49 / 54
第四十八話 星遥斗⑮
しおりを挟む
しばらくは平和な日々が続いていたが、神田真人の奇行から一遍した。
遥を大学に迎えに行ったが、いつも時間に門を出てこなかった。
嫌な予感がした。
車を止めて、学校内に入ると新宮からの合図が送られてきた。
遥のGPSを追って中庭まで行くと、神田が遥に向かってコマンドを使用していた。
「クソが」
容赦なくGlare(グレア)を使うと、神田はもちろんの事周囲の人間も跪いた。
彼の胸ぐら掴み、攻撃をしようとすると新宮に止められた。彼女の顔に免じて、その場は引くことにした。
自宅に戻ると、意識のない遥の服を脱がせ風呂場へ連れて行った。
「うっ」
彼の肌を見ただけで、遥斗の自身が元気になった。自分の顔を叩くと、遥にシャワーを浴びせて着替えさせるとベッドへ寝かせた。
「はぁぁ」
トイレに入り、大きくなった自分のモノを見てため息をついた。
彼に欲情しただけではない。
遥を自分のモノにしたくてたまらなかった。
他人にコマンドを使われて気持ちが荒んでいた。
誰に奪われるならその前に囲ってしまいたかった。
「遥」
自身に触れると、遥への思いが止まらなかった。
自分を求めて、みだらになる遥を想像した。
「うぅぅ……」
欲望を出し切ると、全身が震えた。
今すぐに遥のもとへ向かいたい自分を抑えるのが辛かった。
無理やり感情を押し込め、トイレから出ると廊下に手紙が落ちていた。可愛らしい封筒にシールで封がしてあった。
遥斗はそっとシールを取り、中身の確認をした。
「なにこれ」
手紙をしまうと、スマートフォンを取り出して一本電話を掛けた。電話の相手はすぐに出た。要件のみを伝えて切った。
小さくため息をついて手紙をカウンターに置くと料理を始めた。それが終わるころに電話が掛かってきた。
新宮からであった。
普段は腕時計のメール機能を使用するため電話は珍しい。
「どうしたの?」電話に出ると彼女の言葉に眉を寄せた。「わかった。いいよ。それで。うん」
電話を切ると、背後で気配を感じた。
「兄」と言いながら遥がリビングルームの扉の前にいた。
意識が戻ったことにほっとしたが、寝巻姿で遥を見る彼が魅力的に見えた。
――マズい。
気持ちを無理やり閉じ込めると、彼に手紙を渡した。丁寧に封をしたため未開封に見える。
「ラブレター? 遥はモテるんだね」
自分の気持ちを隠すために、穏やかな笑顔を作った。
遥は何も言わずに乱暴手紙をポケットに入れた。
高校以降、遥はほとんどそういった手紙を持っては来なかった。それを持ってきたのだからとても大切にしているものだと感じた。
黒い靄に襲われた。
醜い感情が沸き起こった。
新宮の電話から手紙の主である『村上雪菜』にはそう言った感情がないことは知っていた。しかし、遥はどう思っているか分からない。
気持ちを抑えるのも限界であった。
食事を終えると、片付けも後回しにして部屋を出た。
これ以上遥といることはできなかった。
夜風にあたりながらゆっくりと駐車場に向かった。その時、スマートフォンがなった。
「はい」
相手は市川であった。
神田真人の居場所が分かったと連絡だ。
新宮の話では、警察に連れていかれたらしいが予想通り事情聴取で解放されたらしい。
――落ち着け。感情で動いたら以前と同じだ。
昂る気持ちが抑え、市川からの電話切ると別の場所に掛けた。
相手はすぐに出たため「星遥斗です」と丁寧に名乗った。事情を話すと、相手はすでに知っていた。
一部始終を記録することで今回の後始末を引き受けてくれた。
遥斗は車に乗るとワイシャツンのポケットにカメラ付きのペンを入れた
遥を大学に迎えに行ったが、いつも時間に門を出てこなかった。
嫌な予感がした。
車を止めて、学校内に入ると新宮からの合図が送られてきた。
遥のGPSを追って中庭まで行くと、神田が遥に向かってコマンドを使用していた。
「クソが」
容赦なくGlare(グレア)を使うと、神田はもちろんの事周囲の人間も跪いた。
彼の胸ぐら掴み、攻撃をしようとすると新宮に止められた。彼女の顔に免じて、その場は引くことにした。
自宅に戻ると、意識のない遥の服を脱がせ風呂場へ連れて行った。
「うっ」
彼の肌を見ただけで、遥斗の自身が元気になった。自分の顔を叩くと、遥にシャワーを浴びせて着替えさせるとベッドへ寝かせた。
「はぁぁ」
トイレに入り、大きくなった自分のモノを見てため息をついた。
彼に欲情しただけではない。
遥を自分のモノにしたくてたまらなかった。
他人にコマンドを使われて気持ちが荒んでいた。
誰に奪われるならその前に囲ってしまいたかった。
「遥」
自身に触れると、遥への思いが止まらなかった。
自分を求めて、みだらになる遥を想像した。
「うぅぅ……」
欲望を出し切ると、全身が震えた。
今すぐに遥のもとへ向かいたい自分を抑えるのが辛かった。
無理やり感情を押し込め、トイレから出ると廊下に手紙が落ちていた。可愛らしい封筒にシールで封がしてあった。
遥斗はそっとシールを取り、中身の確認をした。
「なにこれ」
手紙をしまうと、スマートフォンを取り出して一本電話を掛けた。電話の相手はすぐに出た。要件のみを伝えて切った。
小さくため息をついて手紙をカウンターに置くと料理を始めた。それが終わるころに電話が掛かってきた。
新宮からであった。
普段は腕時計のメール機能を使用するため電話は珍しい。
「どうしたの?」電話に出ると彼女の言葉に眉を寄せた。「わかった。いいよ。それで。うん」
電話を切ると、背後で気配を感じた。
「兄」と言いながら遥がリビングルームの扉の前にいた。
意識が戻ったことにほっとしたが、寝巻姿で遥を見る彼が魅力的に見えた。
――マズい。
気持ちを無理やり閉じ込めると、彼に手紙を渡した。丁寧に封をしたため未開封に見える。
「ラブレター? 遥はモテるんだね」
自分の気持ちを隠すために、穏やかな笑顔を作った。
遥は何も言わずに乱暴手紙をポケットに入れた。
高校以降、遥はほとんどそういった手紙を持っては来なかった。それを持ってきたのだからとても大切にしているものだと感じた。
黒い靄に襲われた。
醜い感情が沸き起こった。
新宮の電話から手紙の主である『村上雪菜』にはそう言った感情がないことは知っていた。しかし、遥はどう思っているか分からない。
気持ちを抑えるのも限界であった。
食事を終えると、片付けも後回しにして部屋を出た。
これ以上遥といることはできなかった。
夜風にあたりながらゆっくりと駐車場に向かった。その時、スマートフォンがなった。
「はい」
相手は市川であった。
神田真人の居場所が分かったと連絡だ。
新宮の話では、警察に連れていかれたらしいが予想通り事情聴取で解放されたらしい。
――落ち着け。感情で動いたら以前と同じだ。
昂る気持ちが抑え、市川からの電話切ると別の場所に掛けた。
相手はすぐに出たため「星遥斗です」と丁寧に名乗った。事情を話すと、相手はすでに知っていた。
一部始終を記録することで今回の後始末を引き受けてくれた。
遥斗は車に乗るとワイシャツンのポケットにカメラ付きのペンを入れた
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
おだやかDomは一途なSubの腕の中
phyr
BL
リユネルヴェニア王国北の砦で働く魔術師レーネは、ぽやぽやした性格で魔術以外は今ひとつ頼りない。世話をするよりもされるほうが得意なのだが、ある日所属する小隊に新人が配属され、そのうち一人を受け持つことになった。
担当することになった新人騎士ティノールトは、書類上のダイナミクスはNormalだがどうやらSubらしい。Domに頼れず倒れかけたティノールトのためのPlay をきっかけに、レーネも徐々にDomとしての性質を目覚めさせ、二人は惹かれ合っていく。
しかしティノールトの異動によって離れ離れになってしまい、またぼんやりと日々を過ごしていたレーネのもとに、一通の書類が届く。
『貴殿を、西方将軍補佐官に任命する』
------------------------
※10/5-10/27, 11/1-11/23の間、毎日更新です。
※この作品はDom/Subユニバースの設定に基づいて創作しています。一部独自の解釈、設定があります。
表紙は祭崎飯代様に描いていただきました。ありがとうございました。
第11回BL小説大賞にエントリーしております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる