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さみしいルイ
しおりを挟むまた、ルカの前で大泣きした。
ルカを思うと涙が出てくるのだ。
ルカの思いを聞けたので良かったと感じている。前世の記憶は嘘ではないと思うが、ルカはルカだ。
人見知りで意地っ張りなところは幼いころから変わっていなくて嬉しく思った。これで、幼い頃のように仲良くできると思ったのが現実は甘くなかった。
ルカは毎朝、剣術の訓練を一緒に行うがそれ以降はずっと図書室にいる。夕食には顔出すが終わればまた図書室か独りで鍛錬をつんでいる。
朝の剣術の訓練だって本当に訓練のみであり会話の殆どが剣に関してだ。僕の言葉を無視するわけではなく、返してくれるがすぐに剣術の話しになっていまう。
最初は長く避けていたため打ち解けるのは難しい思い、自分のモヤモヤする気持ちを抑えていた。しかし、1週間以上同じ状態が続いたので、痺れをきらし自分からルカに関わる事にした。
きっとルカは図書室で学習しているのでそば一緒に本を読むくらいならよいかと思い図書室に行くとなんと、そこからアーサーが楽しげにでてきた。アーサーの口から“ルカ”という言葉が聞き取れたためルカが中にいることは理解できた。
アーサーが目に入った瞬間、僕は反射的に柱の影に隠れた。
彼が立ち去ってもその場を動く事ができなかった。そして立ち去った後もとても嫌な気持ちなりルカの所へ迎えなかったのである。
今までだってアーサーは良くルカと一緒にいた。
僕を避けている時もルカはアーサーといた。
以前はルカがアーサーといる事に対して特別何かを思った事なかった。しかし、今はとても嫌だと感じる。
アーサーは既婚者であるし、そもそも25歳以上離れた甥に手を出すのは問題である。
そんな事は理解しているが気持ちがついていかない。
黒く気持ち悪い物が自分を包み込み立っていられなくなり、その場にしゃがみこむ。あまりに長くいたようで侍女に声をかけられた。
「ルイ様?」
ルカの専属侍女のサラだ。おそらく夕食のためルカを呼びに来たのであろう。
「ご気分が優れないのでしょうか」
心配するサラにお礼と大丈夫である事を伝えるとその足で夕食に向かった。その日の夕食を覚えていないが特に何も言われなかったためいつも通りこなせたのだろう。
気付くと自室のベッドの上にいた。いつも見ている天井がある。
窓の外からは素振りの音がする。
恐らくルカだろう。
いつもはルカが鍛錬してる姿を見ていた。しかし、今日は見ることができない。
目をつぶると実際に確認していないのに図書室でルカとアーサーが楽しげに笑いあっている姿が脳裏に浮かぶ。
僕といるルカはいつも必死な顔をしている。勿論笑ってくれる事もあるが、お互いといるのが楽しくて笑うのとは違う。
「あー」
自分の気持ちがわからなくなり、枕に顔を埋める。
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