【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
上 下
43 / 146

魔法陣の代償

しおりを挟む
 「まず、これでアーサーが創作魔法を使用できること、魔法陣を使いルカを監視していた可能性が判明した」
 ルイが私の顔を見てはっきりと宣言した。私はそれを肯定することができず「なるほど」とルイの意見に納得しているようにふるまった。
 「ルカもういいよね。アーサーに遭遇した件で隠していること教えて」

 バレてた。

 しかし、ルイにはあくまで予想である。私が話さなければ予想に領域を超えない。

 「黙っているところを見ると、その遭遇に魔法陣が関係しているのかな。確かにそうしたら言えないよね。それはアーサーに能力漏洩にあたる」
 
 “正解”なんて言えない。だから「そうだね」と返した。すると、ニコリと笑顔を見せてくれた。ルイの中ですべてが納得がいったようである。

 「アーサーの件は理解したよ。無理に聞きたすように責めてごめん」
 謝罪しているはず何にルイはとても楽しそうである。“ごめん”と言っているが誤る人間の顔ではない。
 よくわかないがルイが納得したのならよかったと思う。

 「魔法陣の確認しよう」

 ルイと魔法陣について今わかっている事をまとめることにした。
 
 石板魔法陣
 家庭教師からも習い城の者なら周知しているものである。子どもの私よりも大きな石板いっぱいに魔法陣が書かれている。
 それの王族が発動意思を持ち手をかざすと発動する。石板魔法陣のほとんどが転送魔法陣を基礎としたものばかりである。ルイは全種類覚えられないと言ってるが種類は数百程度で多くはない。すべての石板は城に厳重に保管されているため見たことがない。書籍から魔法陣の形を取得した。

 「数百は多いよ」
 石板魔法陣の確認をしたところでルイがつぶやく。
 古代語の種類に比べれば大したことはない。前世では覚えても価値のない漫画用語である古代語を1年以上かけて覚えたのだ。
あれは大変だった。
 覚える最大のメリットといえば二次創作が更に面白く読めることだ。それがなくても大好き漫画のことは覚えるのがとても楽しい。

 「次は呼び出す魔法陣だけどその石板魔法陣を呼び出すだけ。以上」

丁寧に1つ1つ紙にまとめているルイは私の雑な説明にため息をついた。

 「それよりも創作魔法陣の方を整理したい」

 ルイも同意見だったようで、呼び出し魔法陣の説明が雑な事に文句を言おうとしていたようだが口には出さなかった。 

 創作魔法陣
 まずは私が1人で創作魔法陣を使う場合である。魔法陣の基本は古代語だ。望むことを詳しく古代語で書きそれを円で囲むと完成である。発動は書き終わると魔法陣が浮き出てくるのでそれに発動の意思を持って手をかざす。ウサギ耳の時は魔法陣に相殺できる性質を持たせたからウサギ耳に魔法陣をぶつけた。

 「魔法陣は発動者の意思で動かすことができるだね」

 ルイは私の説明から導き出さる事柄を口にしながら記録していった。
 「明確な書き方をしないと意図しない現象が起こる」
 以前のウサギの件を思い出すと鳥肌がたった。キメラというかこの世の物とは思えないくらい恐ろしいモノが現れた。殺すのも勇気がいるほどであった。

 だから魔法陣を作る時は緊張するのに、ルイは簡単に魔法陣設計をしてしまう。

 本当に凄いと思う。

 「そうだね。昨日の少しそんな話してたね」
 苦笑しなが、ペンを走らせるルイを見て、実際ソレを見ていないから軽く扱えるのだと思った。

 次に昨日、今日と実験を続けている2人で発動する方法だ。ルイは古代語が分からないから魔法陣を書くのは私のみだ。
 ルイが力を込めたら紙に魔法陣を書くとルイが発動可能だか感覚から発動しているのは私ということなんだろう。
 
「魔法陣発動に使う力はルイからとってると思うだよね」

「食欲の話?」

 以前、私が魔法陣を使うと眠くなるという話をしたのにいまいちピンこないようである。

「魔法陣使って私倒れたでしょ。魔法陣発動に必ず力が必要なんだと思う。私は睡眠だけどルイは食欲なのかと思うだよね。人よって現れた方が違うみたいだね」
 ルイがペンをとめた。口に手をあててテーブルの端に置いてあるからになった皿をみる。あの時の事を思い出しているようである。
「あれは不思議だったんだ。ルカに食事に誘われた後お腹空いて仕方なかった。食べ終わった後も足りなかった。けど、ルカに魔法陣を破られて頭が真っ白になると食欲の事は忘れてしまっただよね。気づいた後いつもと変わらないかな」
「うーん。発動をとめたと同時に戻ったという事は、魔法陣の発動中はお腹空くって事かな」
 つまり、食べ続ければいくらでも発動可能と言える。体力切れると眠ってしまい魔法陣がとまってしまう私より使える。
 ただ、そのいくらでもは本当に限界がないのか疑問に思う。

「私の魔法陣は限界になれば眠くなるけど、ルイのは限界が分からないから不安だね。さっきの様子から発動から30分後にはお腹すいたみたいね」
「僕の事を怒っていたわりには冷静だったんだね」
 イヤミのように聞こえるが、きっと思った事を口にしたんだろう。いつもの笑顔で普通に話している。
「確かに、不安要素のあるものは使いづらいし検証するよ」
 だから、監視魔法陣を書いてほしいと胸ポケットからルイの力を込めた紙の束をだす。
 数に驚き、ルイの顔を見るといつもの笑顔である。
「全部に監視魔法を書いてほしい。破らないととまらないみたいだからたくさん欲しいだよね」

「準備いいね」

 紙の束を自分に近づけると、監視魔法陣を書き始めた。
「それともう一つ。私が発動した魔法陣をルイが継続することができるみたいだね。それだと私の体力を使うから昨日みたいに動けなくなるけど」

 昨日の身体が動かせずに本当につらかった。
 私はルイの顔見ずに、魔法陣を書きながら伝えたが答えが帰って来なかった。
 ただ、記録をしているようでペンを走らせる音がした。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...