12 / 146
家庭教師
しおりを挟む
王族は4歳になると家庭教師がつき、本格的な学習が始まる。貴族も大抵4歳から始めるが王族ほど厳しい規定はない。
私も4歳から各分野別に数名の家庭教師がつけられた。王族の家庭教師は上位貴族の中から勉学が優秀な者がつく事も多かった。
本に興味がなかった私は家庭教師から教わる事が新しい知識であり面白かった。そのためもっと学びたいと思い興味がなかった本や家庭教師が用意して教材を読み、すぐに理解した。
そうしたら、途端に授業が詰まらなくなった。家庭教師は教材の内容を話すだけだ。だから、教材を見るのをやめた。その方が面白い。
受けなければならない授業であるならば面白い方が断然よい。
ある日、家庭教師が習っていない所を質問してきた。当然分からず答えられなくて黙っていると、ニヤニヤとした笑いを浮かべた。
「第一王子殿下は、どんな質問でも答える事ができましたよ」
以前、兄の家庭教師をしていた者だった。
あれもこれも知らないのかと言われて授業が終わった。だから、次の授業は教材を全て確認してから受け質問に全て回答した。
「これくらい答えられて当たり前です」
今度は、いかに兄が素晴らしく私がいかに出来ないかを話された。しばらくすると授業が嫌になった。最初は皮肉を言う家庭教師が1人であったがどんどん増えていった。我慢ができず、ある日授業の時間に庭を散歩した。
そしたら、嫌みばかり言っていた家庭教師がおいかけてくる。訳の分からない嫌みではなく自分自身が犯した罪に怒っている事が面白かった。
自分の行動で相手が反応するのが楽しくてたまらなかった。いつも規則にうるさい摂政も何も言わなかったので行動はどんどんエスカレートしていった。
授業に出席しないの当たり前、家庭教師に捕まり授業に出なくてはいけなくなった時は寝ていた。
それに呆れたのだろう。
しばらくすると家庭教師は私を追いかけなくなった。しかし仕事だから、私が居ても居なくても部屋には来て授業時間が終わると居なくなる。本当は私の家庭教師制度を廃止したかったけど、そんな事言い出せず時が過ぎていった。
前世の記憶が戻ってからこの数ヶ月ルイと剣術の訓練する時以外図書室にこもっていた。そこで国の法律はだいたい把握し、余りそれが機能してないことも理解した。
何か問題があれば身分の低い者の責任となり貴族や王族を訴えることは不可能というなシステムになっている。判例が載っている書物があったが、例外なく身分の高い者に有利な判決が下されている。
私はこの国の事をよく知らない。漫画の知識はあっても国の情勢や法律などはほとんどのっていなかった。
主人公が反乱軍にはいり革命を起こすので法律もなにもないのだろう。
ハリー・ナイトの出身である貧困地域については一言程度しか記載がない。そこへ行って自分の目で確認したいと思ったが許可がおりる訳がない。だから家庭教師から学べるなら頭をいくらでも下げるつもりだった。
「珍しいですね」
学習の時間、椅子に座っていると家庭教師が目を大きくして見てくる。
「聞きたい事があります。今までの失礼な態度申し訳ありません」
謝罪と目的を伝え資料を見せながら図書で学び理解出来なかった事を聞く。資料を見て、家庭教師はあからさまに不愉快な顔した。そして、しばらく沈黙が続いた後、家庭教師は資料を閉じた。
「必要ありません」
きっぱりとそう言う、家庭教師の目は冷たく軽蔑しているようである。
「必要ないはず、ありませんよね。貧困地域もわが国です。しかし、詳しい資料がなく今回持ってきたものも存在があるしか記載されていません」
「あそこはゴミです。王族が気にする必要はありませんよ」
貧困地域の事が載っている資料を汚れたような物にテーブルに置いた。
「ゴミとはどういう事ですか?行ったことがあるのですか?」
「有り得ないです」
その言葉に眉をひそめ、苦虫を噛み潰したように言い放った。全身で不愉快を表している。
もう、何を聞いても無駄だと感じた。
彼は家庭教師をしているが貴族なのだ。
私は礼を言うと部屋をでた。そして、その足で宰相のもとへ向かった。城の内部は完璧に覚えたので宰相がいる部屋までは迷うことなく到着した。
宰相は、第二王妃、法務大臣と共に仕事をしている。第二王妃をトップに宰相、法務大臣は主に国内の政を担う。
第二王妃と言っても他国にように王の妻としての仕事だけではない。国を運営する側であり毎日多忙な日々を送っている。そのため王位継承者の婚約者選別は毎回大変であった。
国務室の前に来ると姿勢を正す。国務室前の衛兵が私に丁寧に挨拶をすると、室内に声をかけた。
それから衛兵はすぐに扉をあけ中へ促された。
「失礼致します。ルカ・アレクサンダー・フィリップです」
私も4歳から各分野別に数名の家庭教師がつけられた。王族の家庭教師は上位貴族の中から勉学が優秀な者がつく事も多かった。
本に興味がなかった私は家庭教師から教わる事が新しい知識であり面白かった。そのためもっと学びたいと思い興味がなかった本や家庭教師が用意して教材を読み、すぐに理解した。
そうしたら、途端に授業が詰まらなくなった。家庭教師は教材の内容を話すだけだ。だから、教材を見るのをやめた。その方が面白い。
受けなければならない授業であるならば面白い方が断然よい。
ある日、家庭教師が習っていない所を質問してきた。当然分からず答えられなくて黙っていると、ニヤニヤとした笑いを浮かべた。
「第一王子殿下は、どんな質問でも答える事ができましたよ」
以前、兄の家庭教師をしていた者だった。
あれもこれも知らないのかと言われて授業が終わった。だから、次の授業は教材を全て確認してから受け質問に全て回答した。
「これくらい答えられて当たり前です」
今度は、いかに兄が素晴らしく私がいかに出来ないかを話された。しばらくすると授業が嫌になった。最初は皮肉を言う家庭教師が1人であったがどんどん増えていった。我慢ができず、ある日授業の時間に庭を散歩した。
そしたら、嫌みばかり言っていた家庭教師がおいかけてくる。訳の分からない嫌みではなく自分自身が犯した罪に怒っている事が面白かった。
自分の行動で相手が反応するのが楽しくてたまらなかった。いつも規則にうるさい摂政も何も言わなかったので行動はどんどんエスカレートしていった。
授業に出席しないの当たり前、家庭教師に捕まり授業に出なくてはいけなくなった時は寝ていた。
それに呆れたのだろう。
しばらくすると家庭教師は私を追いかけなくなった。しかし仕事だから、私が居ても居なくても部屋には来て授業時間が終わると居なくなる。本当は私の家庭教師制度を廃止したかったけど、そんな事言い出せず時が過ぎていった。
前世の記憶が戻ってからこの数ヶ月ルイと剣術の訓練する時以外図書室にこもっていた。そこで国の法律はだいたい把握し、余りそれが機能してないことも理解した。
何か問題があれば身分の低い者の責任となり貴族や王族を訴えることは不可能というなシステムになっている。判例が載っている書物があったが、例外なく身分の高い者に有利な判決が下されている。
私はこの国の事をよく知らない。漫画の知識はあっても国の情勢や法律などはほとんどのっていなかった。
主人公が反乱軍にはいり革命を起こすので法律もなにもないのだろう。
ハリー・ナイトの出身である貧困地域については一言程度しか記載がない。そこへ行って自分の目で確認したいと思ったが許可がおりる訳がない。だから家庭教師から学べるなら頭をいくらでも下げるつもりだった。
「珍しいですね」
学習の時間、椅子に座っていると家庭教師が目を大きくして見てくる。
「聞きたい事があります。今までの失礼な態度申し訳ありません」
謝罪と目的を伝え資料を見せながら図書で学び理解出来なかった事を聞く。資料を見て、家庭教師はあからさまに不愉快な顔した。そして、しばらく沈黙が続いた後、家庭教師は資料を閉じた。
「必要ありません」
きっぱりとそう言う、家庭教師の目は冷たく軽蔑しているようである。
「必要ないはず、ありませんよね。貧困地域もわが国です。しかし、詳しい資料がなく今回持ってきたものも存在があるしか記載されていません」
「あそこはゴミです。王族が気にする必要はありませんよ」
貧困地域の事が載っている資料を汚れたような物にテーブルに置いた。
「ゴミとはどういう事ですか?行ったことがあるのですか?」
「有り得ないです」
その言葉に眉をひそめ、苦虫を噛み潰したように言い放った。全身で不愉快を表している。
もう、何を聞いても無駄だと感じた。
彼は家庭教師をしているが貴族なのだ。
私は礼を言うと部屋をでた。そして、その足で宰相のもとへ向かった。城の内部は完璧に覚えたので宰相がいる部屋までは迷うことなく到着した。
宰相は、第二王妃、法務大臣と共に仕事をしている。第二王妃をトップに宰相、法務大臣は主に国内の政を担う。
第二王妃と言っても他国にように王の妻としての仕事だけではない。国を運営する側であり毎日多忙な日々を送っている。そのため王位継承者の婚約者選別は毎回大変であった。
国務室の前に来ると姿勢を正す。国務室前の衛兵が私に丁寧に挨拶をすると、室内に声をかけた。
それから衛兵はすぐに扉をあけ中へ促された。
「失礼致します。ルカ・アレクサンダー・フィリップです」
0
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。
光子
ファンタジー
前世、神様の手違いにより、事故で間違って死んでしまった私は、転生した次の世界で、イージーモードで過ごせるように、特別な力を神様に授けられ、生まれ変わった。
ーーー筈が、この世界で、呪われていると差別されている紅い瞳を宿して産まれてきてしまい、まさかの、呪われた子と、家族に虐められるまさかのハードモード人生に…!
8歳で遂に森に捨てられた私ーーキリアは、そこで、同じく、呪われた紅い瞳の魔法使いと出会う。
同じ境遇の紅い瞳の魔法使い達に出会い、優しく暖かな生活を送れるようになったキリアは、紅い瞳の偏見を少しでも良くしたいと思うようになる。
実は神様の祝福である紅の瞳を持って産まれ、更には、神様から特別な力をさずけられたキリアの物語。
恋愛カテゴリーからファンタジーに変更しました。混乱させてしまい、すみません。
自由にゆるーく書いていますので、暖かい目で読んで下さると嬉しいです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる