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後悔と反省
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身体中の痛みで目が覚めた。
知らない天井だ。知っている部屋であっても天井は余り、気にしていないからここがどこだか分からない。
周囲に確認しようと身体を動かすと激痛が走った。
手足は問題ないのだが、寝返りをするのが辛い……。
かなり気を使いながら、横を向く。
どうやら、各室のようだ。まぁ、王族の私室は破壊されてしまったから仕方ない。
客室といっても他国の王族や貴族を招くため全て上等な物を揃えてある。異文化に対応できるように、お湯を浴びられる部屋もある。しかし、前世のお風呂と違い、お湯が置いてあるだけだ。それとベットルームとリビングが仕切られているところが私の部屋と違う。トイレは私の部屋同様、小さな個室にオマルが置いてある。
つまりは私の私室よりも大きく設備が良いのだ。私の部屋はワンルームマンションみたいだ。
使いやすいからいいですがね。
部屋の扉を叩く音がして、返事をするとアーサーが現れた。頭に包帯を巻き、頬をガーゼで覆っていた。
その姿を見てアーサーとアンドレーの戦いを思い出した。あの場所の悲惨さを見ると強力な魔法を使ったように思えた。しかし、私が行ってからアーサーが広範囲攻撃魔法を使うと様子はなかった。
邪魔をしてしまったようだ。
私が行かなければ自由に魔法を使え、アンドレーを捕まえることができたかもしれない。
あの場所に行く前は、自分が侵入者を捕まえるつもりでいた。アーサーがいるなら加勢するつもりだった。出来ると思っていた。しかし、結果はどうだ。
倒れた騎士の手当をしていた方が今の百倍以上役に立ったに違いない。
自惚れていた自分が恥ずかしい。
「あの……」
「ありがとう。加勢に来てくれたでしょ。危なかったから、ルカ達のおかげで退散してくれてよかったよ」
私が発言する前に優しい言葉をかけてくれた。余計に惨めな気持ちになる。
一年前、自分の知識や剣術、体力のなさを知ったのにちょっと魔法陣ができたから気持ちが大きくなっていた。剣術はルイには互角だが女性のマリア隊長には負けたではないか。
私は気落ちしてアーサーに言葉に何も答えることができなかった。どんなに慰められて……私はアーサーやルイ、自分自身を危険にさらした。
包帯だらけの自分の身体を見ながら、今生きているのは奇跡だと思った。
「そうだ、ルイもルカと同じように怪我をしているけど、大丈夫だよ。ルカの心配ばかりしているよ」
ルイ……。
彼は本当できた人間だ。私は自分の事ばかり考えているのに彼は私の心配ばかりしている。
ルイだからあれくらい大丈夫かなとも思っていた。漫画のルイは無敵であり何があって平然としていた。
漫画とこの世界は似ているが同じではない。そう理解したはずであるに一緒に考えてしまう自分がいた。
「ルカ?」
「はい」
「どうしたの? ルカもルイの心配をしていると思っただけど」
「勿論、心配していました。生きていて安心しました」
取ってつけたような言い方になってしまったからか、アーサーは細い目を更に細くして眉を寄せた。もしかしてアンドレーに様になると思われてしまっただろうか。
王になんてなりたいとは思わないし、ルイの暗殺も考えていない。そもそもアンドレーもように強くないし、あんなに魔法を自由に扱えない。
ダメだ……自分で言っていて落ち込む。
「あのさ、ハリー・ナイトと戦ったの?」
「そうです。トーマス騎士団長とハリー・ナイトが戦っていて騎士団長が苦戦していました。そのため、私が間にはいりハリー・ナイトの腕を切りました。するとハリー・ナイトはどこかへ逃げました」
あった事を手短に話すとアーサーは「あー」っと声をあげて手で顔を抑えた。
何かダメだったのだろうか。
あの時はああするしかなかった。ハリー・ナイトの件の私の行動は正しかったと思う。ハリー・ナイトが逃げた後トーマス騎士団長は倒れた。つまり、私がいなければ彼の命があったかわからない。
「騎士団長を王子が助けちゃったかぁ」
「なにか問題でも? あの時ハリー・ナイトには剣が無効でした。だから私が魔法使ったのです。でなければ……」
アーサーは私の言葉の途中で手を振りながら「わかっている」と言った。そういいながら頭を横に振る。
「今回は助かったけどさ。もしかしたら騎士団長を守って王子死亡していた可能性があったよね。生き残った騎士団長はどうなると思う?」
アーサーの言葉に私は固まった。
そんなの考えるまでもない。騎士団長は処罰の対象となってしまう。
「まぁ、今はゆっくり休んでね」
言いたいことはだけ言ってアーサーは去ってしまった。
私はどうして良いかわからなかった。よく考えたら真面目な騎士団長が王子に助けられて“感謝して終わり”なはずはない。思い余って自害されては全て台無しだ。
すぐに行動したかったが、身体を動かない。
本当どうしよう……。
知らない天井だ。知っている部屋であっても天井は余り、気にしていないからここがどこだか分からない。
周囲に確認しようと身体を動かすと激痛が走った。
手足は問題ないのだが、寝返りをするのが辛い……。
かなり気を使いながら、横を向く。
どうやら、各室のようだ。まぁ、王族の私室は破壊されてしまったから仕方ない。
客室といっても他国の王族や貴族を招くため全て上等な物を揃えてある。異文化に対応できるように、お湯を浴びられる部屋もある。しかし、前世のお風呂と違い、お湯が置いてあるだけだ。それとベットルームとリビングが仕切られているところが私の部屋と違う。トイレは私の部屋同様、小さな個室にオマルが置いてある。
つまりは私の私室よりも大きく設備が良いのだ。私の部屋はワンルームマンションみたいだ。
使いやすいからいいですがね。
部屋の扉を叩く音がして、返事をするとアーサーが現れた。頭に包帯を巻き、頬をガーゼで覆っていた。
その姿を見てアーサーとアンドレーの戦いを思い出した。あの場所の悲惨さを見ると強力な魔法を使ったように思えた。しかし、私が行ってからアーサーが広範囲攻撃魔法を使うと様子はなかった。
邪魔をしてしまったようだ。
私が行かなければ自由に魔法を使え、アンドレーを捕まえることができたかもしれない。
あの場所に行く前は、自分が侵入者を捕まえるつもりでいた。アーサーがいるなら加勢するつもりだった。出来ると思っていた。しかし、結果はどうだ。
倒れた騎士の手当をしていた方が今の百倍以上役に立ったに違いない。
自惚れていた自分が恥ずかしい。
「あの……」
「ありがとう。加勢に来てくれたでしょ。危なかったから、ルカ達のおかげで退散してくれてよかったよ」
私が発言する前に優しい言葉をかけてくれた。余計に惨めな気持ちになる。
一年前、自分の知識や剣術、体力のなさを知ったのにちょっと魔法陣ができたから気持ちが大きくなっていた。剣術はルイには互角だが女性のマリア隊長には負けたではないか。
私は気落ちしてアーサーに言葉に何も答えることができなかった。どんなに慰められて……私はアーサーやルイ、自分自身を危険にさらした。
包帯だらけの自分の身体を見ながら、今生きているのは奇跡だと思った。
「そうだ、ルイもルカと同じように怪我をしているけど、大丈夫だよ。ルカの心配ばかりしているよ」
ルイ……。
彼は本当できた人間だ。私は自分の事ばかり考えているのに彼は私の心配ばかりしている。
ルイだからあれくらい大丈夫かなとも思っていた。漫画のルイは無敵であり何があって平然としていた。
漫画とこの世界は似ているが同じではない。そう理解したはずであるに一緒に考えてしまう自分がいた。
「ルカ?」
「はい」
「どうしたの? ルカもルイの心配をしていると思っただけど」
「勿論、心配していました。生きていて安心しました」
取ってつけたような言い方になってしまったからか、アーサーは細い目を更に細くして眉を寄せた。もしかしてアンドレーに様になると思われてしまっただろうか。
王になんてなりたいとは思わないし、ルイの暗殺も考えていない。そもそもアンドレーもように強くないし、あんなに魔法を自由に扱えない。
ダメだ……自分で言っていて落ち込む。
「あのさ、ハリー・ナイトと戦ったの?」
「そうです。トーマス騎士団長とハリー・ナイトが戦っていて騎士団長が苦戦していました。そのため、私が間にはいりハリー・ナイトの腕を切りました。するとハリー・ナイトはどこかへ逃げました」
あった事を手短に話すとアーサーは「あー」っと声をあげて手で顔を抑えた。
何かダメだったのだろうか。
あの時はああするしかなかった。ハリー・ナイトの件の私の行動は正しかったと思う。ハリー・ナイトが逃げた後トーマス騎士団長は倒れた。つまり、私がいなければ彼の命があったかわからない。
「騎士団長を王子が助けちゃったかぁ」
「なにか問題でも? あの時ハリー・ナイトには剣が無効でした。だから私が魔法使ったのです。でなければ……」
アーサーは私の言葉の途中で手を振りながら「わかっている」と言った。そういいながら頭を横に振る。
「今回は助かったけどさ。もしかしたら騎士団長を守って王子死亡していた可能性があったよね。生き残った騎士団長はどうなると思う?」
アーサーの言葉に私は固まった。
そんなの考えるまでもない。騎士団長は処罰の対象となってしまう。
「まぁ、今はゆっくり休んでね」
言いたいことはだけ言ってアーサーは去ってしまった。
私はどうして良いかわからなかった。よく考えたら真面目な騎士団長が王子に助けられて“感謝して終わり”なはずはない。思い余って自害されては全て台無しだ。
すぐに行動したかったが、身体を動かない。
本当どうしよう……。
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