【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
上 下
87 / 146

相談

しおりを挟む
 自室へ戻る途中、侍女に夕食を部屋に運んでもらうようにお願いした。夕食を食べてからルイに話をしたのでは間に合わない。クラーク家からの手紙を気にしていたからルイは絶対に私の部屋にいる。
 部屋に着くと衛兵はルイが部屋にいる事を教えてくれた。本来、部屋の主が不在である場合は入室できないが、以前部屋の前をずっと歩きまわり衛兵や侍女が迷惑そうにしていたため入室許可をした。
 
 部屋に、はいるとルイが席について待っていた。テーブルの上には魔法陣が書かれた紙が散らばっていた。ほとんど私が書いたものであったが違うものある。ルイが自分で書いたのかもしれない。
 私の入室に気付いたルイはまず“夕食を部屋で食べられるようにした”と言う。私と考えることは同じである。話が長くなるのであれば夕食を食べながらの方がいい。今回は広間に行かなくても事情を理解している国王はなのも言わないだろう。
 私は席に座るとすぐにルイが気になっていると思われるクラーク家からの手紙説明した。クラーク家の話より今後の方針を決めないといけない。

「クラーク家からの手紙はオリビア令嬢の従者ルーク訪問についてなんだ。けどそれより大きな問題があるから聞いてほしい」

 私の必死な様子を感じてくれたようで、彼は何も言わず頷いていた。それを確認すると国王らと話し事をそのまま全てルイに伝えた。するとルイは手で口を抑えて目を細めた。

「多分だけど、試されているんじゃないかな。アーサーは今回はっきりと映像魔法陣が使えると証言しているでしょ。全部とは言わないけど僕らの行動は筒抜けの可能性がある」

 ルイの話に目から鱗が落ちる。確かにあの時殆ど助言をもらえなかったし決定権は私にあった。国を左右する問題で不自然すぎる。よって“試されていた”というのは納得がいく。
 試されるのは仕方ない事だと思う。この一年“ルカ”としてはあり得ない行動をしていた。

「もしかして、暗殺未遂事件を起こした第二王子の様になるかと警戒されたかな」

「それは、生まれた瞬間から警戒されているよ。まず、僕が引っかかるのはルカに反乱軍の指導者になれという話。しっかり言葉で言われた?そもそも反乱軍の話からおかしい」

 ルイはサラっと重要なことを言う。警戒されているのは薄々気づいてはいたので対して驚きはしない。
 それより、国王らと反乱軍の話をした時の事を思い出してみることにした。初めて反乱軍と言葉にしたのは私自身だ。漫画に出てきた言葉であったためポロリと口から出てしまったのだ。更にあの時“反乱軍を作ることが本気である”ことと“指導者について”確認したそれに対して誰も答えてはいない。アーサーが私を見ていただけだ。そういえば国王が“反乱軍に反対”と言っていたな。

「その顔は言われてないでしょ。多分、様々な情報を伝えられただけで上層部の意見は聞けていないじゃないかな」

 一気に肩の力が抜けた。父殺しの提案はされていないことに安心する。ここの国王が死んでしまったら私が頑張っている意味がない。皆が幸せになってほしいのだ。

「安心している?何も解決してないよ」

 その通りだ。夕食後には国の今後について案を出さなくてはいけない。安心している場合ではないのだ。私は顔を上げてルイの顔を見た。何か企んでいる顔をしている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ある横柄な上官を持った直属下士官の上官並びにその妻観察日記

karon
ファンタジー
色男で女性関係にだらしのない政略結婚なら最悪パターンといわれる上官が電撃結婚。それも十六歳の少女と。下士官ジャックはふとしたことからその少女と知り合い、思いもかけない顔を見る。そして徐々にトラブルの深みにはまっていくが気がついた時には遅かった。

ラスボス姫に転生したけど、ドS兄貴はシスコン設定になっていたようです

ぷりりん
ファンタジー
転生ラスボス姫がドS兄貴の溺愛に大困惑する、ラブコメファンタジー

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果

kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。 自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。 魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。 此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。 召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。 だって俺、一応女だもの。 勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので… ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの? って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!! ついでに、恋愛フラグも要りません!!! 性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。 ────────── 突発的に書きたくなって書いた産物。 会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。 他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。 4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。 4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。 4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました! 4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。 21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

処理中です...