【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
上 下
71 / 146

オリビア嬢の介抱

しおりを挟む
 城に連れてきたオリビア嬢を私の部屋の隣に寝かせた。ウィリアム副団長に医療部隊の派遣をしてもらい本格的な治療をおこなった。私の護衛騎士マリア隊長の処置が適切であったため殆ど医療部隊がする事はなかったが医療騎士に数時間置きに様子を見に来てもらうことにした。護衛は私の護衛騎士にお願いした。また窓から飛び出してもらっては困る。私が預かったのだからこれ以上の怪我をさせるわけにはいかない。
 すべての手配が終わるとその足で摂政である叔父のところへ向かう。今の時間ならば公務を行っていると思う。ルイが何か言いたそうであったが後の時間にしてもらった。
 叔父は外務室の個人部屋にいた。国王陛下に会わずにすむこと幸福に思えた。あの御方に今回の事を直前話すのは躊躇した。衛兵に案内されすぐに面会することができて安心した。
 挨拶を済ませると叔父のオリビア嬢の見舞いをした報告をした。見舞いをすることは事前にルイが叔父に伝えてあったため話はスムーズに進んだ。

 「なるほど、オリビア嬢を城へ連れてきた理由はわかったが、その意味は重いぞ」

 叔父は机に肘を付き、身を乗り出して私の事をじっと見つめた。叔父は基本的に私のやることを否定しないが責任をとれというスタイルである。王子個人が政治に関わらない、人間を城へ連れてくることは婚約候補を意味すると十分に理解している。クラーク邸でウィリアム副団長に確認されるまで忘れていたが今は覚悟している。
 なんとしてでも彼女は私の手元に置いて置きたかった。

 「そのつもりです」

 叔父は珍しくため息をついたが“国王には私から伝える”と言ってくれた。上手く話してくれることを願った。
 一連の報告を終えると私は挨拶をして叔父の部屋をでた。

 準備は整ったのでオリビア嬢と話をしなくてはならない。

 もう、暴れないといいけど……。

 オリビア嬢が眠る部屋までくるとそこには思いつめた顔のルイがいた。おそらく、私に聞きたいことがたくさんあるのだろう。さっき後回しにしていまった手間今は断るわけにはいかないが、まずオリビア嬢と話がしたい。 

 「一緒にオリビア嬢の様子見る?」

 私の誘いに二つ返事で承諾した。怖い顔をしていたがとりあず私の意見を聞いてくれてよかったと思う。オリビア嬢の部屋の前には衛兵以外に護衛騎士が立っている。更にオリビア嬢近くにもう一人配備している。任務以外の事を頼んで申し訳ないと思うがお願いしてしまった。
 私とルイが扉に近づくと衛兵が扉をあけ、護衛騎士がお辞儀をしてくれた。中に入るとそこにいたのは護衛騎士マリア隊長であった。隊長各がオリビア嬢の護衛をしているを見て驚いた。他国での護衛任務ならまだしも国内のしかも城中の護衛であるなら一般騎士で十分である。

 「王子殿下」

 マリア隊長は私たちに気づくと、膝をつき挨拶をしてくれた。そのあとオリビア嬢が城にきてから一度も目覚めていないことを知らせてくれた。私は礼いいマリア隊長に扉の外にいるように伝えると躊躇していた。オリビア嬢は本日窓から飛び降りているのであるからその不安も当然だ。しかし、どうしてもマリア隊長には聞かれたくない話であった。
 なにかあればすぐに声を上げることとルイがいる事を主張して部屋から出て行ってもらった。笑顔で承諾していたマリア隊長であったが絶対に納得していないと私はなんとなく思った。
 マリア隊長が部屋から出て行った事を確認すると私とルイはオリビア嬢に近づいた。まだ眠っているようである。

 私たちがここにいる時間に起きてくれるといいけど……。

 そう思いながらオリビア嬢の顔に見ているとルイが怪我をしている足に触れた。突然のルイの奇行に私が驚いていると声にならないうめき声があがった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界で【配達スキル】を使ってダンジョンまでデリバリーしたいと思います。

黒猫
ファンタジー
日本でアルバイトでデリバリーの仕事をしたらトラックに跳ねられてしまった。 でも、神様のイタズラなのか目を覚ますと僕は異世界に着ていた。 神様からもらった[配達]のスキルを使ってこの世界でもお金を稼いでみせる! でも、まさかトラブルの連続に僕の異世界ライフはどうなってるんだ!? 攻撃力ゼロでも配達のスキルで生き抜くファンタジーをお届けします!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...