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61.1週間ー1 あきらSIDE
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次の日。
重い気持ちのままバイトをこなし、夜は実家へ戻ってきた。
「めずらしいわね、こっちに帰ってくるなんて。 明日もバイトなんでしょ?」
「ああ・・・しばらく、こっちから通うから」
「大丈夫なの?」
少し時間はかかるけど、別に通えない距離じゃないし。
「大丈夫だよ」
ため息をつきながら、ダイニングのイスに座った。
「夜ご飯は?」
「軽く食べたから、いらない」
母さんがコーヒーを淹れてくれて、オレの前に置く。
「晃・・・なにかあったの?」
「え?」
淹れてくれたコーヒーを飲みながら母さんを見ると、少し心配そうな顔をしていた。
「わざさざこっちからバイトに行くなんて・・・ 玲紀くんと、なにかあった?」
まあ・・・そう、思うよな・・・
オレは小さくため息をつき、コーヒーをテーブルに置く。
母さんは自分の分のコーヒーを持って、オレの向かいのイスに座った。
親に話す・・・と言っても、
いきなり話したら、驚くしショックだろうし、最悪、大反対されて終わる・・・とかもあるかもしれない。
様子を見ながら話すべきだよな・・・
まずは、父さんに話した方がよさそうだし・・・
「・・・いや、別に。 レイキとは、ふつーにやってる」
「そうなの? ちゃんと食べてる?」
「ああ。 当番決めて、飯作ってるし。
・・・そうそう、時々、レイキのお姉さんが、飯作りに来てくれたりしてる」
「あら、そうなのね・・・ やっぱり、女の子って、いいわねー」
母さんは子供がオレたち息子3人だから、娘も欲しかったということを、昔から時々言っていた。
「香菜さんが、いるじゃん」
香菜さんは、遼兄の奥さんだ。
遼兄は、1年位前に結婚した。
「そう! 香菜さんと話すの、楽しくて! 今度、一緒に買い物に行くのよ」
「・・・楽しいのはいいけどさ。 母さんはしょせん姑なんだから。 お嫁さんに嫌われないようにしろよ」
「はいはい、分かってるわよ」
・・・しばらく2人でコーヒーを飲んで。
「・・・なあ。
父さんから聞いた? 桜庭先生の娘さんの話」
母さんは笑って、
「聞いたわよー。 駿を婿に出すなんて突然言うから、びっくりしたわ」
「どう・・・思った?」
「桜庭先生の娘さんは、母さんは会ったことないから・・・なんともねー・・・
でも、結局は駿の気持ち次第だからね」
気持ち次第・・・そうだよな・・・
「でも結局、晃に話が回ってきたんでしょ?
桜庭先生の娘さんのも先生にも、すごーく気に入られたって、きいたわよ?」
「うん・・・」
オレはテーブルに置いたコーヒーに視線を落として、
「オレが・・・・結婚とか・・・・・どう、思った・・・?」
母さんはちょっと笑いながら、
「さすがにまだそんな話は早いでしょ?って思ったわよ。 だって、駿ならともかく、晃はまだ18歳よ?
お父さんも桜庭先生も、気が早いわよねー。
・・・でも、桜庭先生のところは、うちより子供が遅かったから・・・
先生も、色々心配なんでしょうね」
確かに・・・
長子の柚葉が、オレと同じ学年だもんな・・・・
「晃はどう思ってるの? 柚葉ちゃんのこと」
「え」
母さんはにこにこしてオレを見ている。
オレにとっては、いきなり核心に近いことを訊かれて、少し焦ってしまった。
「結婚・・・とかは置いておくとしても、柚葉ちゃんとはつき合うの?」
オレは少しうつむいて、言葉を探す。
「・・・晃、お父さんが言うからって、無理しなくていいのよ? こういうのは、人に言われたから、じゃあやります、とかいうものじゃないから」
なにも言えなかったオレに、母さんは優しく笑ってくれた。
「・・・先に、お風呂に入ってきなさい。 ベッド、用意しておくから」
「うん・・・ ありがと」
いざ話そうと思うと・・・ 緊張するな・・・・・
今日は父さんは遅くなるらしい。
なんて話すかを考えて・・・・
明日、父さんには話そう。
重い気持ちのままバイトをこなし、夜は実家へ戻ってきた。
「めずらしいわね、こっちに帰ってくるなんて。 明日もバイトなんでしょ?」
「ああ・・・しばらく、こっちから通うから」
「大丈夫なの?」
少し時間はかかるけど、別に通えない距離じゃないし。
「大丈夫だよ」
ため息をつきながら、ダイニングのイスに座った。
「夜ご飯は?」
「軽く食べたから、いらない」
母さんがコーヒーを淹れてくれて、オレの前に置く。
「晃・・・なにかあったの?」
「え?」
淹れてくれたコーヒーを飲みながら母さんを見ると、少し心配そうな顔をしていた。
「わざさざこっちからバイトに行くなんて・・・ 玲紀くんと、なにかあった?」
まあ・・・そう、思うよな・・・
オレは小さくため息をつき、コーヒーをテーブルに置く。
母さんは自分の分のコーヒーを持って、オレの向かいのイスに座った。
親に話す・・・と言っても、
いきなり話したら、驚くしショックだろうし、最悪、大反対されて終わる・・・とかもあるかもしれない。
様子を見ながら話すべきだよな・・・
まずは、父さんに話した方がよさそうだし・・・
「・・・いや、別に。 レイキとは、ふつーにやってる」
「そうなの? ちゃんと食べてる?」
「ああ。 当番決めて、飯作ってるし。
・・・そうそう、時々、レイキのお姉さんが、飯作りに来てくれたりしてる」
「あら、そうなのね・・・ やっぱり、女の子って、いいわねー」
母さんは子供がオレたち息子3人だから、娘も欲しかったということを、昔から時々言っていた。
「香菜さんが、いるじゃん」
香菜さんは、遼兄の奥さんだ。
遼兄は、1年位前に結婚した。
「そう! 香菜さんと話すの、楽しくて! 今度、一緒に買い物に行くのよ」
「・・・楽しいのはいいけどさ。 母さんはしょせん姑なんだから。 お嫁さんに嫌われないようにしろよ」
「はいはい、分かってるわよ」
・・・しばらく2人でコーヒーを飲んで。
「・・・なあ。
父さんから聞いた? 桜庭先生の娘さんの話」
母さんは笑って、
「聞いたわよー。 駿を婿に出すなんて突然言うから、びっくりしたわ」
「どう・・・思った?」
「桜庭先生の娘さんは、母さんは会ったことないから・・・なんともねー・・・
でも、結局は駿の気持ち次第だからね」
気持ち次第・・・そうだよな・・・
「でも結局、晃に話が回ってきたんでしょ?
桜庭先生の娘さんのも先生にも、すごーく気に入られたって、きいたわよ?」
「うん・・・」
オレはテーブルに置いたコーヒーに視線を落として、
「オレが・・・・結婚とか・・・・・どう、思った・・・?」
母さんはちょっと笑いながら、
「さすがにまだそんな話は早いでしょ?って思ったわよ。 だって、駿ならともかく、晃はまだ18歳よ?
お父さんも桜庭先生も、気が早いわよねー。
・・・でも、桜庭先生のところは、うちより子供が遅かったから・・・
先生も、色々心配なんでしょうね」
確かに・・・
長子の柚葉が、オレと同じ学年だもんな・・・・
「晃はどう思ってるの? 柚葉ちゃんのこと」
「え」
母さんはにこにこしてオレを見ている。
オレにとっては、いきなり核心に近いことを訊かれて、少し焦ってしまった。
「結婚・・・とかは置いておくとしても、柚葉ちゃんとはつき合うの?」
オレは少しうつむいて、言葉を探す。
「・・・晃、お父さんが言うからって、無理しなくていいのよ? こういうのは、人に言われたから、じゃあやります、とかいうものじゃないから」
なにも言えなかったオレに、母さんは優しく笑ってくれた。
「・・・先に、お風呂に入ってきなさい。 ベッド、用意しておくから」
「うん・・・ ありがと」
いざ話そうと思うと・・・ 緊張するな・・・・・
今日は父さんは遅くなるらしい。
なんて話すかを考えて・・・・
明日、父さんには話そう。
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