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第二十五話 星遥⑤
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到着した場所は新宮の自宅ではなく、ジムであった。その大きさに圧倒されていると新宮に引っ張られて中に入った。
熱気で中は、熱く汗臭さがあった。
練習をしている大人の視線を感じ遥が動揺していると「挨拶されてるからしろ」と新宮に言われ「お邪魔します」と言った。
その間も新宮は手を離さず、足をすすめた。
長い廊下を歩くと大きな扉が見えてきた。新宮は躊躇することなく、その部屋にはいった。
「……」
天井が高く大きな部屋だと思った瞬間、新宮の手が離れ、扉が閉められた。真っ暗になった部屋で手を離され動揺した遥は「新宮」と彼女の名前を呼びながら手探りで探すが見つからない。
すると突然、背中に衝撃をくらいふらついた。しかし、足に力をいれて踏ん張るとあたりを見回したが何も見えない。
「新宮……?」下校の時に食らった衝撃に似ていたため新宮だと確信し名前を呼んだが返事がない。
その時、遥はふと気づき自分の耳に触れた。
「これは飾りだったな」そう言うと遥は思いっきり自分の頬を叩いた。「強くならなきゃ死ぬってことな」
全神経を集中させてあたりを探ったが何も感じられない。
「うっ」
今度は腹に衝撃があった。鳩尾にはいりあまりの痛さに膝をつきそうになったが耐えた。
「負けねぇ」
腹部だけではなく、頭や胸、顔にも衝撃を食らったが遥は耐えた。どこかが切れたようで血が流れ口に入ってきた。鉄の味に口の中に広がったが気にせずに遥は集中した。
左側に何か気配を感じ、避けると顔の横を何かが通った。
――よけられた。
一回、コツを掴むと次からさけることができたが避けるだけで精一杯で反撃ができない。
「……」
時間の流れが分からないが、体力の消耗度合いからしてかなりの時間が経過したと思うが新宮の攻撃はやまない。スタミナが切れるどころか速くなっている。
「ふぅー」
熱くなり、学ランを投げ捨てた。
「……?」
投げた学ランが壁に当たったように不自然な落ち方をした。
――攻撃すんだから近くにいるよな。
目を細めて周囲を見た。入った時よりは目が慣れたが新宮の姿が見えない。
「うぁっ」
考えに集中していたために、後頭部に打撃をくらった。その衝撃で身体がふらつきその場に座り込んだ。
「あっ」
遥はあることに気づき、仰向けになり目を瞑った。
何が近づく気配かした。
動かずに待っていると顔の上に何がふってくる気配がして慌ててそれを掴み力いっぱい引いた。
「顔面踏んづけようとしたのかよ。えげつねぇ」
遥は自分の前にきた新宮の体を手足、使って押さえつけた。
※
「……ここからどうしようか」
遥は流れてきた自分の血を舐めると、新宮を締め上げた。すると、彼女は遥の手を必死で叩いた。
「キブか?」
新宮はそれに頷いているようで、締め上げている腕に彼女の顎が当たった。
――聞こえないって不便だ。
手を離した瞬間、新宮は遥から離れ周囲が明るくなった。
いきなり光が瞳に入ってきたため視界がぼやけた。目をこすり、新宮からの攻撃を警戒して立ち上がった。
手を叩く新宮が目の前にいた。
「流石だね」
周りが見えるようになり、彼女の口の動きから言葉が分かった。
「……」
余裕な新宮に対して、遥はボロボロだった。疲労困ぱいで息切れがし、ワイシャツは血だらけた。口の中も切れたらしく鉄の味がする。
「気絶するくらいまでやりたかったんだけどねぇ」
「……」
新宮の本気の目が怖かった。頭を一つくらい小さいのに巨人のように感じた。
狂犬だ。
「そんな顔しないでよ。お前の兄ちゃんに比べら優しいよ?」
彼女の言葉に遥は遥斗の優しい笑顔を思い浮かべて、首を傾げた。遥斗を怖いと思った事など一度もない。
「あ~。お前はまだ星さんの本性を知らないだね」新宮はニヤリと笑うと再度構えた。「今度は明るい所でやろうか」
鋭く光る彼女の目を見て遥は息を飲んだ。
熱気で中は、熱く汗臭さがあった。
練習をしている大人の視線を感じ遥が動揺していると「挨拶されてるからしろ」と新宮に言われ「お邪魔します」と言った。
その間も新宮は手を離さず、足をすすめた。
長い廊下を歩くと大きな扉が見えてきた。新宮は躊躇することなく、その部屋にはいった。
「……」
天井が高く大きな部屋だと思った瞬間、新宮の手が離れ、扉が閉められた。真っ暗になった部屋で手を離され動揺した遥は「新宮」と彼女の名前を呼びながら手探りで探すが見つからない。
すると突然、背中に衝撃をくらいふらついた。しかし、足に力をいれて踏ん張るとあたりを見回したが何も見えない。
「新宮……?」下校の時に食らった衝撃に似ていたため新宮だと確信し名前を呼んだが返事がない。
その時、遥はふと気づき自分の耳に触れた。
「これは飾りだったな」そう言うと遥は思いっきり自分の頬を叩いた。「強くならなきゃ死ぬってことな」
全神経を集中させてあたりを探ったが何も感じられない。
「うっ」
今度は腹に衝撃があった。鳩尾にはいりあまりの痛さに膝をつきそうになったが耐えた。
「負けねぇ」
腹部だけではなく、頭や胸、顔にも衝撃を食らったが遥は耐えた。どこかが切れたようで血が流れ口に入ってきた。鉄の味に口の中に広がったが気にせずに遥は集中した。
左側に何か気配を感じ、避けると顔の横を何かが通った。
――よけられた。
一回、コツを掴むと次からさけることができたが避けるだけで精一杯で反撃ができない。
「……」
時間の流れが分からないが、体力の消耗度合いからしてかなりの時間が経過したと思うが新宮の攻撃はやまない。スタミナが切れるどころか速くなっている。
「ふぅー」
熱くなり、学ランを投げ捨てた。
「……?」
投げた学ランが壁に当たったように不自然な落ち方をした。
――攻撃すんだから近くにいるよな。
目を細めて周囲を見た。入った時よりは目が慣れたが新宮の姿が見えない。
「うぁっ」
考えに集中していたために、後頭部に打撃をくらった。その衝撃で身体がふらつきその場に座り込んだ。
「あっ」
遥はあることに気づき、仰向けになり目を瞑った。
何が近づく気配かした。
動かずに待っていると顔の上に何がふってくる気配がして慌ててそれを掴み力いっぱい引いた。
「顔面踏んづけようとしたのかよ。えげつねぇ」
遥は自分の前にきた新宮の体を手足、使って押さえつけた。
※
「……ここからどうしようか」
遥は流れてきた自分の血を舐めると、新宮を締め上げた。すると、彼女は遥の手を必死で叩いた。
「キブか?」
新宮はそれに頷いているようで、締め上げている腕に彼女の顎が当たった。
――聞こえないって不便だ。
手を離した瞬間、新宮は遥から離れ周囲が明るくなった。
いきなり光が瞳に入ってきたため視界がぼやけた。目をこすり、新宮からの攻撃を警戒して立ち上がった。
手を叩く新宮が目の前にいた。
「流石だね」
周りが見えるようになり、彼女の口の動きから言葉が分かった。
「……」
余裕な新宮に対して、遥はボロボロだった。疲労困ぱいで息切れがし、ワイシャツは血だらけた。口の中も切れたらしく鉄の味がする。
「気絶するくらいまでやりたかったんだけどねぇ」
「……」
新宮の本気の目が怖かった。頭を一つくらい小さいのに巨人のように感じた。
狂犬だ。
「そんな顔しないでよ。お前の兄ちゃんに比べら優しいよ?」
彼女の言葉に遥は遥斗の優しい笑顔を思い浮かべて、首を傾げた。遥斗を怖いと思った事など一度もない。
「あ~。お前はまだ星さんの本性を知らないだね」新宮はニヤリと笑うと再度構えた。「今度は明るい所でやろうか」
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