【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

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お仲間

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『僕の全ては君のためにある。だから、僕の気持ちを疑わないで側にいてくれないかい』

 と言うセリフは漫画でルイが主人公アイラに告白する時の台詞だ。読んでいる私はときめいたがアイラには届かなかったようであった。彼女はルイの気持ちに答えることなく城から居なくなってしまうのだ。彼女がルイに答えなかった理由はよく分からない。

 おじさんなら知っているのかな。

 ルイに抱きしめられたままおじさんの方を見ると、彼は楽しそうである。その楽しそうなおじさんの顔に見覚えがあった。
 おじさんは私が見ていることに気付くと声出さずに口だけを動かした。読唇術ができるわけではないのでわからない部分が多かったがはっきり聞こえた言葉があった。

『腐男子』

 まさかのお仲間?
 今、彼から見ればルイ×ルカである。実際、私もルイもお互いの好意的に思っているからその解釈は間違えではない。
 おじさんで腐男子で女の子が好きで百合をやろうとしていて……。属性が多すぎて分からない。
 自由に生きているのだろう。そういうことにして考えるのをやめた。

 あまりに見られるので恥ずかしくなり、そっとルイに「オリビア嬢の前だよ」と伝えたが全く気にする様子がない。ルイはおじさん趣味を知っているのかもしれない。
 仕方なく、ルイの身体を押した。

「今後ことを考えないと」

 と言うと名残惜しいそうに私から離れていった。そういうのは二人の時でいいなと思った。自然にそう思ってしまう自分に恥ずかしくなった。
 ルイと私は元の席に座り直した。すると「年齢は気にするのに兄弟とか同性は気にしないですね」とおじさんがちいさな声で言った。ルイには聞こえてなかったみたいだからそれに返事はしなかった。
 しかし、言われてみれば確かに私は年齢ばかり気にしていた。この世界では近親婚や同性婚は当たり前のように行われているが前世では違う。それに対してなんの抵抗もなかった。
 完全に前世の私ではなく前世の記憶を持ったルカというのが今の私の存在なのだろう。今の私は漫画のルカと性格が違う気がするがそれを言ったらルイも違うので生活環境の影響もきっとある。
 
 それより考えなればならないことがたくさんあるため気にするのをやめた。
 きっとあの事がおそらく問題点として話題にでる。アーサーも知っでいることだからそんなに深刻にならなくてもなんとかなるのではないかと思っている。

「ルカが僕の気持ちを受け入れてくれてとても嬉しい。けど……どうしてもトーマス騎士団長の件は話さなくてはならない」

 先程の優しいから雰囲気がガラリとかわり、ルイは目を細めた。ルイの一言で空気が一気に張り詰めた。

 寒気を感じる。

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