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ルキア帝国
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現存している王族は私を含め五人しかいない。その中でハリー・ナイトに魔法陣習得させたと疑える人物がいないのだ。フィリップ国王が国を破滅させる闇市と繋がるはずはない。法務大臣のアーサーは最愛の配偶者がいる国を壊すことはないだろう。ルイや私も同じだ。後はアーサーの母であり前摂政のグレース殿下だけになるが周囲の評価を聞くと考えにくい。
よって六人目として、フィリップ国王の弟であるアンドルーの可能性を考えた。彼は身分を剥奪され奴隷として売られている。我が国を恨んでいても不思議ではない。
彼が生きている確証もない。
「彼が生きている確証がありませんが、彼がハリー・ナイトに魔法陣を教えたと考えると辻褄があうと思います」
「この短時間でよくそこまで調べられたね。特にハリー・ナイトの魔法陣の件は僕も気づくまで時間が掛かったよ」
壁に寄りかかっていたアーサーはチラリとルイの方を見るとニヤリと笑う。その様子からルイが魔法陣を使い、城内を監視していたのが知られているのかもしれないと感じた。確かに至るところに無地の紙が貼ってあったら不自然でしかない。
「ハリー・ナイトはルイと協力して裁きます。しかし、まだ資料が足りません」
「ルキア帝国だよ」
国王がちいさな声でつぶやいた。突然の発言に頭が回らず私は国王に聞き返した。しかし、国王は返事が返事はなかった。国王は頭を両手で抑えて下を向いたため表情が見えない。私がアンドルーを疑っていると知った瞬間、頭を下げてしまったのだ。
「僕が答えようか。二人はルキア帝国について知っているよね」
いつもへらへらと笑っているアーサーであるが、珍しく真面目な顔をしている。その表情はすこし強張っているように感じた。
ルキア帝国は奴隷大国であり我が国と同盟を結んでいる。そしてそこから我が国が奴隷を輸入していることくらいしか私は知らない。漫画には名前しか出てこなかった国だ。
ルイはアーサーの方を見るとはっきりとルキア帝国について答えた。
「ルキア帝国は我が国の同盟国であり貿易相手でもあります。あそこの女帝は祖母が女王をしていた時代から代替わりしていません。そして彼女は美しい男の子を好み収集していると聞きました」
ルキア帝国の女帝が年を取っていることは知っていたがショタ趣味であったのは初耳だ。そのことは書物には載っていない。女帝の性趣向だから記録がないのは当たり前かもしれない。しかし、その記録にない内容をルイが知っていたことに驚いた。
よって六人目として、フィリップ国王の弟であるアンドルーの可能性を考えた。彼は身分を剥奪され奴隷として売られている。我が国を恨んでいても不思議ではない。
彼が生きている確証もない。
「彼が生きている確証がありませんが、彼がハリー・ナイトに魔法陣を教えたと考えると辻褄があうと思います」
「この短時間でよくそこまで調べられたね。特にハリー・ナイトの魔法陣の件は僕も気づくまで時間が掛かったよ」
壁に寄りかかっていたアーサーはチラリとルイの方を見るとニヤリと笑う。その様子からルイが魔法陣を使い、城内を監視していたのが知られているのかもしれないと感じた。確かに至るところに無地の紙が貼ってあったら不自然でしかない。
「ハリー・ナイトはルイと協力して裁きます。しかし、まだ資料が足りません」
「ルキア帝国だよ」
国王がちいさな声でつぶやいた。突然の発言に頭が回らず私は国王に聞き返した。しかし、国王は返事が返事はなかった。国王は頭を両手で抑えて下を向いたため表情が見えない。私がアンドルーを疑っていると知った瞬間、頭を下げてしまったのだ。
「僕が答えようか。二人はルキア帝国について知っているよね」
いつもへらへらと笑っているアーサーであるが、珍しく真面目な顔をしている。その表情はすこし強張っているように感じた。
ルキア帝国は奴隷大国であり我が国と同盟を結んでいる。そしてそこから我が国が奴隷を輸入していることくらいしか私は知らない。漫画には名前しか出てこなかった国だ。
ルイはアーサーの方を見るとはっきりとルキア帝国について答えた。
「ルキア帝国は我が国の同盟国であり貿易相手でもあります。あそこの女帝は祖母が女王をしていた時代から代替わりしていません。そして彼女は美しい男の子を好み収集していると聞きました」
ルキア帝国の女帝が年を取っていることは知っていたがショタ趣味であったのは初耳だ。そのことは書物には載っていない。女帝の性趣向だから記録がないのは当たり前かもしれない。しかし、その記録にない内容をルイが知っていたことに驚いた。
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