

「ご奉仕するんだ」

 断れない。そのままゆっくりと、三輪のペニスが佳織の口元へ届こうとしていた。

(どうしよう、このままじゃ……)

 ちゅ、と亀頭にキスをする。

「ははは、これは初めましての挨拶かな?」

(うぅ……ダメだ。これ以上は無理──)

「どうした? 続けないか」

 戸惑いつつも、佳織は三輪のペニスを口に含めた。
 
 ズッズッ……ズチュッ……
 
 根元の部分を軽く擦りながら、舌でチロチロと舐めていく。正面から少しずつ抜き差しを、時折横から優しく唇を這わせる。

「…っく、はあ、もっとだ。もっと私を愉しませろ」

「!?」

 ズイッ!!

「むぐう!?」

 三輪が佳織の後頭部を掴み、前後に揺らす。口の奥まで三輪のペニスで一杯になる。

「んーっ、んーっ!!」

 無理だ──佳織は抵抗して口を離そうとした。

「二宮。しっかりご奉仕しろ」

(そんな──!?)

 苦しい。腔内で三輪のペニスが質量を増したようだった。佳織は目尻に涙を浮かべる。

「んーっ!!」

「くっ、はぁ……出そうだ」

(出るって、まさか!?)

 嫌な予感がしたのと同時に、ドッと白濁が佳織の腔内に溢れた。

「うっ、げほっ、げほっ……」

 飲み込み切れない白濁。同時に三輪のペニスも口から離れる。佳織は苦しさの余りむせる。口元には白濁がついたままだ。

「ああ。いきなりで済まなかったね」

 気遣ってくれているのだろうか、三輪の指がそっと佳織の口元を拭う。

「早乙女。タオルを取ってくれるか?」

「かしこまりました」

 早乙女は言われた通りにフェイスタオルを三輪に手渡す。

「ああ──綺麗な顔を汚してしまった」

「んっ」

 三輪が佳織の顔にもかかった白濁をタオルで丁寧に拭いてくれた。

「あ、ありがとうございます……」

「いや。本当は飲んで欲しいところだったけど、初めてだからね」

「!!」

 白濁を飲む──佳織はぶるっと震えた。

「まあ、いいさ。さてと……下はどうなっているかな?」

 佳織の足首を掴んで秘部を確認する。

「おお──いい感じじゃないか」

「あ……」

 ゾクゾクした。

「挿れるぞ」

 三輪は先端を佳織の入口に宛てがい、まずは上下に刺激する。

「は、はぁ……ん…」

 焦らしてから膣内へと熱い昂りを埋めていく。

「あはぁんっ…あぁっ……」

「これだけ濡れているんだ。動いても痛くは無いだろう」

 ズンッ…ヌチャッ…ズブッ…

「あん…あぁ…あっ…はぁ……んっ」

 三輪が腰の動きを速めていく。パンッパンッ…という肌のぶつかる音が一層大きくなる。

「はぁ…はぁ…ああっ…やんっ…イクぅぅっ……!」

 イっても休ませて貰えなかった。

(激しすぎる──!)

 ずちゃっ……ぬちゃっ……ぬぷっ……

「はぁ…ん……あぁ……あぁん!!」

 下肢は愛液と幾度となく噴いた潮に濡れている。

「そういえば、中出ししてもいいんだったよね?」

「っ!?」

 中出し──ピルを飲んで、基礎体温も測っている。避妊対策はしている。

(でもでもでも……っ、専務……お願い、助けて……!!)

 三輪に奥を穿たれ、喘ぎ感じることしかできないこの瞬間に何も言えない。早乙女が笑顔で答える。

「もちろんです」

 絶望だった。一縷の望みが絶たれた。

「そうこなくてはな。出すぞ!!」

 ドピューッ!!

 佳織の奥目掛けて、精液が放たれた。

「…っあ、ああああああああん──っ」

「ハハハッ! 素晴らしな、君は!!」

 トロリ膣内に収まり切らなかった白い液体が、逆流して太ももを伝っている。ベッドに沈む佳織の身体はいやらしかった。

「どれ、ちゃんとナカに入っているか確認しようじゃないか」

「えっ……」

 唇を舐める仕草をして、脚の間に顔を寄せていった。ピンク色の媚肉を指で拡げて、ぐちゃぐちゃ膣内を掻き回す。

「はぁ…あん…やああああぁんっ!」

 身体が弓なりに跳ねた。

「おおっ、ちゃんとナカに入ったようだ。君の蜜と混ざっているよ」

「ああっ、あぁんっ、やあぁぁぁっ!!」

 佳織の甲高い嬌声が寝室に響く。

「あぁ、ああ…はぁ…ああん、あはぁ…あんっ」

 三輪はニヤニヤ笑いながら、佳織の愛液も指に絡めて、わざとグチャグチャと卑猥な音が佳織と早乙女に聞こえるように指を何度も抜き差しして、佳織の目の前に指を見せつけた。

「はぁ、あ、あぁ……」

 粘着質な液体を纏った指を佳織の唇につける。

「ほら。舐めるんだ」

 酷い命令だ。

「は、は……い…」

 命令のままに三輪の指を舐める。それもいやらしく舌でピチャピチャ、音をたてながら、口を上手く動かしてしゃぶった。

「うん、綺麗になったね。で? どんな味がした?」

 一息ついて佳織は口を開く。

「三輪様の男の味と、私のいやらしい蜜の味がしました」

「ハハハハハハ!! 早乙女、彼女は中々いい秘書じゃないか」

「恐れ入ります」

 こんなこと言われても全く嬉しくなかった。
 今の佳織は付き合ってもいない男の下で、あんあん泣いていやらしく腰を揺らして、快楽に溺れている。


 それからもベッドをぎしぎしと軋ませながら、佳織と三輪は激しく交わる。

「ははっ、バックもいいじゃないか。可愛いお尻だ」

 そう言って三輪の手が臀部をやわやわと揉む。

(うっ、嫌なのに、感じてる──!!)

 パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

「…ぁあ…はぁ……んっ…あぁ…」

 ズチャッ…ズチャッ…ヌチャッ…

「あぁ…あん…あん…はぁ…っんぁ…」

 雄が佳織のナカを蹂躙する。容赦なくガツガツ奥を穿つのだ。何度も何度も佳織は果てた。

「アハァン!!」

「おおっ、またイったか! 今の声は良かったぞ」

 しかし佳織がぐったり倒れていようが、三輪はお構いなしに佳織を堪能する。

 お楽しみ中の三輪に気づかれぬよう、早乙女は音を立てずに寝室を出た。早乙女の姿に気づいた氷室が訊ねる。

「早乙女。二宮さんは大丈夫そうかい?」

 今の氷室から優しさは微塵も感じ取れない。

「はい。今夜は私が最後まで付いていますので」

「そうか。彼女を頼んだよ」

 氷室は鞄を手に取り、早乙女に背を向けて部屋から出て行った。


 時間が過ぎ、佳織は一糸まとわぬ姿でベッドに腰掛けていた。

(一体、私は何時間抱かれていたのだろう……)

 三輪は接待を楽しんだ後、シャワーを浴びると早乙女にチップを渡して部屋を出て行った。

「自宅まで送る」

「……」

 もはや佳織に答える気力は残っていなかった。

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