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頭を下げ地面を見た。
「俺は、何もできない」 小さな声で呟くと、トウは大きく頭を振った。
「いるだけでいい。側にいてほしい。居てくれるなら何でもするよ」
トウは折れた足をそっとなぜた。
「村を殲滅しようか?」トウは目を輝かせた。「見た所、普段から暴行を受けているみたいだし」
トウにじっくりと身体を見られた。
さっきまでふんどし一枚でも何も感じなかったのに、彼に見られると恥ずかしくなった。
「今日は祭りかな」
「え?」
突然の彼の言葉に頭を上げ、ゆっくりトウの方を向くと長く伸びた髪の間から彼の顔をみた。
「広くひらけた場所に多くの人が集まっているみたい。うるさいくらいの人の声や楽器の音が聞える」
トウの言っている事は正しい。
今、神輿が出て華やかな祭りが開催されている。
様々な物を売りにぎわう商店街を歩いたから袋叩きにあった。魔除けの意味を持つ祭りだ。自分のような者がいては魔を呼びよせてしまう。
しかし、人の声も音楽も微かに聞こえる程度であり室内に入った今は殆ど聞こえない。
「おま……」トウに睨まれたので、言葉を止めた。「トウは耳がいいんだな」
「それだけじゃないよ」
トウの言葉を聞いて、彼に持ち上げられた事や押さえつけられたことを思い出した。
「力も凄いんだな」
「五感全部だよ。その変わり上手く制御できないんだよ」
トウは小さくため息をついた。
「家の前で蹲っていたでしょ。アレ能力が暴走しそうになっていたんだ。だけどさ」
トウに後ろからギュッと抱きしめられた。
「君のおかげで助かった」
「俺……?」
医療知識は勿論なく、そういった行為はしていない。ただ、彼にされるがままであった。
「導者がこんな所にいるなんて。コレでもう鬼城に戻らなくていい」
「導者? 鬼城?」
聞いた事がない単語に首を傾げた。
「あれ? 知らないの?」
大きく頷いた。
村から離れた場所に住んでいるため殆ど情報は入ってこない。近くにいたとしても積極的に自分に話をしてくれる人間などいない。
「僕は番人なんだよ。僕らみたいな人間は五感が優れている代わりにそれを制御できず暴走させてしまう事があるんだけど。それを抑えられるのが導者。僕らを管理している場所が鬼城(きじょう)なんだ」
「……人間」
情報が多すぎていまいち理解できなかったが、自分らの事を『人間』と称したのが気になった。
「ん?」トウは苦笑した。「そうだよ。僕らは君らと同じ様に人の腹から生まれた」
彼の真っ白な髪や桃色に瞳をじっと見た。すると、トウは眉を下げて口角を上げた。
「あぁ、この髪ね」笑いながら自分の頭に触れた。「生まれた時は黒かったらしいだけどね。能力の使ううちに色素が抜けていった」
トウは寂しそうな顔をした。
「皆そうだよ。鬼城に来た時、君みたいな肌に黒い髪、黒や茶の瞳をしているだけどね」
「そうか」
トウを『鬼』と呼んだ事をも申し訳なく思った。
「でね、鬼城に導者がいるんだけどさ。番人に対して人数が少ないの。世話してもらえないと色素が抜けるだけじゃなくて精神崩壊するの」
「……」
なんと返事をして良いか分からずに、黙って下を向いた。
「番人にとって導者は命なんだ。だから、皆さ鬼城の言うこと聞くの。聞かないと導者に合わせて貰えないからさ」
「……」
彼らがやっている行為は残酷だ。
家を襲撃された事は、幼くて記憶があまりない。
今いる場所も番人に攻撃受けて崩壊した。
だから、村に住む人は番人を『鬼』として敵視している。
「俺は、何もできない」 小さな声で呟くと、トウは大きく頭を振った。
「いるだけでいい。側にいてほしい。居てくれるなら何でもするよ」
トウは折れた足をそっとなぜた。
「村を殲滅しようか?」トウは目を輝かせた。「見た所、普段から暴行を受けているみたいだし」
トウにじっくりと身体を見られた。
さっきまでふんどし一枚でも何も感じなかったのに、彼に見られると恥ずかしくなった。
「今日は祭りかな」
「え?」
突然の彼の言葉に頭を上げ、ゆっくりトウの方を向くと長く伸びた髪の間から彼の顔をみた。
「広くひらけた場所に多くの人が集まっているみたい。うるさいくらいの人の声や楽器の音が聞える」
トウの言っている事は正しい。
今、神輿が出て華やかな祭りが開催されている。
様々な物を売りにぎわう商店街を歩いたから袋叩きにあった。魔除けの意味を持つ祭りだ。自分のような者がいては魔を呼びよせてしまう。
しかし、人の声も音楽も微かに聞こえる程度であり室内に入った今は殆ど聞こえない。
「おま……」トウに睨まれたので、言葉を止めた。「トウは耳がいいんだな」
「それだけじゃないよ」
トウの言葉を聞いて、彼に持ち上げられた事や押さえつけられたことを思い出した。
「力も凄いんだな」
「五感全部だよ。その変わり上手く制御できないんだよ」
トウは小さくため息をついた。
「家の前で蹲っていたでしょ。アレ能力が暴走しそうになっていたんだ。だけどさ」
トウに後ろからギュッと抱きしめられた。
「君のおかげで助かった」
「俺……?」
医療知識は勿論なく、そういった行為はしていない。ただ、彼にされるがままであった。
「導者がこんな所にいるなんて。コレでもう鬼城に戻らなくていい」
「導者? 鬼城?」
聞いた事がない単語に首を傾げた。
「あれ? 知らないの?」
大きく頷いた。
村から離れた場所に住んでいるため殆ど情報は入ってこない。近くにいたとしても積極的に自分に話をしてくれる人間などいない。
「僕は番人なんだよ。僕らみたいな人間は五感が優れている代わりにそれを制御できず暴走させてしまう事があるんだけど。それを抑えられるのが導者。僕らを管理している場所が鬼城(きじょう)なんだ」
「……人間」
情報が多すぎていまいち理解できなかったが、自分らの事を『人間』と称したのが気になった。
「ん?」トウは苦笑した。「そうだよ。僕らは君らと同じ様に人の腹から生まれた」
彼の真っ白な髪や桃色に瞳をじっと見た。すると、トウは眉を下げて口角を上げた。
「あぁ、この髪ね」笑いながら自分の頭に触れた。「生まれた時は黒かったらしいだけどね。能力の使ううちに色素が抜けていった」
トウは寂しそうな顔をした。
「皆そうだよ。鬼城に来た時、君みたいな肌に黒い髪、黒や茶の瞳をしているだけどね」
「そうか」
トウを『鬼』と呼んだ事をも申し訳なく思った。
「でね、鬼城に導者がいるんだけどさ。番人に対して人数が少ないの。世話してもらえないと色素が抜けるだけじゃなくて精神崩壊するの」
「……」
なんと返事をして良いか分からずに、黙って下を向いた。
「番人にとって導者は命なんだ。だから、皆さ鬼城の言うこと聞くの。聞かないと導者に合わせて貰えないからさ」
「……」
彼らがやっている行為は残酷だ。
家を襲撃された事は、幼くて記憶があまりない。
今いる場所も番人に攻撃受けて崩壊した。
だから、村に住む人は番人を『鬼』として敵視している。
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