【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
上 下
39 / 146

ルイの魔法陣能力

しおりを挟む
 
 二つの魔法陣を発動させたのは覚えてる。それにルイが夢中になっているのを見ていたら眠くなってしまった。

 そこまで話してから魔法陣の体力消耗についてルイに説明すると眉を下げてた。

 あまり心配をかけないように疲労感で立てなくなった話しはせずに眠くなったとだけ伝えた。
 「少ししたら一瞬魔法陣が消えかかったから、石版の魔法陣発動する方法を使ってみたら魔法陣継続したんだ。ルカの力使ってたんだね。ごめん」
 
 暗い顔してルイが謝罪した。
 
 今回はそういうのも含めて実験であったし気にするつもりはない。
 「言い訳をするなら魔法陣の発動にルカの体力をつかっていると思わなかっただ。夜だから眠いと安易に考えてしまった」
 「それはいい。けどもう少しルイの魔法陣能力を確認したいね」 
私の提案にすぐに同意した。
ルイは石版魔法陣の発動しかできないと言ってができないのではなくやっていないの間違えではないかと思う。ルイも同じようなを考えていたようでその疑問を口にした。

 さっきの私の身体を気遣い申し訳ないとしていた暗い顔はどこかへ消え、口に手を当てて真剣な表情をしている。

 「僕は魔法陣に興味なかったから最低の事しか知らないだよ」

 そういいながら、上着の胸ポケットか一枚の紙を出した。そこには一切なにも書いていない。私は意味がわからなくその紙を見ていると“失礼”と言って立ち上がり棚からペンとインクそして、白紙を出しサイドテーブルに置く。胸ポケットから出した紙もだ。そして改めて椅子に座ると私を見た。
 そして、胸ポケットから取り出した紙を指差す。 

 「この紙は僕が魔法陣の発動するとき込める力を込めてみた。だけど、特に変化はなく普通の紙に見える」

 私はその紙を見て頷いた。私にも普通の紙と変わらないように見える。
 「で、こっちは今棚から出した紙。これに魔法陣を描いて欲しい」
 ルイの言っている意図は理解できた。本当に、今日が休息の日であり予定が何もなかったから良かった。そうでなれば昨夜、魔法陣の実験などできない。

 ぐ~

 そこまで話している途中でお腹なる音がした。朝から何も食べていない上に魔法陣で体力消耗ので当たり前である。 
 「これ描いておいて。外の衛兵にでも伝えて食事の持ってこさせるから」
 私の様子にバタバタと立ち上がると扉を開けて外の者も話してをしている。食事を持ってきてくれるのは嬉しい。しかし、お腹が空いたと自覚してしまってから、何か食べたいと思いが強くなっていた。それなのに魔法陣を描けというから不愉快になった。

 そもそも、魔法陣を発動しなくても描くのは頭を使う。

 ルカは朝食に行ったのかな。もし行っていたらぶん殴ってやりたい。

 自分の考えに頭をふった。今まで誰に対してもそんな品のない事を思ったことはない。ルイのあの気持ち悪さから彼の扱いが私の中でかなり雑になってしまっている。

 思いは言葉に、言葉は行動にでてしまう。


 気をつけないとルイ本人が気にしなくても周りの反感をかってしまう。ルイの評価は私と天地の差があるのだから。

 魔法陣を丁度書き終えた所でルイが食事を持って戻ってきた。時間が掛かると思っていたのに食事をすぐに持ってきた事に驚いた。
 ルイはサイドテーブルの上にある魔法陣を書いた紙を手にして代わりに食事を置く。それから部屋の中央にある席に着き、座り目の前のテーブルに魔法陣の書いた紙を並べた。そこから顔だけ動かし私の方を見る。
「侍女のサラとリサに、ルカの不調を伝えていたので食事準備してくれていたんだよ」
サラは私の侍女だがリサはルイの侍女である。彼女にまで迷惑をかけてしまったのかと思うと心が痛い。
「体調不良といったの?」
「朝食に参加できない理由はそれしかないでしょ」
 以前、”体調不良”と言って食事を欠席していたため、実際の体調が悪くいたたまれない気持ちになる。

「きっとウソだと思われている」
「大丈夫だよ」

 根拠が全く分からないルイの笑顔がもどかしい思う。素敵な王子様だと思っていた残念だ。
 サイドテーブルには良い香りのするパンとスープそれに煮た野菜がった。体調が悪くても食べやすい様に配慮されている事からサラ達の気遣いを感じる。
 食事は二人分あった。
「ルイ食べていないだね。もし先食べていたら…」
 さっきの気持ちを引きずってしまいルイを睨んでしまった。すると、ルイはほほを染め高揚した笑顔を見せる。
「ルカが心配だったから食べないよ」
全く心配そうな顔をしていないルイに私は失敗したと思った。

睨まれるもの嬉しいのか。

 頭を振り気持ちを落ち着かせると手を合わせて食事の挨拶をして食べ始める。食べながら食事を持ってきてくれたお礼をルイに言っていないことに気づいた。しかし、ルイの顔を見ると礼をする気分になれず食事に視線をうつした。
 私が食事を始めるとルイは魔法陣の紙を見つめた。
 発動の準備をしているのだろう。

 しばらく食事をしていると魔法陣を発動する時と同じ感覚に襲われ食事の手をとめた。

「できた」

 ルイの声に目を向けるとテーブルの上に置いてある2枚の紙のうち、1枚だけ上にカップがのっていた。私は立ち上がり部屋の棚をあけるとそこのあったカップがなくなっていた。転送魔法陣が成功している。
「僕が力を込めた方だけ成功したよ」
「発動したのはわかったけど発動で体力に消耗がないみたい。ルイは?」
 ルイは魔法陣の紙の2枚の紙を丁寧折り、ポケットにしまいながら答えた。
「石板魔法陣の発動を数回しか行っていないから、定かではないだけど発動の感覚はないかな。体力はどうだろう。あまり変わらないかな」
 発動の感覚が私にあるということは私の発動魔法陣であることは確かなのであるが、お互いに体力消耗がないのは意味が分からない。あの魔法陣は発動の時、どこのエネルギーを使っただろうか。

「今日は私体調不良なんだよね」

 そう言ってから昨日の魔法陣を今の方法での発動を提案すると、ルイは心配そうに眉をひそめた。
「本当に倒れたことは心配してくれたんだ」
「当たり前だよ」
 私の台詞に口調を強くして主張していた。目を大きくして私を見るルイにとても安心した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果

kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。 自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。 魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

処理中です...