【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
上 下
40 / 146

魔法陣と古代語

しおりを挟む
 サイドテーブルに置いてあったペンとインクを持ってルイと対面になる形でテーブルにつく。すると、ルイがポケットからあの紙を2枚出すと私に渡した。「無理はしないでほしい。」と渡すとき躊躇していたが軽くうなずいて紙を強くひいて受け取った。
 私が魔法陣を書いてるのをルイの大きな目が見つけている。人に見られて書くのは緊張する。 

 「前から思ってたんだけど、その文字ってなに?」
 「古代語でしょ。」 

 当たり前のように答えると、ルイは口に手を当てて何を考えているようだ。
 「古代語って、我が国と隣国パニーアができる前にあったとされている言葉のこと?」

 ルイの言葉に記憶を巡らせる。私が古代語を知ったのは前世の公式書籍であることを思い出した。この半年間で大量に本を読みすぎて前世と現世で知った知識が混じってしまうことがある。
 「前世の記憶」
 不信に思っているルイが納得したように頷いた。現在、我が国で古代語は魔法陣のみでしか使われていない。魔法陣も研究されてはいないためそれが古代語であることを知るものは少ない。そもそも、我が国あまり研究熱心ではない。自分で何かを発見するというよりもある物を利用して生活している。だから教えてもらった通りのやり方で行うルイは優秀とされるのである。
そのルイは現在魔法陣の研究を夢中であるから不思議な感じがする。
 「なるほど」

 出来上がった魔法陣の紙を持ち上げてじっくりと見ていた。

 「古代語とわかるとまた違って見える気がする。」

 「分かりづらいから魔法陣に名前つけたよ。紙の隅に書いた。撮るのを動く絵画として動画魔法陣、観るのを映る肖像画として映像魔法陣でいいかな。」

 前世の言葉を持ってきた単純なものであるがわかりやすいのが一番いい。

 「そうだね。今後は創作魔法陣には名前をつけていこう。」

 そういいながら魔法陣の紙をテーブルに置きの上の手を掲げると魔法陣が光、私の中で魔法陣が発動する感覚があった。1つ発動すると続けてもう1つを発動する。動画魔法陣は発動時に光ったがその後は発動前の状態と同じである。映像魔法陣は古代語が消えて丸い枠の中に自室の天井が映し出されていた。

 「発動した感覚はあったけど体力の消耗は感じない。」

 昨日この魔法陣を発動した時の体力の消耗は激しかった。発動後すぐに疲れを感じた。その後1時間くらいで立っていられなくなり、数時間後には睡魔に襲われた。しかし、現在は疲れを一切感じない。

 「僕はなんともないよ。」

 ルイも平然と立っている。

 「魔法陣を発動する力はどこからきているだろう。」
 「このまま発動続ければわかるじゃないかな。」
 ルイの案に同意すると彼は笑顔で動画魔法陣を持って立ち上がり、棚から壁専用のテープをだした。何をしたいのかわからず見守っていると、なんと部屋の壁に貼った。しかも丁度部屋すべてを見渡せる場所である。あまりに普通に行動するので一瞬何をしているのか意味がわかなかった。
 気づいた時にはルイの頭を手で思いっきり殴っていた。

 「!!」

 その勢いでルイは魔法陣の書かれた紙を持ったまま地面に倒れた。
 男同士であるから同じ部屋で着替えることは構わない。しかし、自室での行動をすべて見ようとするのは違う。


 私は息を切らしながら床に突っ伏すルイを見下ろす。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果

kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。 自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。 魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。 此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。 召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。 だって俺、一応女だもの。 勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので… ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの? って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!! ついでに、恋愛フラグも要りません!!! 性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。 ────────── 突発的に書きたくなって書いた産物。 会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。 他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。 4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。 4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。 4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました! 4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。 21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...