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令嬢も転生者

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 ルイが乱暴にオリビア嬢の怪我を触ったため、彼女は変なうめき声を上げながら目を覚ました。ルイは一仕事終えた顔をしている。確かに私はオリビア嬢が起きる事を望んだがこんな乱暴なやり方は……。
 ルイは自分のやることやったとばかりにベットから少しは離れた席に座る。そのルイを見届けると私もベットの近くにあった椅子に彼女の方を見て座った。

 彼女は起き上り拳を握りしめてそんな私たちを見ている。その顔は真っ青である。また逃げるのではないかと不安があったがそのつもりはないようである。そもそも、その怪我では無理だと私は彼女の足をチラリと見た。

 「はじめまして、私はこの王国の第二王子でルカ・アレクサンダー・フィリップと申します」

 私が丁寧に挨拶をするとそれに目を細めたのはルイであった。多分私が名乗ったことに驚いたのだと思う。確かにオリビア嬢に私が名乗る必要はない。彼女は私を知っている。しかし、目の前の人物が私を知っているとは思えなかった。
 最近ルイは私に驚いていることを隠そうとする様子がある。そんな事をしても大体表情と雰囲気でわかるので意味がない。

 「王子……」

 思った通り、オリビア嬢は私が王子であることに驚いているようである。私は確証を得るために、立ち上がり棚から手鏡を出すとオリビア嬢に近くに置いた。何も言わずに不可解な顔をしていたが手鏡に手を伸ばした。そして自分の顔を見ると固まった。

 やっぱり彼女も転生者だ。

 ルイはいまいちピンと来ていない様で椅子に座ったままその様子を眉間にシワ寄せてじっと見つめているが、オリビア嬢の足に触れて以降は何も行動を起こしていない。

 「これは俺なのか……」

 固まっていたオリビア嬢が動きだした。手鏡をしっかりと握りしめている。鏡を見ながら自分の顔に触れている。部品を一つ一つ確認しているようだ。そして、自分が自分でないことを確かめているようでもある。しかし、引っかかるのは自分の事を“俺”と言ったことである。男性なのかも知れない。

 「あ…俺は……」

 私の顔見てオリビア嬢は言葉を詰まらせた。おそらく自分が自分ではないことは理解しているがそれ以上はわかってないのだろう。私に何か質問したいようであるが何を言っていいかわからないと言ったところだろうと推測する。

 「大丈夫ですよ。貴方がオリビア嬢でないことは分かっています」

 なるべく相手が不安にならないように言葉に注意して優しく微笑む。鏡を置いて体ごと私の方を向いた。そして「同じなのか」と聞くので頷いた。するとオリビア嬢の顔から険しさが薄れていった。同じ転生者であることが分かり気持ちが楽になったのであろう。

 「あの、俺……」

 困惑した顔で下を向き、自分のスカートを握りしめた。転生はものすごい困惑する。その気持ちはよく分かるだからこそ彼女を助けてあげたいと思った。ルイは今の私たちの会話で私がオリビア嬢を城につれてきた理由を察したようで頷いているが眉間のシワはなくならない。

 「何からお話しましょうか」

 
 
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