8 / 10
8.前世・・・それとも、夢?
しおりを挟む
夜ベッドに入っても、昼間のことを思い出して、なかなか寝付けない。
今日はすごく楽しかった。
初めて学校の外で会って、最初は少し不安もあったけど、たくさん話せたし・・・・
空野くん、今日もすごく、カッコよかった。
それに・・・・手も、つなげたし。
私は空野くんとつないだ右手を、左手でさすった。
・・・また触れたときに、痛みを感じた。
空野くんも・・・・感じてた。
・・・・なんで空野くんの時は、反応が激しいんだろう。
今まで他の人を視る時に、こんな風になったこと、なかったのに。
なかなか寝付けないって思ってたけど、今日の楽しかったことを思い出しながら、いつの間にか眠っていた。
ふと気づくと、私は眼下に美しい景色が広がる風景の中、空中に浮いていた。
ここは・・・・空野くんの前世・・・・・
また、私は空中を移動していく。
たどり着いたのは弓の練習場ではなく・・・・かなり広い平地。
「これ・・・・って」
まるで、映画のよう。
・・・映画だと・・・・思い、たい。
たくさんの人が、剣を、槍を、弓を手に、戦っている。
倒れている人も、たくさんいる。
漂ってくる臭いに、私は鼻と口を押さえた。
「うっ・・・・」
濃い血の臭いに、吐き気が起こる。
『打てえ!!!』
馬に乗って立派な兜をかぶったた人が剣を振り下ろすのを合図に、
ビュッ! ビュビュッ!!
空気を切り裂く音とともに、矢が放たれる。
その矢に打たれて、たくさんの人がまた倒れた。
戦争だ・・・・・!!!
私はもしかして、と思い、弓兵の中に、ルーカスを探した。
金髪碧眼の彼は目立つ容貌だったため、こんなところでもすぐに見つけることが出来た。
『百発百中』『外さない』
そう言われていたから、きっと前線にいるだろうと思ったけど・・・やっぱり、そうなんだ。
私はぎゅって胸が痛くなった。
彼も・・・人を、殺したんだろうか。
そして・・・・戦争で、命を落とすの・・・・?
今までも他の人の前世を視ると、戦争の場面だったりしたことはあった。
でも、基本的に前世を視る時は、スクリーン越しに見ているような感覚で・・・
今みたいに、自分がその場にいるように空気感や臭いまで感じるなんてことはなかった。
放たれた矢が胸に刺さり、倒れている人が目に入った。
腕や足にも傷があり、頭からも血を流している。
胸の傷は見るからに致命傷で、もう・・・助からない、だろう。
その人は左手で胸の傷口を押さえ、苦悶の表情をしていた。
その目が開き、視線が宙をさまよい・・・・・
空中に浮かぶ、いるはずのない、私を、捉えた。
目が合い、私は体が戦慄するのを感じた。
な、なんで、目が合うの・・・・・
私は前世を視ているだけ・・・・
ここには、居ない、存在なのに・・・・・・
その人は右手を宙に、私の方に向かって伸ばす。
どうして・・・・・どうして、見えてるの・・・・・!?
私は怖くなって、その人から目を逸らし、両腕で自分を抱きしめた。
体が小刻みに震える。
・・・しばらくそうした後、ゆっくりと目を開ける。
そっとその人の方に視線を送ると・・・・
もう、彼は、事切れていた。
彼は・・・・一体、なにを見ていたんだろう・・・・
ふって、あたりの風景の色がなくなり、黒い幕が下ろされる。
・・・終わり、だ。
目を開けると、私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
窓の外は明るくなっている。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに座る。
・・・・今のは、夢?
それとも、空野くんの前世なの?
触れてないときに、前世の情景が見えるなんてこと、今までなかった。
・・・初めて空野くんの前世を視たとき、そして昨日も、手が触れたときにものすごい音がして痛みがあった。
空野くんも、静電気程度とはいえ、痛みを感じていたみたいだし。
ああいう激しい反応があった反動で、今回は空野くんに触れてないのに視えた・・・とか。
ううん。 以前に視た情景に引っ張られて、ただ夢を見たっていう可能性も・・・ある。
その・・・割には・・・・
あの空気感や、臭い、そして・・・・
私を見ていた、あの人。
思い出して、また、ぞくって悪寒が走った。
視えたものが、空野くんの前世なのか、私の脳が作り出した夢なのか。
わかんないな・・・・
外はもう明るい。
時計を見るとまだ早い時間だったけど、もう眠る気になれない・・・・
私はため息をついてベッドから出た。
今日はすごく楽しかった。
初めて学校の外で会って、最初は少し不安もあったけど、たくさん話せたし・・・・
空野くん、今日もすごく、カッコよかった。
それに・・・・手も、つなげたし。
私は空野くんとつないだ右手を、左手でさすった。
・・・また触れたときに、痛みを感じた。
空野くんも・・・・感じてた。
・・・・なんで空野くんの時は、反応が激しいんだろう。
今まで他の人を視る時に、こんな風になったこと、なかったのに。
なかなか寝付けないって思ってたけど、今日の楽しかったことを思い出しながら、いつの間にか眠っていた。
ふと気づくと、私は眼下に美しい景色が広がる風景の中、空中に浮いていた。
ここは・・・・空野くんの前世・・・・・
また、私は空中を移動していく。
たどり着いたのは弓の練習場ではなく・・・・かなり広い平地。
「これ・・・・って」
まるで、映画のよう。
・・・映画だと・・・・思い、たい。
たくさんの人が、剣を、槍を、弓を手に、戦っている。
倒れている人も、たくさんいる。
漂ってくる臭いに、私は鼻と口を押さえた。
「うっ・・・・」
濃い血の臭いに、吐き気が起こる。
『打てえ!!!』
馬に乗って立派な兜をかぶったた人が剣を振り下ろすのを合図に、
ビュッ! ビュビュッ!!
空気を切り裂く音とともに、矢が放たれる。
その矢に打たれて、たくさんの人がまた倒れた。
戦争だ・・・・・!!!
私はもしかして、と思い、弓兵の中に、ルーカスを探した。
金髪碧眼の彼は目立つ容貌だったため、こんなところでもすぐに見つけることが出来た。
『百発百中』『外さない』
そう言われていたから、きっと前線にいるだろうと思ったけど・・・やっぱり、そうなんだ。
私はぎゅって胸が痛くなった。
彼も・・・人を、殺したんだろうか。
そして・・・・戦争で、命を落とすの・・・・?
今までも他の人の前世を視ると、戦争の場面だったりしたことはあった。
でも、基本的に前世を視る時は、スクリーン越しに見ているような感覚で・・・
今みたいに、自分がその場にいるように空気感や臭いまで感じるなんてことはなかった。
放たれた矢が胸に刺さり、倒れている人が目に入った。
腕や足にも傷があり、頭からも血を流している。
胸の傷は見るからに致命傷で、もう・・・助からない、だろう。
その人は左手で胸の傷口を押さえ、苦悶の表情をしていた。
その目が開き、視線が宙をさまよい・・・・・
空中に浮かぶ、いるはずのない、私を、捉えた。
目が合い、私は体が戦慄するのを感じた。
な、なんで、目が合うの・・・・・
私は前世を視ているだけ・・・・
ここには、居ない、存在なのに・・・・・・
その人は右手を宙に、私の方に向かって伸ばす。
どうして・・・・・どうして、見えてるの・・・・・!?
私は怖くなって、その人から目を逸らし、両腕で自分を抱きしめた。
体が小刻みに震える。
・・・しばらくそうした後、ゆっくりと目を開ける。
そっとその人の方に視線を送ると・・・・
もう、彼は、事切れていた。
彼は・・・・一体、なにを見ていたんだろう・・・・
ふって、あたりの風景の色がなくなり、黒い幕が下ろされる。
・・・終わり、だ。
目を開けると、私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
窓の外は明るくなっている。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに座る。
・・・・今のは、夢?
それとも、空野くんの前世なの?
触れてないときに、前世の情景が見えるなんてこと、今までなかった。
・・・初めて空野くんの前世を視たとき、そして昨日も、手が触れたときにものすごい音がして痛みがあった。
空野くんも、静電気程度とはいえ、痛みを感じていたみたいだし。
ああいう激しい反応があった反動で、今回は空野くんに触れてないのに視えた・・・とか。
ううん。 以前に視た情景に引っ張られて、ただ夢を見たっていう可能性も・・・ある。
その・・・割には・・・・
あの空気感や、臭い、そして・・・・
私を見ていた、あの人。
思い出して、また、ぞくって悪寒が走った。
視えたものが、空野くんの前世なのか、私の脳が作り出した夢なのか。
わかんないな・・・・
外はもう明るい。
時計を見るとまだ早い時間だったけど、もう眠る気になれない・・・・
私はため息をついてベッドから出た。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる