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クラーク侯爵家に向かう
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見舞いを決めたからの準備は早かった。全てルイが中心になり物事進め、今はもう王族専用の馬車の中にいる。余りの早さに頭が追いついていけず呆けていると真横に座るルイが心配そうに私をみている。それに気づき、“大丈夫”と手を上げて合図をして、何気なく窓の外を見る。
「何かあればご遠慮なくおっしゃって下さい」
私とルイの目の前に座るウィリアム副団長が頭を下げた。本来は王族護衛は専門部隊に所属する騎士が行う。しかし、摂政の計らいでウィリアム副団長をつけてくれた。恐らく、オリビア嬢の伯父であるためだ。私の我が儘のために本来の業務ではない事をお願いしてますしてしまい、申し訳なく思う。
勿論、護衛部隊も任務についている。私とルイをいつも護衛してくれる騎士の方々だ。窓の外を見ると馬に乗り馬車を守る騎士たちの姿があった。
首からかけている石をグッと握ると、窓からウィリアム副団長に視線を向けてた。
「いえ、わざわざ任務以外の事をお願いを受けて下りありがとうございます」
「感謝すべきは私の方です。ルカ第二王子殿下が姪を心配して駆けつけて下り嬉しく思います」
また、私とルイに頭を下げるウィリアム副団長に罪悪感を感じた。ルイは「大事ないといいのですが」と眉を下げている。ウソくさい笑顔じゃないがウソくさいはウソくさい。
オリビア嬢の心配は一切していない。弱っている方が会った時の精神的負担が軽いと本気で思っているのはルイも同じか。
その事で気持ちが暗くなり、下を向いた。すると、膝の上には白く小さな手かあった。私の意識で手は自由に動くが……。
漫画で不幸になってしまった人が幸せになってほしいと言う思いは変わらない。しかし、今、やっている行動が正しいのか不安になる。
「殿下、そんなに気に病まないで下さい。オリビアはまだ目を覚まさないそうですが呼吸正常とのことですし」
「あ……」
これ以上ウィリアム副団長に勘違いされては心苦しくなると思って声を出したが本来の目的は言えない。なんて言っていいか言葉に詰まってしまったところで馬車が止まった。
「到着したようですね。しばらくお待ち下さい。何かありましたらいつもでもお伺い致します」
そう言ってウィリアム副団長は先に馬車から降りた。窓の外を見るとウィリアム副団長は周囲を確認しながら他の騎士に指示をしているようである。
最後の言葉は、きっと私が何か言おうとした事を察してくれたのだろう。優しい人なのだと思う。
「王族には皆、気を使うよね」
ルイの言い方はまるでウィリアム副団長が思ってもいない事を口していると言っているようである。しかし、そんな事はないと思う。彼から違和感は感じなかった。首を傾げる。
「ルカ、別に僕は思っていること言っていることが相違しないと言っているじゃないよ。ウィリアム副団長はオリビア嬢を本気で心配していると思う。ただ、彼は……爵位を捨てて副団長になったんだよね」
ルイの意図している事が全くわからない。爵位の事は本で学んでいるからその待遇も理解している。それを捨てでも彼は騎士に憧れていのではないのだろうか。
ルイはそんな私の様子を見て苦笑しているようである。
馬車の扉が叩かれ返事をすると、「お待たせ致しました」と言ってウィリアム副団長が扉をあけた。
馬車から降りると目の前にクラーク家の立派な庭があった。馬車に乗っていた時からずっと握りしめている石を一度離す。そして首から外すと鎖を手首に巻きつけ石は手のひらに置く。指に力を入れて改めて屋敷を見上げた。
「何かあればご遠慮なくおっしゃって下さい」
私とルイの目の前に座るウィリアム副団長が頭を下げた。本来は王族護衛は専門部隊に所属する騎士が行う。しかし、摂政の計らいでウィリアム副団長をつけてくれた。恐らく、オリビア嬢の伯父であるためだ。私の我が儘のために本来の業務ではない事をお願いしてますしてしまい、申し訳なく思う。
勿論、護衛部隊も任務についている。私とルイをいつも護衛してくれる騎士の方々だ。窓の外を見ると馬に乗り馬車を守る騎士たちの姿があった。
首からかけている石をグッと握ると、窓からウィリアム副団長に視線を向けてた。
「いえ、わざわざ任務以外の事をお願いを受けて下りありがとうございます」
「感謝すべきは私の方です。ルカ第二王子殿下が姪を心配して駆けつけて下り嬉しく思います」
また、私とルイに頭を下げるウィリアム副団長に罪悪感を感じた。ルイは「大事ないといいのですが」と眉を下げている。ウソくさい笑顔じゃないがウソくさいはウソくさい。
オリビア嬢の心配は一切していない。弱っている方が会った時の精神的負担が軽いと本気で思っているのはルイも同じか。
その事で気持ちが暗くなり、下を向いた。すると、膝の上には白く小さな手かあった。私の意識で手は自由に動くが……。
漫画で不幸になってしまった人が幸せになってほしいと言う思いは変わらない。しかし、今、やっている行動が正しいのか不安になる。
「殿下、そんなに気に病まないで下さい。オリビアはまだ目を覚まさないそうですが呼吸正常とのことですし」
「あ……」
これ以上ウィリアム副団長に勘違いされては心苦しくなると思って声を出したが本来の目的は言えない。なんて言っていいか言葉に詰まってしまったところで馬車が止まった。
「到着したようですね。しばらくお待ち下さい。何かありましたらいつもでもお伺い致します」
そう言ってウィリアム副団長は先に馬車から降りた。窓の外を見るとウィリアム副団長は周囲を確認しながら他の騎士に指示をしているようである。
最後の言葉は、きっと私が何か言おうとした事を察してくれたのだろう。優しい人なのだと思う。
「王族には皆、気を使うよね」
ルイの言い方はまるでウィリアム副団長が思ってもいない事を口していると言っているようである。しかし、そんな事はないと思う。彼から違和感は感じなかった。首を傾げる。
「ルカ、別に僕は思っていること言っていることが相違しないと言っているじゃないよ。ウィリアム副団長はオリビア嬢を本気で心配していると思う。ただ、彼は……爵位を捨てて副団長になったんだよね」
ルイの意図している事が全くわからない。爵位の事は本で学んでいるからその待遇も理解している。それを捨てでも彼は騎士に憧れていのではないのだろうか。
ルイはそんな私の様子を見て苦笑しているようである。
馬車の扉が叩かれ返事をすると、「お待たせ致しました」と言ってウィリアム副団長が扉をあけた。
馬車から降りると目の前にクラーク家の立派な庭があった。馬車に乗っていた時からずっと握りしめている石を一度離す。そして首から外すと鎖を手首に巻きつけ石は手のひらに置く。指に力を入れて改めて屋敷を見上げた。
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