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口から心臓が飛び出る
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緊張しながら、衛兵についていくと国務室にある応接室に通されたので戸惑った。摂政の個人仕事室または国王と貿易大臣が共に仕事をしている執務室に通されるかと思っていた。
衛兵が扉を開けてくれたが、いつもとは違う部屋のため体が強張る。呼吸を整えてペンダント握りながら入室するとそこには叔父いた。幼いころから見慣れている叔父の顔に安心した。
応接室には真っ赤な二つのソファがあり、その間にガラスのテーブルが置かれている。そのソファの一つに叔父が座っており、私に気づくと目の前に座ると様に促された。私は挨拶をするとゆっくりとソファに座り叔父の方をみた。
叔父は無表情であるが、雰囲気は穏やかであった。そのため、気が緩んだ。
私が座ると同時に扉を叩く音がした。叔父が返事をすると侍女があらわれ、挨拶をしてからテーブルに紅茶と焼き菓子を置くと去っていった。叔父は侍女に礼を言っている。
私はそれを見て驚いた。オリビア嬢の従者ルークが訪問する事を伝えにきただけなのに相談事でもするような準備がされている。
叔父は紅茶を一口飲むと、テーブルの上で手を組み前かがみになる。そして、ゆっくりとした口調で話はじめた。
「ルカがオリビア嬢の従者ルーク訪問について報告するために来たのは知っている」
知っているならその報告だけで終わらせてほしいと思った。しかし、そんな事は言えずに叔父の言葉に返事をした。その後、叔父は考え込んでいるようで話を始めない。私はどう切り出していいか分からずに黙って叔父の方を見る。焼き菓子のいい香りがするがそれに手を出していい雰囲気ではない。
「兄上を呼んでも構わないかい」
沈黙を破ったのは叔父の思いも寄らない発言であった。私は言葉を忘れて固まってしまった。ここで国王を呼ぶ意味が理解できない。叔父自身が言った通り私がここにきたはオリビア嬢の件の報告である。そこまで考えて気づいた。もしかしてオリビア嬢との婚約を進めようとしているのではないだろうか。確かにその覚悟があって城に彼女を連れてきたが“今すぐ”でなくてもいいと思った。第二王子と自国の令嬢の婚約はさほど大変ではないはずだ。
「ルカ?」
私が黙っていたため、改めて叔父に国王ことを確認された。摂政である叔父の申し出を断れるわけがない。しかも訪問相手が国王であるならば尚更だ。私が承諾すると叔父は断りを入れ、国王を迎えにいった。数分も経たずに叔父は国王と共に戻ってきた。私が立ち上がろうとすると国王は「そのままでかまわぬ」と言って私に挨拶をすると目の前のソファに座った。その隣に叔父が座る。
「国王陛下、どういったご用件でしょうか」
わけのわからない訪問をさっさと終わらせたかったため、私はすぐに質問をした。国王は綺麗な金色の髪をかき上げて私の方を見た。
「聞きたいことは山ほどあるのだが、まずはお主の目的を確認したい」
目的?
国王が何を言っているかさっぱりわからない。彼とは血縁関係にあるが考えていることが理解できない上に常に嘘くさい。父という距離ではないのだ。国王なのだから当たり前なのかもしれない。
気分が悪くなってきたのでペンダントを握りしめた。
私が黙っていると叔父が珍しく苦笑いを浮かべ「兄上、それではルカは答えづらいですよ」と言うと叔父は私の瞳を見つめた。
「私はまわりくどい話をするつもりはない。ルカが以前ハリー・ナイトを探していたという話を聞いた。理由を聞いていいかい」
予想外すぎる叔父の発言に私の心臓は口から飛び出しすぎてどこかへ行ってしまった。目を大きく開き言葉を発することができない。変な汗が体中から噴き出してきた。
衛兵が扉を開けてくれたが、いつもとは違う部屋のため体が強張る。呼吸を整えてペンダント握りながら入室するとそこには叔父いた。幼いころから見慣れている叔父の顔に安心した。
応接室には真っ赤な二つのソファがあり、その間にガラスのテーブルが置かれている。そのソファの一つに叔父が座っており、私に気づくと目の前に座ると様に促された。私は挨拶をするとゆっくりとソファに座り叔父の方をみた。
叔父は無表情であるが、雰囲気は穏やかであった。そのため、気が緩んだ。
私が座ると同時に扉を叩く音がした。叔父が返事をすると侍女があらわれ、挨拶をしてからテーブルに紅茶と焼き菓子を置くと去っていった。叔父は侍女に礼を言っている。
私はそれを見て驚いた。オリビア嬢の従者ルークが訪問する事を伝えにきただけなのに相談事でもするような準備がされている。
叔父は紅茶を一口飲むと、テーブルの上で手を組み前かがみになる。そして、ゆっくりとした口調で話はじめた。
「ルカがオリビア嬢の従者ルーク訪問について報告するために来たのは知っている」
知っているならその報告だけで終わらせてほしいと思った。しかし、そんな事は言えずに叔父の言葉に返事をした。その後、叔父は考え込んでいるようで話を始めない。私はどう切り出していいか分からずに黙って叔父の方を見る。焼き菓子のいい香りがするがそれに手を出していい雰囲気ではない。
「兄上を呼んでも構わないかい」
沈黙を破ったのは叔父の思いも寄らない発言であった。私は言葉を忘れて固まってしまった。ここで国王を呼ぶ意味が理解できない。叔父自身が言った通り私がここにきたはオリビア嬢の件の報告である。そこまで考えて気づいた。もしかしてオリビア嬢との婚約を進めようとしているのではないだろうか。確かにその覚悟があって城に彼女を連れてきたが“今すぐ”でなくてもいいと思った。第二王子と自国の令嬢の婚約はさほど大変ではないはずだ。
「ルカ?」
私が黙っていたため、改めて叔父に国王ことを確認された。摂政である叔父の申し出を断れるわけがない。しかも訪問相手が国王であるならば尚更だ。私が承諾すると叔父は断りを入れ、国王を迎えにいった。数分も経たずに叔父は国王と共に戻ってきた。私が立ち上がろうとすると国王は「そのままでかまわぬ」と言って私に挨拶をすると目の前のソファに座った。その隣に叔父が座る。
「国王陛下、どういったご用件でしょうか」
わけのわからない訪問をさっさと終わらせたかったため、私はすぐに質問をした。国王は綺麗な金色の髪をかき上げて私の方を見た。
「聞きたいことは山ほどあるのだが、まずはお主の目的を確認したい」
目的?
国王が何を言っているかさっぱりわからない。彼とは血縁関係にあるが考えていることが理解できない上に常に嘘くさい。父という距離ではないのだ。国王なのだから当たり前なのかもしれない。
気分が悪くなってきたのでペンダントを握りしめた。
私が黙っていると叔父が珍しく苦笑いを浮かべ「兄上、それではルカは答えづらいですよ」と言うと叔父は私の瞳を見つめた。
「私はまわりくどい話をするつもりはない。ルカが以前ハリー・ナイトを探していたという話を聞いた。理由を聞いていいかい」
予想外すぎる叔父の発言に私の心臓は口から飛び出しすぎてどこかへ行ってしまった。目を大きく開き言葉を発することができない。変な汗が体中から噴き出してきた。
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