54 / 73
第53話 他者の評価
しおりを挟む
塾が終わった貴也と憲貞は、夜道を自宅に向かって歩いていた。
「ねぇ、のりちゃんは俺の事どう思う?」
「突然だな」
唐突な質問に憲貞は驚いたが、唸りながら考えた。
「そんなに、悩まなくていいよ。えっと、頼りになるとか、頭がいいとか」
よく学校の女子に言われることだが言っていて恥ずかしくなった。それを聞いた憲貞がキョトンとした顔をしているので余計に羞恥心を煽った。
「別に何言ってもいいよ」
「うむ……。なんと言うか、危うい感じだ。プライドが高いがみたいだが、自己犠牲的で一緒にいると不安になるな」
「もしかして、叶の方が頼りになるの?」
恐る恐る聞くと、「そうだな」と頷いた。
ショックだった。
「それはしょうがないだろ」と言いながら憲貞は慰めるように貴也の肩を叩いた「別にそれが良いとか悪いという事ではなく性格だ。和也は感覚で生きているようだから貴也のように先読みして計画をすることは苦手だろう。今が良ければいい的なところあるから成績も悪い」
「じゃ、なんで俺より頼りになるんの?」貴也は不満そうに頬を膨らませた。それに声を出して憲貞は笑った。
「カズは、全力で助けてくれるがけして自分を犠牲にしたりしないという安心感かな。できないことできないとはっきり言うので信用もある」
貴也が玄関を開けると待っていると、憲貞は礼を言って室内に入った。
「カズは感情表現がストレートだから、嘘がない。貴也は優しいが、上辺だけの様に感じる時があるな。いや、和也に対しては感情をあらわにすることがあったな」
自室につき、鞄を下ろしながら憲貞の言葉に貴也は頷いた。
確かに、和也にはイライラすることが多い。勿論、今は感謝をしている部分もある。
「そう気に病むな。私はそんな貴也も気に入っている」
食事と入浴をすませると机に向かった。一緒に勉強すると宣言してから憲貞は必ず同じ時間に机に向かう。
憲貞は勉強について質問してくる事はなく、その場で悩んしまうので彼の進捗状況は常に気にしていた。必要あれば教えたり資料を提供したりしていた。
日付をこえたことに気づくと手を止めて、憲貞の方を見た。彼は必死に鉛筆を動かしていた。以前、船をこいでいた人間とは見違えた。
憲貞の声を掛けると「あぁ、寝るか」と言って布団に入ったので和也もベッドに転がり眠りについた。
「ねぇ、のりちゃんは俺の事どう思う?」
「突然だな」
唐突な質問に憲貞は驚いたが、唸りながら考えた。
「そんなに、悩まなくていいよ。えっと、頼りになるとか、頭がいいとか」
よく学校の女子に言われることだが言っていて恥ずかしくなった。それを聞いた憲貞がキョトンとした顔をしているので余計に羞恥心を煽った。
「別に何言ってもいいよ」
「うむ……。なんと言うか、危うい感じだ。プライドが高いがみたいだが、自己犠牲的で一緒にいると不安になるな」
「もしかして、叶の方が頼りになるの?」
恐る恐る聞くと、「そうだな」と頷いた。
ショックだった。
「それはしょうがないだろ」と言いながら憲貞は慰めるように貴也の肩を叩いた「別にそれが良いとか悪いという事ではなく性格だ。和也は感覚で生きているようだから貴也のように先読みして計画をすることは苦手だろう。今が良ければいい的なところあるから成績も悪い」
「じゃ、なんで俺より頼りになるんの?」貴也は不満そうに頬を膨らませた。それに声を出して憲貞は笑った。
「カズは、全力で助けてくれるがけして自分を犠牲にしたりしないという安心感かな。できないことできないとはっきり言うので信用もある」
貴也が玄関を開けると待っていると、憲貞は礼を言って室内に入った。
「カズは感情表現がストレートだから、嘘がない。貴也は優しいが、上辺だけの様に感じる時があるな。いや、和也に対しては感情をあらわにすることがあったな」
自室につき、鞄を下ろしながら憲貞の言葉に貴也は頷いた。
確かに、和也にはイライラすることが多い。勿論、今は感謝をしている部分もある。
「そう気に病むな。私はそんな貴也も気に入っている」
食事と入浴をすませると机に向かった。一緒に勉強すると宣言してから憲貞は必ず同じ時間に机に向かう。
憲貞は勉強について質問してくる事はなく、その場で悩んしまうので彼の進捗状況は常に気にしていた。必要あれば教えたり資料を提供したりしていた。
日付をこえたことに気づくと手を止めて、憲貞の方を見た。彼は必死に鉛筆を動かしていた。以前、船をこいでいた人間とは見違えた。
憲貞の声を掛けると「あぁ、寝るか」と言って布団に入ったので和也もベッドに転がり眠りについた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

王様は知らない
イケのタコ
BL
他のサイトに載せていた、2018年の作品となります
性格悪な男子高生が俺様先輩に振り回される。
裏庭で昼ご飯を食べようとしていた弟切(主人公)は、ベンチで誰かが寝ているのを発見し、気まぐれで近づいてみると学校の有名人、王様に出会ってしまう。
その偶然の出会いが波乱を巻き起こす。


ある意味王道ですが何か?
ひまり
BL
どこかにある王道学園にやってきたこれまた王道的な転校生に気に入られてしまった、庶民クラスの少年。
さまざまな敵意を向けられるのだが、彼は動じなかった。
だって庶民は逞しいので。

僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ
樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース
ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー
消えない思いをまだ読んでおられない方は 、
続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。
消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が
高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、
それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。
消えない思いに比べると、
更新はゆっくりになると思いますが、
またまた宜しくお願い致します。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる