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ルイの魔法陣能力
しおりを挟む二つの魔法陣を発動させたのは覚えてる。それにルイが夢中になっているのを見ていたら眠くなってしまった。
そこまで話してから魔法陣の体力消耗についてルイに説明すると眉を下げてた。
あまり心配をかけないように疲労感で立てなくなった話しはせずに眠くなったとだけ伝えた。
「少ししたら一瞬魔法陣が消えかかったから、石版の魔法陣発動する方法を使ってみたら魔法陣継続したんだ。ルカの力使ってたんだね。ごめん」
暗い顔してルイが謝罪した。
今回はそういうのも含めて実験であったし気にするつもりはない。
「言い訳をするなら魔法陣の発動にルカの体力をつかっていると思わなかっただ。夜だから眠いと安易に考えてしまった」
「それはいい。けどもう少しルイの魔法陣能力を確認したいね」
私の提案にすぐに同意した。
ルイは石版魔法陣の発動しかできないと言ってができないのではなくやっていないの間違えではないかと思う。ルイも同じようなを考えていたようでその疑問を口にした。
さっきの私の身体を気遣い申し訳ないとしていた暗い顔はどこかへ消え、口に手を当てて真剣な表情をしている。
「僕は魔法陣に興味なかったから最低の事しか知らないだよ」
そういいながら、上着の胸ポケットか一枚の紙を出した。そこには一切なにも書いていない。私は意味がわからなくその紙を見ていると“失礼”と言って立ち上がり棚からペンとインクそして、白紙を出しサイドテーブルに置く。胸ポケットから出した紙もだ。そして改めて椅子に座ると私を見た。
そして、胸ポケットから取り出した紙を指差す。
「この紙は僕が魔法陣の発動するとき込める力を込めてみた。だけど、特に変化はなく普通の紙に見える」
私はその紙を見て頷いた。私にも普通の紙と変わらないように見える。
「で、こっちは今棚から出した紙。これに魔法陣を描いて欲しい」
ルイの言っている意図は理解できた。本当に、今日が休息の日であり予定が何もなかったから良かった。そうでなれば昨夜、魔法陣の実験などできない。
ぐ~
そこまで話している途中でお腹なる音がした。朝から何も食べていない上に魔法陣で体力消耗ので当たり前である。
「これ描いておいて。外の衛兵にでも伝えて食事の持ってこさせるから」
私の様子にバタバタと立ち上がると扉を開けて外の者も話してをしている。食事を持ってきてくれるのは嬉しい。しかし、お腹が空いたと自覚してしまってから、何か食べたいと思いが強くなっていた。それなのに魔法陣を描けというから不愉快になった。
そもそも、魔法陣を発動しなくても描くのは頭を使う。
ルカは朝食に行ったのかな。もし行っていたらぶん殴ってやりたい。
自分の考えに頭をふった。今まで誰に対してもそんな品のない事を思ったことはない。ルイのあの気持ち悪さから彼の扱いが私の中でかなり雑になってしまっている。
思いは言葉に、言葉は行動にでてしまう。
気をつけないとルイ本人が気にしなくても周りの反感をかってしまう。ルイの評価は私と天地の差があるのだから。
魔法陣を丁度書き終えた所でルイが食事を持って戻ってきた。時間が掛かると思っていたのに食事をすぐに持ってきた事に驚いた。
ルイはサイドテーブルの上にある魔法陣を書いた紙を手にして代わりに食事を置く。それから部屋の中央にある席に着き、座り目の前のテーブルに魔法陣の書いた紙を並べた。そこから顔だけ動かし私の方を見る。
「侍女のサラとリサに、ルカの不調を伝えていたので食事準備してくれていたんだよ」
サラは私の侍女だがリサはルイの侍女である。彼女にまで迷惑をかけてしまったのかと思うと心が痛い。
「体調不良といったの?」
「朝食に参加できない理由はそれしかないでしょ」
以前、”体調不良”と言って食事を欠席していたため、実際の体調が悪くいたたまれない気持ちになる。
「きっとウソだと思われている」
「大丈夫だよ」
根拠が全く分からないルイの笑顔がもどかしい思う。素敵な王子様だと思っていた残念だ。
サイドテーブルには良い香りのするパンとスープそれに煮た野菜がった。体調が悪くても食べやすい様に配慮されている事からサラ達の気遣いを感じる。
食事は二人分あった。
「ルイ食べていないだね。もし先食べていたら…」
さっきの気持ちを引きずってしまいルイを睨んでしまった。すると、ルイはほほを染め高揚した笑顔を見せる。
「ルカが心配だったから食べないよ」
全く心配そうな顔をしていないルイに私は失敗したと思った。
睨まれるもの嬉しいのか。
頭を振り気持ちを落ち着かせると手を合わせて食事の挨拶をして食べ始める。食べながら食事を持ってきてくれたお礼をルイに言っていないことに気づいた。しかし、ルイの顔を見ると礼をする気分になれず食事に視線をうつした。
私が食事を始めるとルイは魔法陣の紙を見つめた。
発動の準備をしているのだろう。
しばらく食事をしていると魔法陣を発動する時と同じ感覚に襲われ食事の手をとめた。
「できた」
ルイの声に目を向けるとテーブルの上に置いてある2枚の紙のうち、1枚だけ上にカップがのっていた。私は立ち上がり部屋の棚をあけるとそこのあったカップがなくなっていた。転送魔法陣が成功している。
「僕が力を込めた方だけ成功したよ」
「発動したのはわかったけど発動で体力に消耗がないみたい。ルイは?」
ルイは魔法陣の紙の2枚の紙を丁寧折り、ポケットにしまいながら答えた。
「石板魔法陣の発動を数回しか行っていないから、定かではないだけど発動の感覚はないかな。体力はどうだろう。あまり変わらないかな」
発動の感覚が私にあるということは私の発動魔法陣であることは確かなのであるが、お互いに体力消耗がないのは意味が分からない。あの魔法陣は発動の時、どこのエネルギーを使っただろうか。
「今日は私体調不良なんだよね」
そう言ってから昨日の魔法陣を今の方法での発動を提案すると、ルイは心配そうに眉をひそめた。
「本当に倒れたことは心配してくれたんだ」
「当たり前だよ」
私の台詞に口調を強くして主張していた。目を大きくして私を見るルイにとても安心した。
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