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第四十二話 星遥斗⑨
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遥は一命を取り留めるが聴覚を失った。
病室で動かない遥を見ると正気を失いそうになる。全てを破壊して何もかもなくして遥と二人の世界を作りたかった。
遥以外いらない。
けど……。
前に進まないといけないのは分かっている。が、心がついていかない。
病室の扉をノックする音がした。遥斗が返事をすると「はぁい」とへらへらと笑った市川が入ってきた。
「警察の処理終わりましたよ。早川渚は遥斗サンのストーカーで遥サンは巻き込まれて新宮サンは無関係ってことにしました」
「ありがとうございます」
「それとこれ」市川はDVDと手話の資料を渡した。「遥サンに必要ですよね。DVDには読唇術が入っています。サンプルは遥斗サンの口ですよ」
「……すごいですね」
遥斗は驚いて、目を大きくした。
市川の能力高さはかっていたが、けっこう滅茶苦茶なことをした自覚はある。だから、警察に事情聴取を受ける覚悟はしていた。下手したら拘留される可能性も視野にはいれていた。
「今回はすごく大変だったですよぅ。ぶっちゃけ僕チャンの力では無理ゲーでした」
赤い髪をかいながら眉毛を下げた。
嫌な予感がした。
「誰かの力を借りたんですか?」
「そーですね」市川は苦笑いをした。「条件出されました。彼らの力を借りなければ、事実が公開されて遥斗サンは警察行きですぅ。そうするとDomの凶暴性を世間に知らしめることになり研究している方々としては良くないみたいですよ」
「そうですか」
今回、自分の計画性のなさを恥じた。
あの時は冷静に判断したと思っていたが浅はかであった。
Domの体調管理目的で遥斗のもとへきた遥だから、自分がいなくなれば次のDomのもとへ送られる可能があった。
ゾッとした。
「条件なんでものみますよ」
「あはは、良かったです。ダメって言われたら遥斗サンと遥サンを強制連行しなくてはならなかったですぅよ」
「はじめから拒否権はないですね」
想定内のことであるため驚きはしなかった。
「そーですよ。今更流れを変えられる訳ないじゃないですか」
市川は心底ほっとしたような顔をしていた。いつも余裕の表情を浮かべている彼にとっては珍しいことであった。
――今回のこと重く受け止めないと。
「遥サン、多分まだ起きないのでちょっと、来てください」
市川は猫でも呼ぶような手つきをした。
遥斗は遥が心配でちらりと見ると市川が「大丈夫ですぅよ」と言って真上にあるカメラを指さした。
「分かりました」
遥斗は頷くと、席を立ち市川に後を追って病室を出た。すると、市川は病室に鍵を掛けた。
「え……?」
「用心です」と彼はにこりと笑ったが遥斗は不安で遥のいる病室を見た。すると、早く来るように催促されたため覚悟を決めた。
病室で動かない遥を見ると正気を失いそうになる。全てを破壊して何もかもなくして遥と二人の世界を作りたかった。
遥以外いらない。
けど……。
前に進まないといけないのは分かっている。が、心がついていかない。
病室の扉をノックする音がした。遥斗が返事をすると「はぁい」とへらへらと笑った市川が入ってきた。
「警察の処理終わりましたよ。早川渚は遥斗サンのストーカーで遥サンは巻き込まれて新宮サンは無関係ってことにしました」
「ありがとうございます」
「それとこれ」市川はDVDと手話の資料を渡した。「遥サンに必要ですよね。DVDには読唇術が入っています。サンプルは遥斗サンの口ですよ」
「……すごいですね」
遥斗は驚いて、目を大きくした。
市川の能力高さはかっていたが、けっこう滅茶苦茶なことをした自覚はある。だから、警察に事情聴取を受ける覚悟はしていた。下手したら拘留される可能性も視野にはいれていた。
「今回はすごく大変だったですよぅ。ぶっちゃけ僕チャンの力では無理ゲーでした」
赤い髪をかいながら眉毛を下げた。
嫌な予感がした。
「誰かの力を借りたんですか?」
「そーですね」市川は苦笑いをした。「条件出されました。彼らの力を借りなければ、事実が公開されて遥斗サンは警察行きですぅ。そうするとDomの凶暴性を世間に知らしめることになり研究している方々としては良くないみたいですよ」
「そうですか」
今回、自分の計画性のなさを恥じた。
あの時は冷静に判断したと思っていたが浅はかであった。
Domの体調管理目的で遥斗のもとへきた遥だから、自分がいなくなれば次のDomのもとへ送られる可能があった。
ゾッとした。
「条件なんでものみますよ」
「あはは、良かったです。ダメって言われたら遥斗サンと遥サンを強制連行しなくてはならなかったですぅよ」
「はじめから拒否権はないですね」
想定内のことであるため驚きはしなかった。
「そーですよ。今更流れを変えられる訳ないじゃないですか」
市川は心底ほっとしたような顔をしていた。いつも余裕の表情を浮かべている彼にとっては珍しいことであった。
――今回のこと重く受け止めないと。
「遥サン、多分まだ起きないのでちょっと、来てください」
市川は猫でも呼ぶような手つきをした。
遥斗は遥が心配でちらりと見ると市川が「大丈夫ですぅよ」と言って真上にあるカメラを指さした。
「分かりました」
遥斗は頷くと、席を立ち市川に後を追って病室を出た。すると、市川は病室に鍵を掛けた。
「え……?」
「用心です」と彼はにこりと笑ったが遥斗は不安で遥のいる病室を見た。すると、早く来るように催促されたため覚悟を決めた。
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