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うさぎの耳
しおりを挟む「ルカ?」
気づくとルイの綺麗な顔至近距離にあり驚く。うさぎの耳を揺らしながら真っ青な顔をしたルイが私の顔を覗き込んでいたのだ。
「何度も呼んでいるんだけど」
「あ、忘れてた」
考え事をして完全にルイのことを忘れていた。慌てて謝罪する。生き物を殺した話をしたらルイが青ざめていたんたのを思いだした。
私の事を否定的に感じたのかもしれない。
「いいよ。でさ、覚悟決めたから」
「なんの?」
ルイの言っている事がよく分からない。顔がまだ青く口を強く結ぶ。
「これ切るのだろう。そしたら消えるだよね」
ウサギの耳に触れゆらゆらと揺らす。その耳が私の顔にあたる。
「近い」
あまりの顔を近づけるので、手で顔おすと素直に下がった。そして、再度私の隣に座ると伺うように私を見ている。
「それでも大丈夫だと思うけど、いいの?痛いかも」
頷くが怖いようで、手をぐっと握りしめている。
「だいたい、兄さんは解除できる魔法陣知らないの。まぁ知らないから覚悟決めてるだろうけど」
「知らないのとういうか、僕は石版の魔法陣発動しかできないよ」
「え?ルイがぁ」
驚いて呼び捨てをしてしまった。いつも言葉にしない時は呼び捨てだからついでてしまった。
「あ、ごめん。兄さん」
「え、いいよ。むしろルイと呼んでほしいな」
私に名前で呼ばれたことに笑顔になる。さっきの怯えた表情が嘘のようである。呼び方一つでご機嫌になるルイが単純だと思う。
「じゃ、ルイって呼ぶよ。それはいいだけど、魔法陣の話」
ルイと再度呼ばれた事でとても楽しそうに話す。
「魔法陣?だから言ったじゃん。石版しか発動できないって。もしかして誰かから何か聞いた?」
首を傾げるルイに合わせてウサギの耳がゆらゆらと揺れる。なんとも可愛いらしく顔がにやける。
「なに?」
「いや、ルイが可愛いなと思って」
弟に“可愛い”と言われ怒るかと思ったが嬉しそうに笑っている。随分漫画のルイと違う。
私は漫画のルイにはイライラする事が多かった。
今はそれどころじゃない。魔法陣の話しないと。
「あのさ、魔法陣の事もっと教えてほしいだけど」
「え?ルカの方が詳しいでしょ。創作魔法なんて僕はじめて見たよ。魔法陣全部なんて僕覚えてないし呼び出しも勿論できないよ」
驚きで目が大きくなった。
「さっき私が説明したとき、普通に聞いてたからできるのかと思ってた」
「ルカの話だからね。勿論、凄いなって思ってるよ」
「それだけ?」
話ながら、ルイのウサギ耳はリズムをとるように左右にゆれていいる。なんだかとても楽しげだ。
ウサギ耳はルイの気持ちを表せているのかな。じゃ、弟の私が自分よりできることがあるという事に嫉妬する気持ちはないんだね。
「僕はね。ルカが僕を好きでいてそばにいてくれればいいんだよ」
ルイの言葉に身体中があつくなるのを感じた。前世を含めてもこんなにも自分を必要としてくれる言葉をもらった事はない。
こんなにも私を愛してくれるルイは狂って国王になってしまう。
何度してもとめなくてはいけないと心に誓った。
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