【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

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 おじさんの素気ない反応にルークは目を大きくした。オリビア嬢が喜ぶような内容なのであろうか。
 ルークはおじさんを見るとゆっくりとした口調で話した。まるで正解を探しているような話し方である。

『もしかして、もう必要ございませんか。確かにお城では使用することは難しく思いますが……』

 ルークのセリフにおじさんは不機嫌そうに眉を寄せるとまた足を組み替えて、更に腕を組んだ。そして横を向いた。おじさんが怒ったように見えるが多分これはルイの指示した行動だ。
 答えに困った時は不機嫌な態度をとれとでも言ったのかな。
 ルークは目を細めてからお辞儀をした。

『失礼致しました。それでは手配致します』

『お父様へ』

 おじさんはルークへ手紙を差し出した。彼はそれを丁寧に受け取ると「わかりました」と言って胸のポケットにしまった。

『ルカ第二王子殿下とは……』

『当たり前よ。殿下に瞳には私しか映らないようよ』

 おじさんはルークの言葉をさえぎって嬉しそうに答えている。その姿はオリビア嬢を思い出せ見ていて気分が悪くなった。それに気づいたようでルイが私の背中をさすってくれた。
 その後、おじさんは自分がどれだけ私に愛されていのかをルークに語った。

「オリビア嬢は相変わらずだね。ルカは本当に彼女でいいのかい」

 アーサーは眉を寄せて私を見る。私が頷くとため息をついた。映像に移る彼女の言動は確かに王族の信頼を失いかねない。アーサーは映像に視線を移すと首をふって「許可がでるとは思えないけどね」とつぶやいた。
 城に特定の人間を泊まらせることは婚約を意味するが、それはあくまで止まらせた者の希望であり候補だ。正式な婚約は上層部の許可が下りないとできない。王族の結婚は一個人で決められるほど簡単ではない。

「魔法陣の事も聞きたかったが今日はこれで失礼するよ」

 アーサーは時計を見ると立ち上がった。私とルイも立ち上がり、あいさつをするとアーサーは笑顔で去っていった。アーサーが扉から出ていったのを確認すると再度椅子に座り、映像を見るとそこにはルークはもういなかった。映っていたのはベッドにうつぶせに倒れているおじさんの姿だった。
 どうやら相当お疲れのようである。
 ルイが何をやったかはわからないがおじさんは相当頑張ったようだ。

「上出来だったね」

 映像の中のおじさんを褒めるとルイは映像を切った。ルイはとても満足そうである。今の映像からはオリビア嬢がルークに何かを依頼していたことしかわからないがルイからしたら大きな収穫があったのだろう。それを聞こうとしたら「オリビア嬢のところへ行こう」と誘われた。
 おじさんとは突然部屋を飛び出した日から会っていない。大人気無い態度をとってしまったために顔を合わせづらかった。しかし、いつかは行かなくてはいけないのだから今ルイと一緒に行ったほうがいい。
 本当は逃げたかったが承諾したが聞きたいこともあるし行くしかない。


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