【R18】僕だけの大切な弟。誰にもわたすつもりはない。〜DomSubユニバース〜

第九話 新宮ひな子⑦

翌日、テレビや新聞だけではなくSNSなど確認したが昨日の事件は一切載っていなかった。
「……死者はいないけど」
ベッドの上で転がりながらスマートフォンで事件を検索しているうちに『Ｄｏｍ』という言葉を発見した。
「これは」
目を大きくして画面を見て、そこに書いてあることを夢中で読んだ。
中学に入学するとDom、Neutral、Subを判断するダイナミクスの検査が行われる。結果については本人及び近親者のみが確認でき検査をした医療機関の人間も相手を特定できないように配慮されている。
自覚症状は十三歳以降に出ることが多いが個人差がある。
Domとは相手は支配や世話をしたいという欲求があり時には暴力的になることもある。
SubとはDomとは逆に支配や世話をされたいという受け身な欲求を持つ。時は死を望む過激な衝動を持つ者もいる。
全てにおいて個人差があり、欲求不満になると体調を崩すことがある。その時は医療機関に相談することで薬を処方してもらうこともできる。
DomはSubに対して命令する力がある。コマンドという。コマンドを使用してSubとプレイを楽しむことで精神状態が安定する。ただし、パートナー以外への使用またはパートナーであっても同意ではない場合は傷害罪となる。
「え？　マジ」
ひな子は驚いて『コマンド』を検索した。すると、女が使っていたコマンドを見つけて顔を青くした。
「え、じゃ星はSubってことか。すると、私は」あの時、自分がコマンドを使用して使えなかったことを思い出した。「Sub？　でも、あの人のコマンド聞かなかったからどっちでもないNeutralってやつ？」
ぼーっと考えながら読み進めるとGlare(グレア)と言う言葉を発見した。
「ナニコレ？　威嚇ってことかな。あ、アレか。なんか身体がビリビリしたやつかも」
身体に電撃が走った後、女が倒れたのを思い出した。
「あ～、もしかして私、星さんのGlare(グレア)も受けたのかな？」
色々考えながら最後まで読むと、手を止めて顔を赤くした後青くしてスマートフォンをベッドに置き顔を枕につけた。
文章の最後には『この内容は小学校四年生で学習する』と書いてあった。
「あ～……」
学校の授業をほとんど寝ていたことを後悔した。きちんと学習し知識を持っていればあの女に負けなかった。
今更なとこだと分かっているが、『～だったら』と言うことを考えてしまう。
自ら自分の耳を傷つけた星の姿は今でも鮮明に思い出すことができる。
「無知は罪だ」涙があふれだして止まらない。「泣くな」
涙をふくと、ベッドから起き上がり着替え机に山積みになっていた教科書を引っ張りだした。