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ハリー・ナイトと魔法陣
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私の発作が出た時の事を細かく確認していく事になった。最初の発作はハリー・ナイトを探しに騎士館に行った時だ。場所はハリー・ナイトの部屋の前であることを説明すると叔父とアーサーの顔色が変わった。
それに気づいたように、ルイは眉を寄せて確認するように叔父とアーサーを見た。
「今の話の流れだとハリー・ナイトは魔法陣を使えるのですよね。これは確証があることですか?僕とルカの見解はまだ“可能性”の段階ですが……」
二人の様子からあの場にアーサーがいなかったのであろう。だから、ルイはハリー・ナイトの魔法陣使用について質問したのだ。あの時の発作の原因がハリー・ナイトなら、何かしらの魔法をかけられたというかことだ。
「確証はあるよ」
アーサーがチラリと叔父の方を見ると、叔父は「構わない」と頷いた。それに対して何度か頷くと私達の方を向いた。
「ルイは分かっていてアルバート叔父上の名前を出したんだよね。情報源はアルバート叔父上だよ」
アーサーの言葉に「確実はありませんでした」と表情を動かさずにルイは答えた。アーサーは肩をすくめるとアルバート殿下について説明してくれた。彼は数年前から闇市に潜入している。そこで闇市の頭であるジャスパーとも接触している。
潜入しているのならばハリー・ナイトの事は私達より先に分かっていたではないかと思ったがそうではないらしい。ハリー・ナイトの存在は隠されておりアルバート殿下が知ったのは騎士団からの情報らしい。
ハリー・ナイトは貧困地域での存在は確認されているが闇市やジャスパーとの繋がりは全くなかった。それを暴いたのはウィリアム副団長だという。闇市に潜入しているアルバート殿下が気づかなかった事柄を騎士団員とはいえ外部の人間が調査できるのが不思議だ。それを口に出すとルイが困ったような顔した。
「彼は色々な繋がりがあるのだよ」
アーサーは問題ないときっぱりと言い切った。ウィリアムは闇市や貧困地域と人間と取引しているという事はだろうか。前世の警察も無法者と取引していたから同じようなものだろうと思った。
「アルバート叔父上と騎士団でハリー・ナイトを調べた。どうやら定期的に闇市の頭であるジャスパーに会いに言っているようだね」
アーサーの言い方だとアルバート殿下と騎士団が協力しているように聞こえるが実際は違うと叔父が教えてくれた。叔父たちはアルバート殿下と騎士団から別々情報を貰っているらしい。アルバート殿下には騎士団の事を伝えているがその逆はないという事だ。
アルバート殿下の件は私に魔法陣を使ってまで忘れさせようとした事実であるからよく考えれば当たり前の事である。
「ただハリー・ナイトとジャスパーは顔合わせると会話もせずに数秒で別れる。そこでジャスパーが魔法陣を使っているみたいだね」
「え?では魔法陣は誰でも使えるということですか」
私はアーサーの言葉に驚いて大きな声を出してしまった。ハリー・ナイト以外にも使えるという事はやっぱり、本来は誰でも扱える技術であり、それを王族が独占していたのだ。私はアーサーのセリフで確証したと思ったが二人は渋い顔をしている。
「私も姉たちも使うことはできなかったよ」
叔父がゆっくりと首をふった。叔父のオリバー、そして彼の一番上の姉であり私たちの母であるルナ、二番目の姉であり第二王妃のエマは隣国パニーア共和国出身である。叔父とエマ王妃は黒い瞳と髪の国ソーワの血も流れているが我が国の血は一切ない。
「それは我が国の血筋ではないからですか」
「我が国の強欲な貴族たちは皆魔法陣発動を試しているよ」
私の質問にアーサーが飽きられたように答えた。確かに王族が必死に隠してもそれは無理があるのかもしれない。石板魔法陣は遺跡だ。国中を探せばまだどこかに埋まっている可能性がある。つまり、王族の血には魔法陣を発動するための魔力があるという事だ。
「では、ジャスパーとハリー・ナイトと正体は一つじゃないですか」
口を抑えながらルイが言った。ここまでヒントを貰えれば彼らの正体は誰でも想像することができる。闇市に王族のアルバート殿下が潜入している意味が理解できた。
ジャスパーもハリー・ナイトも我が国の王族血縁者だ。
それに気づいたように、ルイは眉を寄せて確認するように叔父とアーサーを見た。
「今の話の流れだとハリー・ナイトは魔法陣を使えるのですよね。これは確証があることですか?僕とルカの見解はまだ“可能性”の段階ですが……」
二人の様子からあの場にアーサーがいなかったのであろう。だから、ルイはハリー・ナイトの魔法陣使用について質問したのだ。あの時の発作の原因がハリー・ナイトなら、何かしらの魔法をかけられたというかことだ。
「確証はあるよ」
アーサーがチラリと叔父の方を見ると、叔父は「構わない」と頷いた。それに対して何度か頷くと私達の方を向いた。
「ルイは分かっていてアルバート叔父上の名前を出したんだよね。情報源はアルバート叔父上だよ」
アーサーの言葉に「確実はありませんでした」と表情を動かさずにルイは答えた。アーサーは肩をすくめるとアルバート殿下について説明してくれた。彼は数年前から闇市に潜入している。そこで闇市の頭であるジャスパーとも接触している。
潜入しているのならばハリー・ナイトの事は私達より先に分かっていたではないかと思ったがそうではないらしい。ハリー・ナイトの存在は隠されておりアルバート殿下が知ったのは騎士団からの情報らしい。
ハリー・ナイトは貧困地域での存在は確認されているが闇市やジャスパーとの繋がりは全くなかった。それを暴いたのはウィリアム副団長だという。闇市に潜入しているアルバート殿下が気づかなかった事柄を騎士団員とはいえ外部の人間が調査できるのが不思議だ。それを口に出すとルイが困ったような顔した。
「彼は色々な繋がりがあるのだよ」
アーサーは問題ないときっぱりと言い切った。ウィリアムは闇市や貧困地域と人間と取引しているという事はだろうか。前世の警察も無法者と取引していたから同じようなものだろうと思った。
「アルバート叔父上と騎士団でハリー・ナイトを調べた。どうやら定期的に闇市の頭であるジャスパーに会いに言っているようだね」
アーサーの言い方だとアルバート殿下と騎士団が協力しているように聞こえるが実際は違うと叔父が教えてくれた。叔父たちはアルバート殿下と騎士団から別々情報を貰っているらしい。アルバート殿下には騎士団の事を伝えているがその逆はないという事だ。
アルバート殿下の件は私に魔法陣を使ってまで忘れさせようとした事実であるからよく考えれば当たり前の事である。
「ただハリー・ナイトとジャスパーは顔合わせると会話もせずに数秒で別れる。そこでジャスパーが魔法陣を使っているみたいだね」
「え?では魔法陣は誰でも使えるということですか」
私はアーサーの言葉に驚いて大きな声を出してしまった。ハリー・ナイト以外にも使えるという事はやっぱり、本来は誰でも扱える技術であり、それを王族が独占していたのだ。私はアーサーのセリフで確証したと思ったが二人は渋い顔をしている。
「私も姉たちも使うことはできなかったよ」
叔父がゆっくりと首をふった。叔父のオリバー、そして彼の一番上の姉であり私たちの母であるルナ、二番目の姉であり第二王妃のエマは隣国パニーア共和国出身である。叔父とエマ王妃は黒い瞳と髪の国ソーワの血も流れているが我が国の血は一切ない。
「それは我が国の血筋ではないからですか」
「我が国の強欲な貴族たちは皆魔法陣発動を試しているよ」
私の質問にアーサーが飽きられたように答えた。確かに王族が必死に隠してもそれは無理があるのかもしれない。石板魔法陣は遺跡だ。国中を探せばまだどこかに埋まっている可能性がある。つまり、王族の血には魔法陣を発動するための魔力があるという事だ。
「では、ジャスパーとハリー・ナイトと正体は一つじゃないですか」
口を抑えながらルイが言った。ここまでヒントを貰えれば彼らの正体は誰でも想像することができる。闇市に王族のアルバート殿下が潜入している意味が理解できた。
ジャスパーもハリー・ナイトも我が国の王族血縁者だ。
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