【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

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血縁者

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 闇市の頭ジャスパーとハリー・ナイトが我が国王族の血縁者だとしてどこからの血筋なのであろう。だいたいどの程度王族の血が身体に流れていれば発動可能性なのか。私が悩んでいるとルイは目を細めてニヤリと笑った。

「そこまで分かっているならジャスパーとハリー・ナイトがなぜ王族の血縁者なのか知っているのですよね」

 叔父は目を細めてアーサーに視線を送り「血縁者の君が話せ」と説明をするように促した。アーサーは頭をかきながら承諾した。
 アーサーの説明によると魔法陣は王族の血が半分以下になると発動することができなくなることがあるらしい。逆に近親婚の場合は血が濃くなりすぎて自分自身で体内の魔力をコントロールできなくなる。だから私の曽祖父エドワードは近親婚をしていない。彼は魔法陣を使えなくしたかったらしい。当時事件がおきたらしいのだが記録に残っていない上にアーサーは生まれていなかったため詳細はわからないと言う。

「魔法陣は便利だから僕も使うだけど、強すぎる力は良くないよね。フィリップが使えないからルイもルカも使えないと思ったんだよね」

 アーサーが軽く話した。
祖母のイザベラ女王がハーフで父フィリップ国王がクォーター。クォーターの国王陛下が使用できないのならばそれ以下に血が薄くなった私達も使用は難しいと思われたようだ。しかし、人間の体だから機械の様に厳密にはいかない。
 先祖返りという言葉もあることだしね。

「フィリップは魔法を使えないが、弟のアンドレーは魔法も剣術も素晴らしかったよ」

 魔法陣発動の事はよくわかった。しかし、アンドレーの話をする意味が分からない。それよりジャスパーではないのか。
 アーサーは少し間をおいてから、言いづらそうに私たちの方を見た。叔父もなんだか気まずそうである。

「あまり子どもに話すことじゃないと思うだけど、ルイはルキア帝国の女帝が少年趣味ってことを知っているならもう想像つくよね」

「ジャスパーがアンドレーと女帝の子ども……あ、年齢を考えたらジャスパーとアンドレー―同一人物、そして女帝の息子がハリーでしょうか」

 想像するだけでエグイ内容をルイは即答した。そこに感情はなくただ事実を語っている。
 ルキア帝国の女帝って今いくつだろう。
 たしか図書室に他国の頭について書いてあった本があった。ルキア帝国は思い出すまでもない。あの国は印象的だった。ルキア帝国女帝レギーナは我が国の王がエドワードであった時代から女帝だ。イザベラ女王より後に生まれたとしてアンドレーがルキア帝国に渡った時点で30代か40代だ。私の前世の年齢と変わらない。私がルイの子どもを産むようなものだ。
 ありえない。
 自分に例えるとより現実味が出てきて気持ち悪くなった。
ルイと恋愛するなら年齢近い推しメンのトーマス騎士団長がいい。しかし、今の自分の外見を見て誰とも恋愛なんてできないことは気づいていた。気持ちは35歳の女だが外見は年齢一桁の男子である。恋愛や結婚対象となるのは同じ年齢もしくそれより下の子どもだ。結婚はいいがその子どもと夜を過ごすなんて想像したくない。
 その点、中身がおじさんであるオリビア嬢と結婚すれば彼が少年趣味でもないかぎりは夜の性活がない。

やっぱり彼女と結婚するのが一番だ。
おじさんの承諾はまだとっていなが私以外の相手を選ぶとその人と夜をともにしなくてはならない。中身おじさんだしもしかしたら中年女性を相手したいのかな。侍女で遊ぶことくらいは可能だと思うけど……。

 「ルカ」

 ルイに名前を呼ばれて顔をあげると叔父とアーサーが心配そうな顔をしていた。

「ごめんね。13歳の少年の子どもを産む30代の女性の話は嫌だよね」

 アーサーの言葉から女帝の予想した年齢が近いことに嬉しくなり“ビンゴ”と叫び笑いたかったがここで笑ってはまずいので口元を抑えて我慢するとルイが顔を覗き込んできた。
どうやらルイは私がさっきの話を想像して落ち込んでいると思っているらしい。

「大丈夫、ルカを他国には行かせないから」

 私の顔を食い入るように見て力強くルイが語る。しかし、それは当たり前だと思う。アンドレーのような事がない限り次期摂政である私はルイが王をやめるまでこの国にいなくてはならない。
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