【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

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魔法陣の代償

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 「まず、これでアーサーが創作魔法を使用できること、魔法陣を使いルカを監視していた可能性が判明した」
 ルイが私の顔を見てはっきりと宣言した。私はそれを肯定することができず「なるほど」とルイの意見に納得しているようにふるまった。
 「ルカもういいよね。アーサーに遭遇した件で隠していること教えて」

 バレてた。

 しかし、ルイにはあくまで予想である。私が話さなければ予想に領域を超えない。

 「黙っているところを見ると、その遭遇に魔法陣が関係しているのかな。確かにそうしたら言えないよね。それはアーサーに能力漏洩にあたる」
 
 “正解”なんて言えない。だから「そうだね」と返した。すると、ニコリと笑顔を見せてくれた。ルイの中ですべてが納得がいったようである。

 「アーサーの件は理解したよ。無理に聞きたすように責めてごめん」
 謝罪しているはず何にルイはとても楽しそうである。“ごめん”と言っているが誤る人間の顔ではない。
 よくわかないがルイが納得したのならよかったと思う。

 「魔法陣の確認しよう」

 ルイと魔法陣について今わかっている事をまとめることにした。
 
 石板魔法陣
 家庭教師からも習い城の者なら周知しているものである。子どもの私よりも大きな石板いっぱいに魔法陣が書かれている。
 それの王族が発動意思を持ち手をかざすと発動する。石板魔法陣のほとんどが転送魔法陣を基礎としたものばかりである。ルイは全種類覚えられないと言ってるが種類は数百程度で多くはない。すべての石板は城に厳重に保管されているため見たことがない。書籍から魔法陣の形を取得した。

 「数百は多いよ」
 石板魔法陣の確認をしたところでルイがつぶやく。
 古代語の種類に比べれば大したことはない。前世では覚えても価値のない漫画用語である古代語を1年以上かけて覚えたのだ。
あれは大変だった。
 覚える最大のメリットといえば二次創作が更に面白く読めることだ。それがなくても大好き漫画のことは覚えるのがとても楽しい。

 「次は呼び出す魔法陣だけどその石板魔法陣を呼び出すだけ。以上」

丁寧に1つ1つ紙にまとめているルイは私の雑な説明にため息をついた。

 「それよりも創作魔法陣の方を整理したい」

 ルイも同意見だったようで、呼び出し魔法陣の説明が雑な事に文句を言おうとしていたようだが口には出さなかった。 

 創作魔法陣
 まずは私が1人で創作魔法陣を使う場合である。魔法陣の基本は古代語だ。望むことを詳しく古代語で書きそれを円で囲むと完成である。発動は書き終わると魔法陣が浮き出てくるのでそれに発動の意思を持って手をかざす。ウサギ耳の時は魔法陣に相殺できる性質を持たせたからウサギ耳に魔法陣をぶつけた。

 「魔法陣は発動者の意思で動かすことができるだね」

 ルイは私の説明から導き出さる事柄を口にしながら記録していった。
 「明確な書き方をしないと意図しない現象が起こる」
 以前のウサギの件を思い出すと鳥肌がたった。キメラというかこの世の物とは思えないくらい恐ろしいモノが現れた。殺すのも勇気がいるほどであった。

 だから魔法陣を作る時は緊張するのに、ルイは簡単に魔法陣設計をしてしまう。

 本当に凄いと思う。

 「そうだね。昨日の少しそんな話してたね」
 苦笑しなが、ペンを走らせるルイを見て、実際ソレを見ていないから軽く扱えるのだと思った。

 次に昨日、今日と実験を続けている2人で発動する方法だ。ルイは古代語が分からないから魔法陣を書くのは私のみだ。
 ルイが力を込めたら紙に魔法陣を書くとルイが発動可能だか感覚から発動しているのは私ということなんだろう。
 
「魔法陣発動に使う力はルイからとってると思うだよね」

「食欲の話?」

 以前、私が魔法陣を使うと眠くなるという話をしたのにいまいちピンこないようである。

「魔法陣使って私倒れたでしょ。魔法陣発動に必ず力が必要なんだと思う。私は睡眠だけどルイは食欲なのかと思うだよね。人よって現れた方が違うみたいだね」
 ルイがペンをとめた。口に手をあててテーブルの端に置いてあるからになった皿をみる。あの時の事を思い出しているようである。
「あれは不思議だったんだ。ルカに食事に誘われた後お腹空いて仕方なかった。食べ終わった後も足りなかった。けど、ルカに魔法陣を破られて頭が真っ白になると食欲の事は忘れてしまっただよね。気づいた後いつもと変わらないかな」
「うーん。発動をとめたと同時に戻ったという事は、魔法陣の発動中はお腹空くって事かな」
 つまり、食べ続ければいくらでも発動可能と言える。体力切れると眠ってしまい魔法陣がとまってしまう私より使える。
 ただ、そのいくらでもは本当に限界がないのか疑問に思う。

「私の魔法陣は限界になれば眠くなるけど、ルイのは限界が分からないから不安だね。さっきの様子から発動から30分後にはお腹すいたみたいね」
「僕の事を怒っていたわりには冷静だったんだね」
 イヤミのように聞こえるが、きっと思った事を口にしたんだろう。いつもの笑顔で普通に話している。
「確かに、不安要素のあるものは使いづらいし検証するよ」
 だから、監視魔法陣を書いてほしいと胸ポケットからルイの力を込めた紙の束をだす。
 数に驚き、ルイの顔を見るといつもの笑顔である。
「全部に監視魔法を書いてほしい。破らないととまらないみたいだからたくさん欲しいだよね」

「準備いいね」

 紙の束を自分に近づけると、監視魔法陣を書き始めた。
「それともう一つ。私が発動した魔法陣をルイが継続することができるみたいだね。それだと私の体力を使うから昨日みたいに動けなくなるけど」

 昨日の身体が動かせずに本当につらかった。
 私はルイの顔見ずに、魔法陣を書きながら伝えたが答えが帰って来なかった。
 ただ、記録をしているようでペンを走らせる音がした。


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