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8.前世・・・それとも、夢?
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夜ベッドに入っても、昼間のことを思い出して、なかなか寝付けない。
今日はすごく楽しかった。
初めて学校の外で会って、最初は少し不安もあったけど、たくさん話せたし・・・・
空野くん、今日もすごく、カッコよかった。
それに・・・・手も、つなげたし。
私は空野くんとつないだ右手を、左手でさすった。
・・・また触れたときに、痛みを感じた。
空野くんも・・・・感じてた。
・・・・なんで空野くんの時は、反応が激しいんだろう。
今まで他の人を視る時に、こんな風になったこと、なかったのに。
なかなか寝付けないって思ってたけど、今日の楽しかったことを思い出しながら、いつの間にか眠っていた。
ふと気づくと、私は眼下に美しい景色が広がる風景の中、空中に浮いていた。
ここは・・・・空野くんの前世・・・・・
また、私は空中を移動していく。
たどり着いたのは弓の練習場ではなく・・・・かなり広い平地。
「これ・・・・って」
まるで、映画のよう。
・・・映画だと・・・・思い、たい。
たくさんの人が、剣を、槍を、弓を手に、戦っている。
倒れている人も、たくさんいる。
漂ってくる臭いに、私は鼻と口を押さえた。
「うっ・・・・」
濃い血の臭いに、吐き気が起こる。
『打てえ!!!』
馬に乗って立派な兜をかぶったた人が剣を振り下ろすのを合図に、
ビュッ! ビュビュッ!!
空気を切り裂く音とともに、矢が放たれる。
その矢に打たれて、たくさんの人がまた倒れた。
戦争だ・・・・・!!!
私はもしかして、と思い、弓兵の中に、ルーカスを探した。
金髪碧眼の彼は目立つ容貌だったため、こんなところでもすぐに見つけることが出来た。
『百発百中』『外さない』
そう言われていたから、きっと前線にいるだろうと思ったけど・・・やっぱり、そうなんだ。
私はぎゅって胸が痛くなった。
彼も・・・人を、殺したんだろうか。
そして・・・・戦争で、命を落とすの・・・・?
今までも他の人の前世を視ると、戦争の場面だったりしたことはあった。
でも、基本的に前世を視る時は、スクリーン越しに見ているような感覚で・・・
今みたいに、自分がその場にいるように空気感や臭いまで感じるなんてことはなかった。
放たれた矢が胸に刺さり、倒れている人が目に入った。
腕や足にも傷があり、頭からも血を流している。
胸の傷は見るからに致命傷で、もう・・・助からない、だろう。
その人は左手で胸の傷口を押さえ、苦悶の表情をしていた。
その目が開き、視線が宙をさまよい・・・・・
空中に浮かぶ、いるはずのない、私を、捉えた。
目が合い、私は体が戦慄するのを感じた。
な、なんで、目が合うの・・・・・
私は前世を視ているだけ・・・・
ここには、居ない、存在なのに・・・・・・
その人は右手を宙に、私の方に向かって伸ばす。
どうして・・・・・どうして、見えてるの・・・・・!?
私は怖くなって、その人から目を逸らし、両腕で自分を抱きしめた。
体が小刻みに震える。
・・・しばらくそうした後、ゆっくりと目を開ける。
そっとその人の方に視線を送ると・・・・
もう、彼は、事切れていた。
彼は・・・・一体、なにを見ていたんだろう・・・・
ふって、あたりの風景の色がなくなり、黒い幕が下ろされる。
・・・終わり、だ。
目を開けると、私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
窓の外は明るくなっている。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに座る。
・・・・今のは、夢?
それとも、空野くんの前世なの?
触れてないときに、前世の情景が見えるなんてこと、今までなかった。
・・・初めて空野くんの前世を視たとき、そして昨日も、手が触れたときにものすごい音がして痛みがあった。
空野くんも、静電気程度とはいえ、痛みを感じていたみたいだし。
ああいう激しい反応があった反動で、今回は空野くんに触れてないのに視えた・・・とか。
ううん。 以前に視た情景に引っ張られて、ただ夢を見たっていう可能性も・・・ある。
その・・・割には・・・・
あの空気感や、臭い、そして・・・・
私を見ていた、あの人。
思い出して、また、ぞくって悪寒が走った。
視えたものが、空野くんの前世なのか、私の脳が作り出した夢なのか。
わかんないな・・・・
外はもう明るい。
時計を見るとまだ早い時間だったけど、もう眠る気になれない・・・・
私はため息をついてベッドから出た。
今日はすごく楽しかった。
初めて学校の外で会って、最初は少し不安もあったけど、たくさん話せたし・・・・
空野くん、今日もすごく、カッコよかった。
それに・・・・手も、つなげたし。
私は空野くんとつないだ右手を、左手でさすった。
・・・また触れたときに、痛みを感じた。
空野くんも・・・・感じてた。
・・・・なんで空野くんの時は、反応が激しいんだろう。
今まで他の人を視る時に、こんな風になったこと、なかったのに。
なかなか寝付けないって思ってたけど、今日の楽しかったことを思い出しながら、いつの間にか眠っていた。
ふと気づくと、私は眼下に美しい景色が広がる風景の中、空中に浮いていた。
ここは・・・・空野くんの前世・・・・・
また、私は空中を移動していく。
たどり着いたのは弓の練習場ではなく・・・・かなり広い平地。
「これ・・・・って」
まるで、映画のよう。
・・・映画だと・・・・思い、たい。
たくさんの人が、剣を、槍を、弓を手に、戦っている。
倒れている人も、たくさんいる。
漂ってくる臭いに、私は鼻と口を押さえた。
「うっ・・・・」
濃い血の臭いに、吐き気が起こる。
『打てえ!!!』
馬に乗って立派な兜をかぶったた人が剣を振り下ろすのを合図に、
ビュッ! ビュビュッ!!
空気を切り裂く音とともに、矢が放たれる。
その矢に打たれて、たくさんの人がまた倒れた。
戦争だ・・・・・!!!
私はもしかして、と思い、弓兵の中に、ルーカスを探した。
金髪碧眼の彼は目立つ容貌だったため、こんなところでもすぐに見つけることが出来た。
『百発百中』『外さない』
そう言われていたから、きっと前線にいるだろうと思ったけど・・・やっぱり、そうなんだ。
私はぎゅって胸が痛くなった。
彼も・・・人を、殺したんだろうか。
そして・・・・戦争で、命を落とすの・・・・?
今までも他の人の前世を視ると、戦争の場面だったりしたことはあった。
でも、基本的に前世を視る時は、スクリーン越しに見ているような感覚で・・・
今みたいに、自分がその場にいるように空気感や臭いまで感じるなんてことはなかった。
放たれた矢が胸に刺さり、倒れている人が目に入った。
腕や足にも傷があり、頭からも血を流している。
胸の傷は見るからに致命傷で、もう・・・助からない、だろう。
その人は左手で胸の傷口を押さえ、苦悶の表情をしていた。
その目が開き、視線が宙をさまよい・・・・・
空中に浮かぶ、いるはずのない、私を、捉えた。
目が合い、私は体が戦慄するのを感じた。
な、なんで、目が合うの・・・・・
私は前世を視ているだけ・・・・
ここには、居ない、存在なのに・・・・・・
その人は右手を宙に、私の方に向かって伸ばす。
どうして・・・・・どうして、見えてるの・・・・・!?
私は怖くなって、その人から目を逸らし、両腕で自分を抱きしめた。
体が小刻みに震える。
・・・しばらくそうした後、ゆっくりと目を開ける。
そっとその人の方に視線を送ると・・・・
もう、彼は、事切れていた。
彼は・・・・一体、なにを見ていたんだろう・・・・
ふって、あたりの風景の色がなくなり、黒い幕が下ろされる。
・・・終わり、だ。
目を開けると、私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
窓の外は明るくなっている。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに座る。
・・・・今のは、夢?
それとも、空野くんの前世なの?
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空野くんも、静電気程度とはいえ、痛みを感じていたみたいだし。
ああいう激しい反応があった反動で、今回は空野くんに触れてないのに視えた・・・とか。
ううん。 以前に視た情景に引っ張られて、ただ夢を見たっていう可能性も・・・ある。
その・・・割には・・・・
あの空気感や、臭い、そして・・・・
私を見ていた、あの人。
思い出して、また、ぞくって悪寒が走った。
視えたものが、空野くんの前世なのか、私の脳が作り出した夢なのか。
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時計を見るとまだ早い時間だったけど、もう眠る気になれない・・・・
私はため息をついてベッドから出た。
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