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いつもは、川で泳いでいる魚を素手で捕まえるとその場でまるかじりした。その場で食べないとなくなる可能性がある。今日の様にたくさん捕れると持ち帰る事をこころみるが成功したことはない。
焼き魚を口に入れるといつもと違った味がした。
魚を特有の生臭い臭いもしない。
「……おいしい」自然と言葉が、出た。
「そう? 内蔵取って焼いただけだけど」
「……うん」
夢中で、食べているとトウは小さなカゴに入った赤い実を見せた。
「これも」
笑顔で差し出されると、迷いなくて手にして口に入れた。甘くてとても美味しかった。
「美味しい?」
トウの言葉に頷くと、夢中で魚と赤い実を食べた。
お腹がいっぱいになると、全身が暖かくなった。
トウに手を握られ、頭を撫ぜられると気持ちが良くなりふわふわしとした感覚に襲われた。トウが側にいると思うと安心できた。
さっきまで寝ていたはずなのに瞼が重くなってきた。
「眠い……?」
「……」
返事代わりに、トウの膝に頭をつけた。少し、高く寝づらさを感じたがトウの体温を感じられて心地良かった。
しばらくして、暑さで目が冷めた。
暑さを感じる季節であるが、全身が焼けるような暑さは異常だ。
目を冷ますと、火に囲まれていた。
「あ……」
死ぬと思ったが、恐怖はなかった。いつかは村の人間に殺されるとは思っていた。
トウに会え、幸せを感じられた今この世界に未練はなかった。この気持ちのままいなくなれるならこんな良いことはない。
その時、大きな音がして壁が壊れた。雨風しのげる程度の作りとはいっても素手で壊せるほど軟な壁ではない。しかし、その壁は紙のように簡単に穴があいた。
「大丈夫?」
真っ白の髪を真っ赤に染めたトウが現れた。
「え……」
驚いていると抱きかかえられて、外に出た。
太陽はとっくに沈んでいたが、家燃えているおかげであたりが昼間の様に明るかった。
家を出てすぐいくつもの生首が目についた。
「お、鬼めー」
斧を持った村人が襲い掛かってきた。トウが四本の指を揃えたと思ったら突然彼の手がきえた。次の瞬間、村人の手首のポロリと落ち持っていた斧は床に落ちた。手首から勢吹き出した。
「え……?」
何が起こったのかわからずに、目を白黒させながらトウを見上げた。彼は冷たい眼差しで村人を見ていた。
焼き魚を口に入れるといつもと違った味がした。
魚を特有の生臭い臭いもしない。
「……おいしい」自然と言葉が、出た。
「そう? 内蔵取って焼いただけだけど」
「……うん」
夢中で、食べているとトウは小さなカゴに入った赤い実を見せた。
「これも」
笑顔で差し出されると、迷いなくて手にして口に入れた。甘くてとても美味しかった。
「美味しい?」
トウの言葉に頷くと、夢中で魚と赤い実を食べた。
お腹がいっぱいになると、全身が暖かくなった。
トウに手を握られ、頭を撫ぜられると気持ちが良くなりふわふわしとした感覚に襲われた。トウが側にいると思うと安心できた。
さっきまで寝ていたはずなのに瞼が重くなってきた。
「眠い……?」
「……」
返事代わりに、トウの膝に頭をつけた。少し、高く寝づらさを感じたがトウの体温を感じられて心地良かった。
しばらくして、暑さで目が冷めた。
暑さを感じる季節であるが、全身が焼けるような暑さは異常だ。
目を冷ますと、火に囲まれていた。
「あ……」
死ぬと思ったが、恐怖はなかった。いつかは村の人間に殺されるとは思っていた。
トウに会え、幸せを感じられた今この世界に未練はなかった。この気持ちのままいなくなれるならこんな良いことはない。
その時、大きな音がして壁が壊れた。雨風しのげる程度の作りとはいっても素手で壊せるほど軟な壁ではない。しかし、その壁は紙のように簡単に穴があいた。
「大丈夫?」
真っ白の髪を真っ赤に染めたトウが現れた。
「え……」
驚いていると抱きかかえられて、外に出た。
太陽はとっくに沈んでいたが、家燃えているおかげであたりが昼間の様に明るかった。
家を出てすぐいくつもの生首が目についた。
「お、鬼めー」
斧を持った村人が襲い掛かってきた。トウが四本の指を揃えたと思ったら突然彼の手がきえた。次の瞬間、村人の手首のポロリと落ち持っていた斧は床に落ちた。手首から勢吹き出した。
「え……?」
何が起こったのかわからずに、目を白黒させながらトウを見上げた。彼は冷たい眼差しで村人を見ていた。
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