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文化祭
11. 文化祭が始まった
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「たぶんポスターを見て、お客さんがいっぱい来ると思う! みんな、がんばろうな!」
『おーっ!』
文化祭当日。
あきらと高野のポスターの効果か、うちのクラスのカフェは大人気だ。
「坂本くん、ミルクティー2つとカフェオレ、3番にお願い!」
「おっけー」
執事の衣装を着たオレは、頼まれた飲み物を持っていく。
客は・・・
「あ、来てくれたんだな!」
紺野、河原、小山さんの3人だった。
3人はオレを見て手を振ってくれる。
「来たよー」
「坂本くん、結構似合ってるね!」
「そうかな」
褒められて、なんか照れてしまう。
「ほらほら、言ってよー♡」
「美月が聞きたがってるよー♡」
あ、そっか。
3人のカオを見て、執事のことを忘れてた。
オレは少し息を吐くと、
「お待たせしました。 お嬢様」
にっこりと笑って、ミルクティーとカフェオレをテーブルに置いた。
「坂本くん、なんかサマになってるねー」
「うん、衣装も似合ってるし、いいね」
「そう?」
照れながら紺野を見ると、赤いカオでオレを見つめていた。
「え、変、かな」
褒められてイイ気になってたオレは、少し焦って聞いてみる。
「あっ、ううん!」
紺野はふるふると首を振った。
「坂本くん、大丈夫。 美月ってば見惚れてるだけだから。 ねー?」
小山さんがにやにやしながら紺野をつつく。
「そんなんじゃないよー」
紺野は小山さんの腕をぱしっと叩くと、オレを見て少しはにかんだ。
「・・・レイキくん、似合ってるよ」
「お、おう・・・ ありがと・・・」
恥ずかしそうに言われて、オレまで恥ずかしくなる。
「坂本くん、照れてる。 かわいいー♡」
「やめろって」
そんな風に思わずみんなとしゃべってると、
「坂本ー! オーダー頼むー!」
「あ、おっけー」
クラスメイトにオーダーを取ってくるよう頼まれた。
「ゴメンな、みんな。 ゆっくりしてって」
「うん。 がんばってねー♡」
オレは頼まれたオーダーを取りに行く。
ふと、入口の方を見てみると、お客さんに囲まれたあきらを見つけた。
「写真、一緒に撮ってください♡」
「素敵ー♡」
・・・すっげー。 客寄せ効果バツグン過ぎんだろ。
あきらは営業スマイルで対応している。
いつにも増して、女のコにモテまくってるあきら。
それを見て、少しだけ・・・・ 胸が、苦しくなる。
それにしても・・・・・
後ですっげー疲れたって、不機嫌になるんだろうなー・・・
そんなあきらを想像をして、なんだかおかしくなってしまった。
カフェは途切れることなくお客さんが来て、みんな忙しく動き回っていた。
そうこうしていると交代の時間になる。
オレは急いでテニス部の部室に向かった。
今日、男子テニス部は交流試合をすることになってるんだ。
「レイキ!おせーぞ!」
「わりぃ」
亮介に怒られながら、慌てて着替える。
ラケットを持って外に出ると、もう修吾がいた。
「お、レイキ。 おつかれー」
「わりぃ。 遅くなった」
「大丈夫。 アップしようぜ」
修吾と一緒にアップを始める。
「今日、ギャラリーすげーぜ」
「まあ、文化祭だもんなー」
ちらっとコートの周りを見ると、人がびっしりだった。
「すげーな」
男子テニス部名物の、矢神先輩とあきらのペアはもうないのに。
「だろー? 女のコもいっぱいいるし、オレ、張り切っちゃうなー」
いつもの修吾の軽いノリに、思わず笑ってしまう。
しばらくアップをしていると、ギャラリーからきゃーって歓声が上がった。
なにかと思ってコートを見ると、ギャラリーの視線は・・・・
「あ、あきらじゃん」
コートにやってきた、あきらに注がれてた。
あきらがギャラリーに軽く手を振ると、またきゃーって歓声が上がる。
「・・・・げーのーじんかよ」
ため息交じりに呟く修吾。
あきらはみんなの視線に背を向けると、オレたちの方にやってきた。
・・・うん、歓声が上がるの、頷ける。
だってあきらは、執事の格好のまんまだった。
「レイキ、修吾。 がんばれよ」
優しく笑って声をかけてくるあきら。
「ってかあきら、何そのカッコ。 そのせいで、女のコたち、余計きゃーきゃー言ってんじゃん」
「オレ、試合出ないし。 着替えてたら、レイキたちの試合に間に合わなそうだったからさ」
「でも試合に出る奴より目立ってるぜ」
「そんなことねーよ」
・・・・オレはそんなやりとりをしているあきらを、じっと見つめてしまっていた。
「・・・レイキ?」
あきらはオレを見ると、少し首を傾げた。
「あーあ。 ココにも見惚れてる奴がいるよ」
呆れたような修吾の声に、はっと我に返る。
は、はずかし・・・・・!
修吾の言う通り、見惚れてたよ・・・・・!
慌てるオレを見て、あきらは嬉しそうに微笑んだ。
くそ・・・・ ばれてる・・・・
「レイキ、そろそろ行くぞ」
試合に向けて、きりっとした表情になった修吾。
・・・うん、 やっぱ、カッコいいよなあ・・・・・
「・・・・ああ」
オレもラケットをぎゅっと握って、気持ちを引き締める。
「レイキ、がんばれ」
「ああ。 ありがと、あきら」
あきらの差し出した腕に、オレは自分の腕をぶつけた。
「っしゃあ!」
「レイキ、ナイス!」
オレのボレーがきまって、ゲームセット。
ぱんって、修吾とハイタッチする。
相手のサーブゲームをブレイクして、オレたちが勝った。
『ありがとうございました!』
やった!
やっぱり、勝つとすげーうれしい!
「レイキ、調子よかったじゃん」
「修吾もな! やったなー!」
修吾と喜び合いながら戻ると、あきらが笑顔で迎えてくれた。
「レイキ、修吾、やったな!」
「おう!」
オレも修吾も、あきらとハイタッチする。
「先輩! お疲れ様です!」
「すげーいい試合でしたね!」
後輩たちが、タオルやら飲み物やら持ってきてくれた。
それから、あきらと隣に並んで他の試合も応援する。
・・・やっぱ、執事姿、似合ってるよなー・・・
すげー、カッコいい・・・・・・
隣のあきらを見ていると、あきらが不意にこっちを見て、目が合った。
あきらがオレを見てフッて笑う。
不意打ちのようなその笑顔に、オレは自分のカオが熱くなるのを感じた。
慌ててカオを背けると、あきらが近づく気配。
「レイキ・・・かわいい」
耳元で、あきらの低く甘い声がした。
・・・・・ダメだ!
更にカオが熱くなる。
オレは思わず、肩にかけていたタオルを頭からかぶった。
タオルの向こうで、あきらがくっくって笑う声が聞こえた。
・・・・くそっ。
絶対オレの反応見て面白がってるよな。
『おーっ!』
文化祭当日。
あきらと高野のポスターの効果か、うちのクラスのカフェは大人気だ。
「坂本くん、ミルクティー2つとカフェオレ、3番にお願い!」
「おっけー」
執事の衣装を着たオレは、頼まれた飲み物を持っていく。
客は・・・
「あ、来てくれたんだな!」
紺野、河原、小山さんの3人だった。
3人はオレを見て手を振ってくれる。
「来たよー」
「坂本くん、結構似合ってるね!」
「そうかな」
褒められて、なんか照れてしまう。
「ほらほら、言ってよー♡」
「美月が聞きたがってるよー♡」
あ、そっか。
3人のカオを見て、執事のことを忘れてた。
オレは少し息を吐くと、
「お待たせしました。 お嬢様」
にっこりと笑って、ミルクティーとカフェオレをテーブルに置いた。
「坂本くん、なんかサマになってるねー」
「うん、衣装も似合ってるし、いいね」
「そう?」
照れながら紺野を見ると、赤いカオでオレを見つめていた。
「え、変、かな」
褒められてイイ気になってたオレは、少し焦って聞いてみる。
「あっ、ううん!」
紺野はふるふると首を振った。
「坂本くん、大丈夫。 美月ってば見惚れてるだけだから。 ねー?」
小山さんがにやにやしながら紺野をつつく。
「そんなんじゃないよー」
紺野は小山さんの腕をぱしっと叩くと、オレを見て少しはにかんだ。
「・・・レイキくん、似合ってるよ」
「お、おう・・・ ありがと・・・」
恥ずかしそうに言われて、オレまで恥ずかしくなる。
「坂本くん、照れてる。 かわいいー♡」
「やめろって」
そんな風に思わずみんなとしゃべってると、
「坂本ー! オーダー頼むー!」
「あ、おっけー」
クラスメイトにオーダーを取ってくるよう頼まれた。
「ゴメンな、みんな。 ゆっくりしてって」
「うん。 がんばってねー♡」
オレは頼まれたオーダーを取りに行く。
ふと、入口の方を見てみると、お客さんに囲まれたあきらを見つけた。
「写真、一緒に撮ってください♡」
「素敵ー♡」
・・・すっげー。 客寄せ効果バツグン過ぎんだろ。
あきらは営業スマイルで対応している。
いつにも増して、女のコにモテまくってるあきら。
それを見て、少しだけ・・・・ 胸が、苦しくなる。
それにしても・・・・・
後ですっげー疲れたって、不機嫌になるんだろうなー・・・
そんなあきらを想像をして、なんだかおかしくなってしまった。
カフェは途切れることなくお客さんが来て、みんな忙しく動き回っていた。
そうこうしていると交代の時間になる。
オレは急いでテニス部の部室に向かった。
今日、男子テニス部は交流試合をすることになってるんだ。
「レイキ!おせーぞ!」
「わりぃ」
亮介に怒られながら、慌てて着替える。
ラケットを持って外に出ると、もう修吾がいた。
「お、レイキ。 おつかれー」
「わりぃ。 遅くなった」
「大丈夫。 アップしようぜ」
修吾と一緒にアップを始める。
「今日、ギャラリーすげーぜ」
「まあ、文化祭だもんなー」
ちらっとコートの周りを見ると、人がびっしりだった。
「すげーな」
男子テニス部名物の、矢神先輩とあきらのペアはもうないのに。
「だろー? 女のコもいっぱいいるし、オレ、張り切っちゃうなー」
いつもの修吾の軽いノリに、思わず笑ってしまう。
しばらくアップをしていると、ギャラリーからきゃーって歓声が上がった。
なにかと思ってコートを見ると、ギャラリーの視線は・・・・
「あ、あきらじゃん」
コートにやってきた、あきらに注がれてた。
あきらがギャラリーに軽く手を振ると、またきゃーって歓声が上がる。
「・・・・げーのーじんかよ」
ため息交じりに呟く修吾。
あきらはみんなの視線に背を向けると、オレたちの方にやってきた。
・・・うん、歓声が上がるの、頷ける。
だってあきらは、執事の格好のまんまだった。
「レイキ、修吾。 がんばれよ」
優しく笑って声をかけてくるあきら。
「ってかあきら、何そのカッコ。 そのせいで、女のコたち、余計きゃーきゃー言ってんじゃん」
「オレ、試合出ないし。 着替えてたら、レイキたちの試合に間に合わなそうだったからさ」
「でも試合に出る奴より目立ってるぜ」
「そんなことねーよ」
・・・・オレはそんなやりとりをしているあきらを、じっと見つめてしまっていた。
「・・・レイキ?」
あきらはオレを見ると、少し首を傾げた。
「あーあ。 ココにも見惚れてる奴がいるよ」
呆れたような修吾の声に、はっと我に返る。
は、はずかし・・・・・!
修吾の言う通り、見惚れてたよ・・・・・!
慌てるオレを見て、あきらは嬉しそうに微笑んだ。
くそ・・・・ ばれてる・・・・
「レイキ、そろそろ行くぞ」
試合に向けて、きりっとした表情になった修吾。
・・・うん、 やっぱ、カッコいいよなあ・・・・・
「・・・・ああ」
オレもラケットをぎゅっと握って、気持ちを引き締める。
「レイキ、がんばれ」
「ああ。 ありがと、あきら」
あきらの差し出した腕に、オレは自分の腕をぶつけた。
「っしゃあ!」
「レイキ、ナイス!」
オレのボレーがきまって、ゲームセット。
ぱんって、修吾とハイタッチする。
相手のサーブゲームをブレイクして、オレたちが勝った。
『ありがとうございました!』
やった!
やっぱり、勝つとすげーうれしい!
「レイキ、調子よかったじゃん」
「修吾もな! やったなー!」
修吾と喜び合いながら戻ると、あきらが笑顔で迎えてくれた。
「レイキ、修吾、やったな!」
「おう!」
オレも修吾も、あきらとハイタッチする。
「先輩! お疲れ様です!」
「すげーいい試合でしたね!」
後輩たちが、タオルやら飲み物やら持ってきてくれた。
それから、あきらと隣に並んで他の試合も応援する。
・・・やっぱ、執事姿、似合ってるよなー・・・
すげー、カッコいい・・・・・・
隣のあきらを見ていると、あきらが不意にこっちを見て、目が合った。
あきらがオレを見てフッて笑う。
不意打ちのようなその笑顔に、オレは自分のカオが熱くなるのを感じた。
慌ててカオを背けると、あきらが近づく気配。
「レイキ・・・かわいい」
耳元で、あきらの低く甘い声がした。
・・・・・ダメだ!
更にカオが熱くなる。
オレは思わず、肩にかけていたタオルを頭からかぶった。
タオルの向こうで、あきらがくっくって笑う声が聞こえた。
・・・・くそっ。
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