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閉じこもる
しおりを挟むオリビア嬢
彼女を思い出すと寒気がする。それほど強烈な人物なのであるが、あれから何年もたち年を重ねているから落ち着いていることを本気で願う。
私は家庭教師の名前も知らなかった。興味なかったけど、今考えればきちんと理解すべきであった。王族の家庭教師は全員上流貴族である。
アイザック・クラーク侯爵
爵位を持つクラーク家を私は一つしか知らない。もし、アイザック・クラーク侯爵がクラーク公爵家であるが侯爵を名乗るということは…。
オリビア・クラーク嬢も出会った時から“侯爵令嬢”であった。当時の私は彼女の父親が誰なのか気にしなかった。
貴族の家系図は図書室にない。しかし、爵位についてはあったはずである。
私は勢いよく立ち上がり部屋をでると衛兵の声をかけられたが図書室に行くといって衛兵の護衛を断る。しかし、残念ながらついてきた。
自室の扉から出たのが失敗であったと後悔する。いつもは魔法陣の練習など見られたくないので衛兵にばれないように窓から出入りするのだ。
「お待ちください」
衛兵が全力で追いかけてくる。
まこう。
私の全力で走るとあっという間に衛兵と距離ができ、気分が良くなる。そのまま進もうとしたところで衛兵の大きな声が聞こえた。
「これ以上行かれるのでしたオリバー様とアーサー様に報告致します」
私はすぐに足を止めた。
後ろから衛兵の走る音と荒い息が聞こえる。ため息をついて振り返り衛兵の方を見る。私がとまったのを確認すると歩きながら呼吸を整えているようであった。
衛兵が近づいてくるにつれ私の心拍数があがる。私を守るための衛兵だがら私に何かするわけではない。注意程度である。それもとても優しい言い方だ。
わかっているのにドキドキする。
彼はよく、私の護衛をしてくれる1人である…そういえば私は彼の名前を知らない。今まで気にもならなかった。
私のそばまで来ると膝をつき視線を合わせる。衛兵の顔をしっかり見たのは初めてであった。とても気まずい。
「いつも窓からお出になられているのは存じております。多少の事は目をつぶるように仰せつかっておりますが本日はそういうわけにはまいりません」
眉を下げて不安の顔で私を見る。私が黙って不満そうな顔がすると彼は首を横にふった。
知っていて見逃してくれた。彼は私を心配してくれているようである。
私は扉の外に人がいるのが嫌だった。いつもは自室の外のいる衛兵を邪魔だと思っていた。だから学習する時くるは一人になりたいと思い毎回逃げていた。
申し訳気持ちになる。
「ルカ様は倒れられてルイ様に運ばれ自室にお戻りになられたですよ。本日は自室でゆっくりお過ごし下さい」
優しく丁寧な言い方であるが一切反論を許さない雰囲気がある。
私は頷いて自室に戻ることを承諾した。私が自室へと足を進めると、衛兵はゆっくりと後からついてきた。
本当は礼や謝罪をすべきであるところだろうができなかったのだ。何度か言おうとしたのだが、言葉が出ないまま自室に到着した。
「ルカ様、もし本が欲しいのであれば用意いたしますがどうされますか」
衛兵の気遣いに首を振る。ここでも礼も謝罪もできなかった。話しかけられたのだがら返事をすればいいと頭ではわかっているのだが、上手くいかない。
部屋に戻りとベットの上にダイブして布団に顔をつける。色々思うことがあったが忘れることにした。
爵位の事と貴族の事を考えよう。
我が国の爵位については学んだが一族で爵位が違う理由がわからない。
なんて書いてあったかな。
図書の本は全部読んだが、一語一句覚えているわけではない。本の場所はわかるのに行けないのがもどかしい。
各貴族の家系図は図書室にはないため、クラーク家どころかどの貴族の家系図も分からない。知りたい事があるのに学べないこの環境にイライラする。
どうしよう。
そんなことを考えていると眠くなってきた。
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