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「カズ」大きな声と共にイズクが現れた。「遅い」
「……」
時間を気にしていたわけではないが、長時間いた感覚もない。
「怒った?」
イズクはカズマの横に来ると、顎を引いて大きく目を開けた。童顔で低身長な彼がソレをやると可愛い。中身は同い年である事は分かっているが、幼い弟の様に感じてしまう。
「……」
「ごめんね。カズを苦しめるつもりはなかったんだけど。不安で……」
「不安?」イズクの言葉に目を大きくした。「なんで?」
いつも自信満々な彼が弱音を吐いた事に驚いた。
「俺はいつも不安だよ」
「そうなのか?」
誰よりもイズクを見てきているが、そんな素振りはなかった。表面的な部分しか見ていなかったというなら、なぜ今、彼が弱みを見せたのか不思議でならない。
「当たり前だよ。俺、いつも不安で……でもさ」イズクは口角を上げた。「お前がいれば大丈夫」
「そうか」
「うん。だから、さっき苦しい思いさせてごめん。本当に俺から離れなければ何もないから」
「……」
イズクは、ペタリと足にくっついてきた。幼少期を思い出す。あの頃はまだイズクと同じくらいの身長であった。
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