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文化祭

6.試験終了!

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『終わったーっ!』


今日で中間テストが終わり!


なんか、いつもよりも長く感じたなー・・・・・



やっと、あきらとゆっくり過ごせる!



HRの間も、クラス中がそわそわした雰囲気で。

終わった後は、みんなそれぞれ友達と遊びに行く話をしていた。

オレたちも、部活は明日からだ。



帰る用意をしていると、

「あ、坂本ー」

教室の入り口付近に居たオレは、廊下から先生に声をかけられた。


「せんせ。 なに?」

「うん、悪いんだけど、コレ、運ぶの手伝ってくれないか?」

「うわ・・・っ」

返事をするより先に、書類の山を渡される。


「ちょっ、せんせ、日直に頼めよ!」

「今他の用事頼んじゃってさ。 いいだろ、運ぶだけだから」

「えーっ」


文句を言おうとするけど、先生はもう歩き出してしまって。

オレは仕方なく後ろをついていく。


「坂本、テスト出来たか?」

「んー。 まあまあ?」

「今回はちゃんと勉強したのか?」

「そりゃーね。 ちゃんとしたよ。 たぶん、前よりはいいと思う」

「前よりは良くないと、先生も困るなー」


そんな話をしながら、職員室まで歩いていく。


「コレ、ここに置いていい?」

「ああ。 ありがとな」

先生の机の上に書類の山を置く。

「どーいたしまして。 じゃあね、せんせ」

オレはひらひらと手を振って、急ぎ足で職員室を出た。



あきら、待ってるよな。


早くあきらと帰りたくて、急いで階段を駆け上がる。


教室に着くと、窓際で女のコに囲まれてるあきらが見えた。



一瞬、声をかけるのをためらった。



「あ、レイキ」

クラスメイトの男子に声をかけられる。

「レイキもカラオケ行かねー?」

「え?」


ちらってあきらを見ると、あきらもオレに気付いて目が合った。


「レイキ」


切れ長の瞳に微笑みをたたえて、オレを見る。

あきらはオレに近づいてきた。


「帰ろ」


『はい』って、あきらはオレのカバンを差し出してきた。


「あ、ありがと」



「えー、あきらくん、帰っちゃうの?」

「遊びに行こうよー」


あきらを誘ってる女のコの中に、高野がいた。


「せっかくテスト終わったんだし。 ねー?」


高野は甘えた声を出して、あきらの腕に軽く抱き付く。



ぐいって、オレはクラスメイトに腕を引っ張られた。

勢いで、後ろに倒れそうになる。

「なっ、なんだよ」

「レイキ。 あきらとなんか約束してんの?」

耳元で、小声でオレに聞いてくる。


「えっ・・・・ 約束・・・って言うか・・・・」



試験終わったら、2人でゆっくりしようって、言ってて。



『終わったら、いっぱい、シよ?  レイキのこと、いっぱいとろとろにしてあげる・・・・・』



あきらの言葉を思い出して、カオが熱くなる。



「カラオケ、あきらも一緒に行こうぜ。 そしたら、高野たちも来るだろ」

「なーレイキ。 あきらも誘ってくれよー」



誘うっていうか・・・・ オレ、カラオケ行く気ないんだけど・・・・・・



少し困ってると、あきらがオレの腕を掴んだ。



「レイキ、帰ろ。 ・・・・ゴメン、オレ、今日はレイキと約束あってさ」


「そうなのー? じゃあ、坂本くんも一緒に、遊ぼうよー」


女のコたちが、オレも一緒にって誘ってくる。


「じゃあさ、みんなでカラオケ行こうぜ!」


男子たちが、ここぞとばかりに声をかける。

高野たちと、行きたいんだろう。



もう、みんなで行って来ればいいじゃん。


オレは・・・・ あきらと、2人が、いい。



「みんなで行って来いよ。 オレとレイキは用があるからさ。 ゴメン」


あきらはそう言うと、掴んでいたオレの腕を引っ張って、みんなの輪から離れた。


「じゃあ、またなー」



「おい、レイキー!」

「あきらくーん!」



みんなが呼び止めるけど、あきらはオレの腕を引いたまま、足を止めなかった。




「あ、あきら」

下駄箱まで来て、あきらはオレの腕を離した。


「ゴメン。 早く、帰りたくて」

すまなさそうに言うあきら。


そんなあきらがかわいくて、オレは思わず笑ってしまった。


「な、なんだよ」

笑われたからか、今度は少し恥ずかしそうな表情で。


「なんでもない。 早く帰ろうぜ」

靴を履きかえて、今度はオレがあきらの腕を引っ張った。




考えてることは、同じはず。


オレとあきらは、並んで歩きだした。


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