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ルイの妙案

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 以前ルカからもらう約束をしていた石の事を思い出した。石とは対象者を捜索する為の石である。

 迷子防止として王族の子どもにつく侍女に渡される。しかし魔法陣を発動しなくては使用できないのであまり活用させれてはいない。
 魔法陣の発動は王族のみしかできないため、その都度頼みに行かなくてはいけないのだ。自分の足と勘で探した方がはやい。

 僕は王族であるため魔法陣発動できるが、それを使うためには石版まで行かなくてはならない。不便で使えない代物だと思っていた。

 しかし、今は魔法陣を持ち歩く事ができるためいつでも対象者の捜索が可能になった。素晴らしい展開になったが、この魔法陣の安全が保証できない。力を込めた紙も魔法陣を書いた紙も検証が必要だ。だが、石なら検証は必要ない。石は専属侍女が担当の王族が生まれてから成人するまで持っているが一度も害が報告された事はない。

 つまり、僕を対象者にした石をルカに渡せばあの紙を持っているのと同じ効果が得られと推測できる。

 「どうかな」

 提案するとルカは笑顔で良い返事を返してくれた。ついでにとルカの石と催促、「分かってる」と苦笑しながら手をふられた。
 
 忘れられていないのならいい。

 すぐに石の設定を始めたいと思ったがルカは食事を再開した。さっさと食事を僕がとめてしまったのだから仕方ない。ルカは幼い頃から食べるのが大好きだ。よく母と一緒にテーブルいっぱいに料理を並べて楽しんでいた。テーブルマナーを気にせず食べるのは母の祖国流らしい。僕も数回参加したがとても楽しかったのを覚えている。
 だから、ルカはマナーを大切にしなくてはならない食堂での食事よりも美味しそうに食べる。そのルカの表情がとても好きでいつも二人で食事をしたいと思うがそうもいかない。

 「ご馳走さま」
 「ごちそうさま」

 最近ルカは食事の前後で挨拶をする。意味を聞くと“食べられることへの感謝”だという。女性の記憶らしいが、感謝するという風習を僕は気に入り今では真似をしている。ただ、食堂では周りの目があるから言えない。
 どんな時も変わらず挨拶できるルカは凄いと思う。
 
 挨拶をすると食器を台車に片付け始める。するとルカは申し訳なさそうな顔をする。さっきの食事を食べる前もだ。母と食事をした時はいつも自分で片付けていたのだから気にする必要はない。
 それを伝えると“王子なのに”と言う。

 王子はルカもだ。
 
 これは以前からだがどうもルカは自分が王子であるという意識が薄い。それが更に薄くなったように思える。
 特に公の場では王子としての振る舞いはして欲しいと思う。

 その為にもルカのあの症状は治さなくてはならない。

 
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