85 / 146
反乱軍
しおりを挟む
本来、反乱軍は漫画の主人公であるアイラがつくる。彼女はソーワ王国の王女であるが、ルカの婚約者兼人質となっていた。エマ第二王妃が不倫した腹いせに彼女の血筋であるソーワ王国を責めると国王が言った。だからそれをとめるために婚約した。しかし、アイラはソーワ国王の危篤を聞くと脱走する。だがソーワ王国は遠く。帰国方法を探しているときに奴隷商に捕まってしまう。
彼女の黒髪は目立つから捕まるは必然だ。けれど彼女はすごく強い人だからすぐに闇市奴隷を仲間にして反乱軍をつくる。
彼女は一見日本人形のような女性だがけして優しくもつつましくもない。城で父が危篤と騒いでいたが、反乱軍つくったら父の危篤の話を一切しない。我が国を乗っ取った後父の死を知るが平然としている。
今ここにいない人間の話をしても仕方ない。大体彼女に反乱軍を作らせたら国を征服させてしまう。確かにアーサーが言うように反乱軍をつくり、彼らに貴族を責めさせる。それを王族が抑え”彼らにも人権がある”と言えば貴族の自分可愛さに奴隷制度の廃止を認めるかもしれない。
「頷いていますが、反乱軍を本気でつくるおつもりですか。つくるとして指導者はどうしますか」
アーサーが私を見ている。私がやるということか。待て……。私は王子であり、次期摂政だ。私が反乱軍を成立したら意味が変わってしまう。
「僕はあまり反乱軍の件、賛成していないだ。ルカがいなくなるのはさみしい」
国王が眉を下げて私の顔を見る。どうやら心配してくれているようだ。腐っても父親なのだと思ったが、どこか他人のように感じる。ルカ自身にも父親として記憶がないからだろうと思う。
「反乱軍を作らなくともハリー・ナイトを裁き、闇市殲滅まではうまくいくと思うよ。ただこれでは一時的なもので奴隷制度廃止とルキア帝国との関わりを絶たないとまた闇市はできるよ」
確かにアーサーの言い分はわかる。奴隷制度があるかぎりは、国が輸入している奴隷に闇市用の奴隷を忍ばせることもできるし街を歩いている奴隷を一見では闇市の奴隷と判別するのも難しい。
「私は王子ですよ」
彼らはもしかして私が王子であることを忘れているのではないかと思い確認するように尋ねた。潜入捜査は騎士がやればいいと思う。だいたい私はまだ子どもだ。
「知っているよ。だからルカが適任なのだよ。我がパレス王国は知っての通り世襲制だ。つまり国民は自国を治める者を選ぶことができない。国民はその王族に何を求めると思う」
なんとなくアーサーの言いたいことが分かってきた。今は王族であるが前世の私は平民だ。その平民から見た王族というのは別世界の人間のように感じる。同じ人間ではなく神に近い存在だろう。つまり”国民を惹きつける魅力”が必要なのだ。
私の顔見て、アーサーは何かを感じ取ったようにニコリと笑う。
「わかったみたいだね。先代のイザベラ女王陛下が偉大すぎたのもあるけど、フィリップ国王陛下は残念なのだよね。おそらくこのままでは僕らが反乱軍作らなくともできるよ。そして革命がおきる可能性がある」
アーサーの話によると闇市は今始まったことではないらしいが近年になってその闇市の勢力が強くなっている。それには貴族が購入を始めたことが原因らしい。闇市に流れる資金は膨大であり、奴隷の数も多くなっている。貴族たちは忘れているが、奴隷は人間であり私たちと同じように痛みを感じ感情もある。そして、知性を持っている。今はいないがそこに指導者が現れたら我が国は変わってしまう。
私はことの深刻さに息を飲んだ。
彼女の黒髪は目立つから捕まるは必然だ。けれど彼女はすごく強い人だからすぐに闇市奴隷を仲間にして反乱軍をつくる。
彼女は一見日本人形のような女性だがけして優しくもつつましくもない。城で父が危篤と騒いでいたが、反乱軍つくったら父の危篤の話を一切しない。我が国を乗っ取った後父の死を知るが平然としている。
今ここにいない人間の話をしても仕方ない。大体彼女に反乱軍を作らせたら国を征服させてしまう。確かにアーサーが言うように反乱軍をつくり、彼らに貴族を責めさせる。それを王族が抑え”彼らにも人権がある”と言えば貴族の自分可愛さに奴隷制度の廃止を認めるかもしれない。
「頷いていますが、反乱軍を本気でつくるおつもりですか。つくるとして指導者はどうしますか」
アーサーが私を見ている。私がやるということか。待て……。私は王子であり、次期摂政だ。私が反乱軍を成立したら意味が変わってしまう。
「僕はあまり反乱軍の件、賛成していないだ。ルカがいなくなるのはさみしい」
国王が眉を下げて私の顔を見る。どうやら心配してくれているようだ。腐っても父親なのだと思ったが、どこか他人のように感じる。ルカ自身にも父親として記憶がないからだろうと思う。
「反乱軍を作らなくともハリー・ナイトを裁き、闇市殲滅まではうまくいくと思うよ。ただこれでは一時的なもので奴隷制度廃止とルキア帝国との関わりを絶たないとまた闇市はできるよ」
確かにアーサーの言い分はわかる。奴隷制度があるかぎりは、国が輸入している奴隷に闇市用の奴隷を忍ばせることもできるし街を歩いている奴隷を一見では闇市の奴隷と判別するのも難しい。
「私は王子ですよ」
彼らはもしかして私が王子であることを忘れているのではないかと思い確認するように尋ねた。潜入捜査は騎士がやればいいと思う。だいたい私はまだ子どもだ。
「知っているよ。だからルカが適任なのだよ。我がパレス王国は知っての通り世襲制だ。つまり国民は自国を治める者を選ぶことができない。国民はその王族に何を求めると思う」
なんとなくアーサーの言いたいことが分かってきた。今は王族であるが前世の私は平民だ。その平民から見た王族というのは別世界の人間のように感じる。同じ人間ではなく神に近い存在だろう。つまり”国民を惹きつける魅力”が必要なのだ。
私の顔見て、アーサーは何かを感じ取ったようにニコリと笑う。
「わかったみたいだね。先代のイザベラ女王陛下が偉大すぎたのもあるけど、フィリップ国王陛下は残念なのだよね。おそらくこのままでは僕らが反乱軍作らなくともできるよ。そして革命がおきる可能性がある」
アーサーの話によると闇市は今始まったことではないらしいが近年になってその闇市の勢力が強くなっている。それには貴族が購入を始めたことが原因らしい。闇市に流れる資金は膨大であり、奴隷の数も多くなっている。貴族たちは忘れているが、奴隷は人間であり私たちと同じように痛みを感じ感情もある。そして、知性を持っている。今はいないがそこに指導者が現れたら我が国は変わってしまう。
私はことの深刻さに息を飲んだ。
0
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
都市伝説と呼ばれて
松虫大
ファンタジー
アルテミラ王国の辺境カモフの地方都市サザン。
この街では十年程前からある人物の噂が囁かれていた。
曰く『領主様に隠し子がいるらしい』
曰く『領主様が密かに匿い、人知れず塩坑の奥で育てている子供がいるそうだ』
曰く『かつて暗殺された子供が、夜な夜な復習するため街を徘徊しているらしい』
曰く『路地裏や屋根裏から覗く目が、言うことを聞かない子供をさらっていく』
曰く『領主様の隠し子が、フォレスの姫様を救ったそうだ』等々・・・・
眉唾な噂が大半であったが、娯楽の少ない土地柄だけにその噂は尾鰭を付けて広く広まっていた。
しかし、その子供の姿を実際に見た者は誰もおらず、その存在を信じる者はほとんどいなかった。
いつしかその少年はこの街の都市伝説のひとつとなっていた。
ある年、サザンの春の市に現れた金髪の少年は、街の暴れん坊ユーリに目を付けられる。
この二人の出会いをきっかけに都市伝説と呼ばれた少年が、本当の伝説へと駆け上っていく異世界戦記。
小説家になろう、カクヨムでも公開してましたが、この度アルファポリスでも公開することにしました。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。
蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。
此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。
召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。
だって俺、一応女だもの。
勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので…
ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの?
って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!!
ついでに、恋愛フラグも要りません!!!
性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。
──────────
突発的に書きたくなって書いた産物。
会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。
他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。
4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。
4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。
4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。
21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる