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ルイの告白
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何度も離すように伝えてやっと自分の席に戻ることができた。
ルイはさっきから嬉しそうに笑っている。その反対な顔しているのがおじさんである。ルイはよく分からないがおじさんが落ち込んでいるのは私のせいだ。おじさんよりルイがいいなんて言ってしまったから……。私に感情がなくても比べられれば良い気分はしないだろう。
べつにオリビア嬢の顔は残念ではない。可愛い方だと思う。ただオリビア嬢とルイでは、クラスいる可愛い子とトップアイドルくらい差があるという話だ。
顔なんて好みもあるし全ての人間がトップアイドルの顔が好きなわけではない……と思う。
「オリビア嬢はルイになんで女の子紹介してほしいの」
「それは……え…」
私の言葉におじさんはどもった。このおじさんはさっきもそうだ。自分の気持ちであるのにはっきりと発言しない。おそらく羞恥心からだろうが恥ずかしいと思うことならば頼まなければいい。ルイに依頼したなら私に絶対に伝わることになるのだからはっきりと話すべきである。
「ルイ、イライラする」
私はルイの顔を見て強い口調で言葉を発したため、おじさんがビクリとした。
ニヤニヤ笑顔がとまらないルイはとても良い返事をして説明することを承諾した。
「ルカがオリビア嬢を避けている間、僕は毎日通っていたんだよね。彼は前世ずっと独身で母以外の女の子と関わらない生活をしていたらしい」
私も前世はずっと独身だ。婚約までしていたがある理由で破局して以来縁がなかった。だから、そんな理由で権力者に紹介をしてもらおうなど図々しいと思ったがルイが話している途中であったため黙って聞いていた。
「独身だったのは彼の特殊な性癖にある。女の子にいじめられたいらしいだよね」
ドMかぁ。チラリとおじさんを見ると顔を赤くして長い髪をとかすように触っている。照れているようである。
外見が少女であるためその仕草は可愛らしいが中身を知っている私としては寒気がする。
「だったら、茶会でも開いて合わせればいいでしょ。オリビア嬢と私の婚約も正式ではないし」
私の訴えにルイは目を細くした。そして大きくため息をついた。まるで私が言ったことが間違っているとでも言いたげである。
「知っての通り、僕は王位継承者であり結婚は免れないだよね」
更にため息をついて言った。
国王の配偶者は王妃である。我が国は王妃も役職であり仕事があるため必ず必要な人物となる。つまり国王となる人間は必ず結婚しなくてはならないのだ。
「それは知っている。もしかして結婚したくないの」
「したくないというか、ルカ以外としたくない」
「私?なんで?」
「好きだからに決まっているでしょ」
好き?
ルイが私を好きだと言った。この流れで兄弟愛だとか鈍いことは言わない。しかし、そんな素振りはなかったはずである。考えても思い当たるフシはなかった。
そもそもルイはこれから会う……いや、歴史が変わってしまったからわかないが漫画上ではこれから会うソーワ王国の王女アイラと恋に落ちるはずである。
理由を聞こうとしたがルイは更に話を進めてしまい聞くタイミングを逃してしまった。
「でも、国王と摂政の結婚は難しいだよね。王妃と摂政の仕事を兼任するのは難しいからね。このままだとルカも誰があてがわれるしルカがその相手を好きになったら困る」
ルイが熱く語っている。
つまり、ルイは私と結婚したが立場上できないから偽装結婚をする。私はオリビア嬢と結婚しないと他の人間と結婚させられてしまうということか。結婚するということは夜のことがあるわけだ。この世界は結婚の性別にこだわっていないが、男でも女でも面倒くさいと思った。
いくら好きだと言われても外見は美しい少年でるが中身は35歳のおばさんだ。だから答えられるわけがない。
「でも私はルイの気持ちには答えないよ」
「うん……いいよ。ルカが今回の件承諾してくれるなら」
私の返事にルイのテンションは一気に落ちた。そんなに悲しい顔をされてもルイの気持ちは受け入れられない。
ルカと私は同じ人間であるとは思っているが……前世の意識が強くでている今、ルイの事は子どもとしか思えない。
しかし、今回の提案は承諾してもいい。おじさんとの婚約は私にとって利点しかない。おじさんが女の子の紹介を頼んでおり私との恋愛を望まないなんて最高でしかない。
「いいよ」
私が承諾するとルイを嬉しそうにわらった。おじさんが「愛の形は色々ですよね」とほほ笑んでいる。中身を知らなければ聖女のような姿だが実際はドMおじさんだ。
「おじさんの希望通りで、ルイに恋愛感情を抱かずおじさんの相手してくれる女性なんて紹介できるの」
私が“そんなの人はいない”という意味を込めて伝えるとルイはニヤリと笑っている。おじさんは期待しているような眼をしている。
私は不安しかなかった。
ルイはさっきから嬉しそうに笑っている。その反対な顔しているのがおじさんである。ルイはよく分からないがおじさんが落ち込んでいるのは私のせいだ。おじさんよりルイがいいなんて言ってしまったから……。私に感情がなくても比べられれば良い気分はしないだろう。
べつにオリビア嬢の顔は残念ではない。可愛い方だと思う。ただオリビア嬢とルイでは、クラスいる可愛い子とトップアイドルくらい差があるという話だ。
顔なんて好みもあるし全ての人間がトップアイドルの顔が好きなわけではない……と思う。
「オリビア嬢はルイになんで女の子紹介してほしいの」
「それは……え…」
私の言葉におじさんはどもった。このおじさんはさっきもそうだ。自分の気持ちであるのにはっきりと発言しない。おそらく羞恥心からだろうが恥ずかしいと思うことならば頼まなければいい。ルイに依頼したなら私に絶対に伝わることになるのだからはっきりと話すべきである。
「ルイ、イライラする」
私はルイの顔を見て強い口調で言葉を発したため、おじさんがビクリとした。
ニヤニヤ笑顔がとまらないルイはとても良い返事をして説明することを承諾した。
「ルカがオリビア嬢を避けている間、僕は毎日通っていたんだよね。彼は前世ずっと独身で母以外の女の子と関わらない生活をしていたらしい」
私も前世はずっと独身だ。婚約までしていたがある理由で破局して以来縁がなかった。だから、そんな理由で権力者に紹介をしてもらおうなど図々しいと思ったがルイが話している途中であったため黙って聞いていた。
「独身だったのは彼の特殊な性癖にある。女の子にいじめられたいらしいだよね」
ドMかぁ。チラリとおじさんを見ると顔を赤くして長い髪をとかすように触っている。照れているようである。
外見が少女であるためその仕草は可愛らしいが中身を知っている私としては寒気がする。
「だったら、茶会でも開いて合わせればいいでしょ。オリビア嬢と私の婚約も正式ではないし」
私の訴えにルイは目を細くした。そして大きくため息をついた。まるで私が言ったことが間違っているとでも言いたげである。
「知っての通り、僕は王位継承者であり結婚は免れないだよね」
更にため息をついて言った。
国王の配偶者は王妃である。我が国は王妃も役職であり仕事があるため必ず必要な人物となる。つまり国王となる人間は必ず結婚しなくてはならないのだ。
「それは知っている。もしかして結婚したくないの」
「したくないというか、ルカ以外としたくない」
「私?なんで?」
「好きだからに決まっているでしょ」
好き?
ルイが私を好きだと言った。この流れで兄弟愛だとか鈍いことは言わない。しかし、そんな素振りはなかったはずである。考えても思い当たるフシはなかった。
そもそもルイはこれから会う……いや、歴史が変わってしまったからわかないが漫画上ではこれから会うソーワ王国の王女アイラと恋に落ちるはずである。
理由を聞こうとしたがルイは更に話を進めてしまい聞くタイミングを逃してしまった。
「でも、国王と摂政の結婚は難しいだよね。王妃と摂政の仕事を兼任するのは難しいからね。このままだとルカも誰があてがわれるしルカがその相手を好きになったら困る」
ルイが熱く語っている。
つまり、ルイは私と結婚したが立場上できないから偽装結婚をする。私はオリビア嬢と結婚しないと他の人間と結婚させられてしまうということか。結婚するということは夜のことがあるわけだ。この世界は結婚の性別にこだわっていないが、男でも女でも面倒くさいと思った。
いくら好きだと言われても外見は美しい少年でるが中身は35歳のおばさんだ。だから答えられるわけがない。
「でも私はルイの気持ちには答えないよ」
「うん……いいよ。ルカが今回の件承諾してくれるなら」
私の返事にルイのテンションは一気に落ちた。そんなに悲しい顔をされてもルイの気持ちは受け入れられない。
ルカと私は同じ人間であるとは思っているが……前世の意識が強くでている今、ルイの事は子どもとしか思えない。
しかし、今回の提案は承諾してもいい。おじさんとの婚約は私にとって利点しかない。おじさんが女の子の紹介を頼んでおり私との恋愛を望まないなんて最高でしかない。
「いいよ」
私が承諾するとルイを嬉しそうにわらった。おじさんが「愛の形は色々ですよね」とほほ笑んでいる。中身を知らなければ聖女のような姿だが実際はドMおじさんだ。
「おじさんの希望通りで、ルイに恋愛感情を抱かずおじさんの相手してくれる女性なんて紹介できるの」
私が“そんなの人はいない”という意味を込めて伝えるとルイはニヤリと笑っている。おじさんは期待しているような眼をしている。
私は不安しかなかった。
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