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「ここには住めない」
「え、折角用意したのに」
トウは幼子のように頬を膨らませた。そんな彼が可愛く見えたがやっている事は可愛くない。
「住んでいる人がいたろ」
「だからいなくなったって」
「いなくしたんだろ」
「そうだけど。邪魔じゃん」
根本的な考え方が違う。
「もしかして、この家が気に入らなかったの?」
トウは、囲炉裏の前に腰をおろすと膝に座らせられた。赤子のように抱きかかえられたので降りようとするとトウの手に力が入った。
「きれいって言ったからいいと思ったんだけど」
「……」
家自体が気に入らないわけではない。問題は土の中にいる家主だ。
チラリと唸り声を上げながら悩んでいるトウをみてため息をついた。彼と自分の普通は違う。しかし、彼が自分を必要としている事は確かだ。それは嬉しい。
「じゃ、他を……」
「やっぱりここでいい」慌てて言った。
これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない。
「良くいれば悪くない」
「良かったぁ」トウは嬉しそうに笑った。
長くここにいることはできない。
トウと目が合うと彼は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は無邪気な子どものようだ。側にいると愛着がわき可愛いと感じるが、白髪に赤い瞳は他者から見れば恐怖の対象となる上に目立つ。
家は人里離れた場所にあるため、多くの人と交流をする家主ではないだろう。しかし、彼の外見からここが襲撃されるのも時間の問題だ。
住んでいた家が燃えたのを思い出した。
移動するにも、自分の動かない足を見てため息がでた。
「足が心配?」
「まぁ、歩けないと不便だし」
「なんで?」トウは大きな目をして首を傾げた。「移動なら僕が運ぶよ」
「……」
「足なんて、なくてもいいじゃん」トウの笑顔に身体がこわばった。
殆どの感情を笑顔で表情をするトウを見ると鬼城での生活が垣間見れた。トウのように特殊な人間を集めた場所だから自分の常識では測れない事は想像できる。
「それは……。俺はおもいしじゆ……」そこまで言って言葉を止めた。不穏な空気を感じ少し考えてからトウの顔を見た。
「トウと手を繋いで歩きたいな」
トウの頬に触れると、彼は目を大きくて頬を赤らめた。
「え?」
「二人で散歩できたから楽しいだろ」
トウを指に自分の指を絡めるようにして繋ぐと彼は「うん」大きく頷いた。
「え、折角用意したのに」
トウは幼子のように頬を膨らませた。そんな彼が可愛く見えたがやっている事は可愛くない。
「住んでいる人がいたろ」
「だからいなくなったって」
「いなくしたんだろ」
「そうだけど。邪魔じゃん」
根本的な考え方が違う。
「もしかして、この家が気に入らなかったの?」
トウは、囲炉裏の前に腰をおろすと膝に座らせられた。赤子のように抱きかかえられたので降りようとするとトウの手に力が入った。
「きれいって言ったからいいと思ったんだけど」
「……」
家自体が気に入らないわけではない。問題は土の中にいる家主だ。
チラリと唸り声を上げながら悩んでいるトウをみてため息をついた。彼と自分の普通は違う。しかし、彼が自分を必要としている事は確かだ。それは嬉しい。
「じゃ、他を……」
「やっぱりここでいい」慌てて言った。
これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない。
「良くいれば悪くない」
「良かったぁ」トウは嬉しそうに笑った。
長くここにいることはできない。
トウと目が合うと彼は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は無邪気な子どものようだ。側にいると愛着がわき可愛いと感じるが、白髪に赤い瞳は他者から見れば恐怖の対象となる上に目立つ。
家は人里離れた場所にあるため、多くの人と交流をする家主ではないだろう。しかし、彼の外見からここが襲撃されるのも時間の問題だ。
住んでいた家が燃えたのを思い出した。
移動するにも、自分の動かない足を見てため息がでた。
「足が心配?」
「まぁ、歩けないと不便だし」
「なんで?」トウは大きな目をして首を傾げた。「移動なら僕が運ぶよ」
「……」
「足なんて、なくてもいいじゃん」トウの笑顔に身体がこわばった。
殆どの感情を笑顔で表情をするトウを見ると鬼城での生活が垣間見れた。トウのように特殊な人間を集めた場所だから自分の常識では測れない事は想像できる。
「それは……。俺はおもいしじゆ……」そこまで言って言葉を止めた。不穏な空気を感じ少し考えてからトウの顔を見た。
「トウと手を繋いで歩きたいな」
トウの頬に触れると、彼は目を大きくて頬を赤らめた。
「え?」
「二人で散歩できたから楽しいだろ」
トウを指に自分の指を絡めるようにして繋ぐと彼は「うん」大きく頷いた。
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