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国王の弟
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目的の本棚に着くと、一冊の大きな本を取り出し床に広げページを素早くめくっていく。
「ルカ、この図書室の本、何がどこにあるか把握してるの?」
私の後ろで、相変わらず優しい声でいてくる。探し物をしてる時に当たり前のことを聞かれて面倒くさく感じ返事か少し乱暴になってしまった。
「当たり前だよ。半年間も通ったんだよ。全書物の内容及び置いてある場所は理解してる。」
本から一切目を話さずに答える。
ルカがパラパラと本を目的のページまでめくっていく。それをルイは苦笑しなが見ていた。
「学ぶって教えてもらうだけじゃダメだよね。」
「さっきから何言ってるの?」
本をめくる手を止めて後ろでしゃがみこんでいるルイを見た。
当たり前の事を言うルイが分からなかった。
学習とは確かに教師から学ぶ事を言うがそれは高等な学校や塾に通える裕福な人間のする事である。私の前世はSEだがお金がないため専門学校や大学で学んではいない。パソコンの言語などは全て独学だ。
そこまで考えて気づいた。ルイはもっとも裕福な王族である。私も前世の知識がなければ教師に教わるのを覚えるという勉強をしていただろう。
まぁルカはそれすら逃げているけど。
「僕も勉強しないといけないと思ったよ。」
「そっか」
漫画でのルイは、学習に対して完全に受け身であるから積極的に学ぶ気持ちになって良かったと思う。
視線を本に戻すと見つけた。
「ルイ、これ」
王族の家系図を指差すと、私の後ろから本を覗き込み「うーん」っと唸っている。理解してないのかと思いもう一度強めに伝える。
「だから、これ」
父の名であるフィリップの横にある名を指差した。
「国王の弟って誰?」
「あー、叔父のアンドルーだね」
ルイが国王の弟の名前をすぐに言った事に驚いた。家系図には名があったようであるが消されてて読む事ができない。しかし、ルイの言い方からすると知っていて当たり前のようである。
詳しく話を聞きたいと思い、振り返るとルイは目尻を下げていた。
「あー名前が消えてるのは、事件があっただよ。公にできない事件がさ。」
「それは私が聞いてはいけないこと?」
言葉を一つ一つ選ぶように話すルイがとても気になった。王位継承者しか知ってはいけない事であればルイの口から聞くことはできない。
ルイに迷惑をかけてしまう。
「いや、そうじゃないけど多分意図的にルカの耳に入らないようにしていたのか知れない。」
アンドルーによるフィリップ第一王子暗殺未遂事件を丁寧に教えてくれた。
「……」
視線を本のアンドルーとかつて書かれてあった場所を指さし、トントンと叩く。
この事件は私の中で引っかかっていた。今後の事件に繋がる何かだった気がするのだ。しかし、アンドルーが王族なら美しい顔持っているはずであるしそれが奴隷となれば生きている可能は低い。
同じように美しい顔ばかりの城ではそうでもないが外にでれば目立つ。逃げるのは難しいであろう。
漫画の事を思い出せそうで思い出せない。
「だから。ルカは気づいているかもしれないけど」
私が何も言わない事が気がかりになったのかルイはゆっくりと口を開いた。
「多分、その事件から第二王子には神経質になるみたいだ。」
後ろにいるルイの顔は良く見えないが言葉を選び、気を使われていることはわかる。
神経質……アーサー?
気にしたことはなかったが、考えてみれば昔からアーサーがタイミングよく現れる事は多かった。半年前、魔法陣を使っている時に丁度よく現れてたのはいい例である。監視カメラでもあるのかと思った。
監視カメラ……
アーサーは魔法陣がよく分からないと言っていた。それは本当だろうか。
確証はない。
「ルカ、この図書室の本、何がどこにあるか把握してるの?」
私の後ろで、相変わらず優しい声でいてくる。探し物をしてる時に当たり前のことを聞かれて面倒くさく感じ返事か少し乱暴になってしまった。
「当たり前だよ。半年間も通ったんだよ。全書物の内容及び置いてある場所は理解してる。」
本から一切目を話さずに答える。
ルカがパラパラと本を目的のページまでめくっていく。それをルイは苦笑しなが見ていた。
「学ぶって教えてもらうだけじゃダメだよね。」
「さっきから何言ってるの?」
本をめくる手を止めて後ろでしゃがみこんでいるルイを見た。
当たり前の事を言うルイが分からなかった。
学習とは確かに教師から学ぶ事を言うがそれは高等な学校や塾に通える裕福な人間のする事である。私の前世はSEだがお金がないため専門学校や大学で学んではいない。パソコンの言語などは全て独学だ。
そこまで考えて気づいた。ルイはもっとも裕福な王族である。私も前世の知識がなければ教師に教わるのを覚えるという勉強をしていただろう。
まぁルカはそれすら逃げているけど。
「僕も勉強しないといけないと思ったよ。」
「そっか」
漫画でのルイは、学習に対して完全に受け身であるから積極的に学ぶ気持ちになって良かったと思う。
視線を本に戻すと見つけた。
「ルイ、これ」
王族の家系図を指差すと、私の後ろから本を覗き込み「うーん」っと唸っている。理解してないのかと思いもう一度強めに伝える。
「だから、これ」
父の名であるフィリップの横にある名を指差した。
「国王の弟って誰?」
「あー、叔父のアンドルーだね」
ルイが国王の弟の名前をすぐに言った事に驚いた。家系図には名があったようであるが消されてて読む事ができない。しかし、ルイの言い方からすると知っていて当たり前のようである。
詳しく話を聞きたいと思い、振り返るとルイは目尻を下げていた。
「あー名前が消えてるのは、事件があっただよ。公にできない事件がさ。」
「それは私が聞いてはいけないこと?」
言葉を一つ一つ選ぶように話すルイがとても気になった。王位継承者しか知ってはいけない事であればルイの口から聞くことはできない。
ルイに迷惑をかけてしまう。
「いや、そうじゃないけど多分意図的にルカの耳に入らないようにしていたのか知れない。」
アンドルーによるフィリップ第一王子暗殺未遂事件を丁寧に教えてくれた。
「……」
視線を本のアンドルーとかつて書かれてあった場所を指さし、トントンと叩く。
この事件は私の中で引っかかっていた。今後の事件に繋がる何かだった気がするのだ。しかし、アンドルーが王族なら美しい顔持っているはずであるしそれが奴隷となれば生きている可能は低い。
同じように美しい顔ばかりの城ではそうでもないが外にでれば目立つ。逃げるのは難しいであろう。
漫画の事を思い出せそうで思い出せない。
「だから。ルカは気づいているかもしれないけど」
私が何も言わない事が気がかりになったのかルイはゆっくりと口を開いた。
「多分、その事件から第二王子には神経質になるみたいだ。」
後ろにいるルイの顔は良く見えないが言葉を選び、気を使われていることはわかる。
神経質……アーサー?
気にしたことはなかったが、考えてみれば昔からアーサーがタイミングよく現れる事は多かった。半年前、魔法陣を使っている時に丁度よく現れてたのはいい例である。監視カメラでもあるのかと思った。
監視カメラ……
アーサーは魔法陣がよく分からないと言っていた。それは本当だろうか。
確証はない。
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