上 下
44 / 146

転送魔法陣

しおりを挟む
 これからの事を考えなくてはならなかった。

 魔法陣の研修や剣の鍛錬は欠かしてはいけないのは絶対であるが、これから起こる事件を防ぐための方法を考えなくてはいけない。

 「魔法陣のわかった事は大体まとめられたね。後は検証を繰り返してできる事を確認したり増やしていく必要があるね。」

 今までまとめた紙を私に渡し、その代わりに魔法陣を書いた束を受け取った。ルイは真剣な顔で受け取った魔法陣の紙を1枚1枚確認している。
 私もルイのまとめた紙を確認した。とてもわかりやすくて驚いた。

 「読み終わったら燃やしてほしいのだけどできる?」

 「魔法陣で?」

 私が確認すると目を見てしっかりと頷いた。

 「なんで?それだと石板魔法陣を呼び出すことになるよ。この石板魔法陣は転送魔法陣の応用だから、厨房の火を転送するだよ」

 ルイの目的がよくわからなかった。紙を燃やすだけなら、ランプに火を使えばいい。

 「ハリー・ナイトは貧困地域出身だよね。だからそこへその準備をしようと思う」

 テーブルから身を乗り出して貧困地域へ行く準備方法を力説し出した。あそこへ行くなら創作魔法陣で火、水は出せるようになる必要があると言うのだ。

 確かにそうかもしれないけど……。

 「よくハリー・ナイトが貧困地域出身ってわかったね」

 「それは有名だよね」

 貧困地域行く許可なんて絶対にでない。抜け出すにしても国内一を誇る城の警備を突破するのはかなり大変だ。王子という身分は本当に動きずらい。

 「そもそも、石板魔法陣が転送魔法陣の応用ならば貧困地域転送できるじゃないのかな」

 ルイは目を輝かせて貧困地域へ行く方法を提案するが、それに対して私は眉間にシワを寄せた。テーブルに肘をついた手でおでこを抑える。

 「人を転送する石板魔法陣はあるよ。ただ、石板魔法陣から石板魔法陣だから、出発地点の石板魔法陣を呼び出して城へ戻ることになると思うよ。」

 その方法は私もすぐに思いついた。しかし、どうしても魔法陣同士の転送になるため目的地に魔法陣ないと難しい。しかし、ルイの自信満々の態度から察するに何かやり方を知っている。

 「方法があるだよね?」
 
 「もちろん」
 
 即答するルイはとても楽しそうである。

 今まで相当自分を閉じ込めていただと思う。

 ルイは胸のポケットから紙を取り出した。おそらく、ルイの力を込めた紙であろう。それを手で持ち左右に振っている。
 「これに着地点の転送魔法陣を書いて貧困地域に送ればいいでしょ。ただ、その為には大きなサイズの魔法陣が必要だし、折りたたんでいても転送できるかの確認も必要だけどね。」
 
 なるほど

 目から鱗が落ちる思いである。私は魔法陣だけでなんとかしようとしていた。魔法陣が万能ではないことをわかっているが、どこかで魔法陣で解決できないものは無理だと思い込んでいた。

 反省
  
 ルイから数枚の紙を受け取ると胸ポケットしまった。さっき大量に魔法陣を書いたためコレ後にしようと思った。手のしびれを感じる。

 「やろう。それ検証しよう」
 私は勢いよく答えたがそこで、ルイが少し難しい顔をした。今までニコニコと可能していたのに何が不安だというのだろうか。
 「検証はいいだけど、送る方法がさ」
 
 送る方法?

 ルイが自信を持っていうのだから、私が知らないだけで前世の郵便に似たような制度があるのだと思った。確かに、図書室に郵便に関する本は一切なかった。物や手紙を送る時は送る相手が直接行くか使者を出すかのどちらかだと記録されている。

 「ルカにはちょっと大変かな」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。

光子
ファンタジー
前世、神様の手違いにより、事故で間違って死んでしまった私は、転生した次の世界で、イージーモードで過ごせるように、特別な力を神様に授けられ、生まれ変わった。 ーーー筈が、この世界で、呪われていると差別されている紅い瞳を宿して産まれてきてしまい、まさかの、呪われた子と、家族に虐められるまさかのハードモード人生に…! 8歳で遂に森に捨てられた私ーーキリアは、そこで、同じく、呪われた紅い瞳の魔法使いと出会う。 同じ境遇の紅い瞳の魔法使い達に出会い、優しく暖かな生活を送れるようになったキリアは、紅い瞳の偏見を少しでも良くしたいと思うようになる。 実は神様の祝福である紅の瞳を持って産まれ、更には、神様から特別な力をさずけられたキリアの物語。 恋愛カテゴリーからファンタジーに変更しました。混乱させてしまい、すみません。 自由にゆるーく書いていますので、暖かい目で読んで下さると嬉しいです。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

強制的にダンジョンに閉じ込められ配信を始めた俺、吸血鬼に進化するがエロい衝動を抑えきれない

ぐうのすけ
ファンタジー
朝起きると美人予言者が俺を訪ねて来る。 「どうも、予言者です。あなたがダンジョンで配信をしないと日本人の半分近くが死にます。さあ、行きましょう」 そして俺は黒服マッチョに両脇を抱えられて黒塗りの車に乗せられ、日本に1つしかないダンジョンに移動する。 『ダンジョン配信の義務さえ果たせばハーレムをお約束します』 『ダンジョン配信の義務さえ果たせば一生お金の心配はいりません』 「いや、それより自由をください!!」 俺は進化して力を手に入れるが、その力にはトラップがあった。 「吸血鬼、だと!バンパイア=エロだと相場は決まっている!」

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...