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カズマは、草むらの間から大型の魔物を見た。羽をばたつかせながら、優雅に歩行している。カズマに気づいた様子はない。
カズマは草むらに身を隠すと何度も深呼吸をした。
魔物の呼吸音から近づいている事が分かる。心拍数が早くなり魔物に聞こえないかと不安になると更に音が大きくなった気がした。
呼吸を整えようとしたが無理だったので諦めた。
カズマは魔物をじっと見ると、胸より少し下に光るものが見えた。それを周りにある黒い靄で包むのと簡単に魔物の身体から取り出せた。
あらかじめ、捕まえておいたネズミの魔物に入れようとしたが入らない。何度も挑戦したが、はじいてしまう。
「……」
カズマは少し考えてから、隣にいる虫の中に入れようとした。その時、闘争心はふわふわと浮かんだ。黒い靄が闘争心から外れてしまうと、それを制御できない。慌てて手で掴もうとしたが、通り抜けてしまう。
「え、え……」
ふわふわと風に流されるように、移動する闘争心を慌てて追った。
「え、人……?」
小さな子どもがいた。
「どいてー」叫んだが、子どもはどくどころか頬を膨らましてカズマを睨みつけた。
「危ないから」
「大丈夫。僕だってできる」
棒きれを両手で構え立ち向かってきた。
「バカか。さっさとどけ」
子どもはカズマの言葉に一切耳を傾けない。
闘争心は子どもの中に吸い込まれていった。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……。
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