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第四十八話 星遥斗⑮

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しばらくは平和な日々が続いていたが、神田真人の奇行から一遍した。
遥を大学に迎えに行ったが、いつも時間に門を出てこなかった。
嫌な予感がした。
車を止めて、学校内に入ると新宮からの合図が送られてきた。
遥のGPSを追って中庭まで行くと、神田が遥に向かってコマンドを使用していた。
「クソが」
容赦なくGlare(グレア)を使うと、神田はもちろんの事周囲の人間も跪いた。
彼の胸ぐら掴み、攻撃をしようとすると新宮に止められた。彼女の顔に免じて、その場は引くことにした。
自宅に戻ると、意識のない遥の服を脱がせ風呂場へ連れて行った。
「うっ」
彼の肌を見ただけで、遥斗の自身が元気になった。自分の顔を叩くと、遥にシャワーを浴びせて着替えさせるとベッドへ寝かせた。
「はぁぁ」
トイレに入り、大きくなった自分のモノを見てため息をついた。
彼に欲情しただけではない。
遥を自分のモノにしたくてたまらなかった。
他人にコマンドを使われて気持ちが荒んでいた。

誰に奪われるならその前に囲ってしまいたかった。

「遥」

自身に触れると、遥への思いが止まらなかった。
自分を求めて、みだらになる遥を想像した。
「うぅぅ……」
欲望を出し切ると、全身が震えた。
今すぐに遥のもとへ向かいたい自分を抑えるのが辛かった。
無理やり感情を押し込め、トイレから出ると廊下に手紙が落ちていた。可愛らしい封筒にシールで封がしてあった。
遥斗はそっとシールを取り、中身の確認をした。
「なにこれ」
手紙をしまうと、スマートフォンを取り出して一本電話を掛けた。電話の相手はすぐに出た。要件のみを伝えて切った。
小さくため息をついて手紙をカウンターに置くと料理を始めた。それが終わるころに電話が掛かってきた。
新宮からであった。
普段は腕時計のメール機能を使用するため電話は珍しい。
「どうしたの?」電話に出ると彼女の言葉に眉を寄せた。「わかった。いいよ。それで。うん」
電話を切ると、背後で気配を感じた。
「兄」と言いながら遥がリビングルームの扉の前にいた。
意識が戻ったことにほっとしたが、寝巻姿で遥を見る彼が魅力的に見えた。
――マズい。
気持ちを無理やり閉じ込めると、彼に手紙を渡した。丁寧に封をしたため未開封に見える。
「ラブレター? 遥はモテるんだね」
自分の気持ちを隠すために、穏やかな笑顔を作った。
遥は何も言わずに乱暴手紙をポケットに入れた。
高校以降、遥はほとんどそういった手紙を持っては来なかった。それを持ってきたのだからとても大切にしているものだと感じた。
黒い靄に襲われた。
醜い感情が沸き起こった。
新宮の電話から手紙の主である『村上雪菜』にはそう言った感情がないことは知っていた。しかし、遥はどう思っているか分からない。
気持ちを抑えるのも限界であった。
食事を終えると、片付けも後回しにして部屋を出た。
これ以上遥といることはできなかった。

夜風にあたりながらゆっくりと駐車場に向かった。その時、スマートフォンがなった。
「はい」
相手は市川であった。
神田真人の居場所が分かったと連絡だ。
新宮の話では、警察に連れていかれたらしいが予想通り事情聴取で解放されたらしい。
――落ち着け。感情で動いたら以前と同じだ。
昂る気持ちが抑え、市川からの電話切ると別の場所に掛けた。
相手はすぐに出たため「星遥斗です」と丁寧に名乗った。事情を話すと、相手はすでに知っていた。
一部始終を記録することで今回の後始末を引き受けてくれた。
遥斗は車に乗るとワイシャツンのポケットにカメラ付きのペンを入れた
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