イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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42.※ もう隠さない

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「瑞樹ー。 メシ、食おうぜ」

昼休み。 和真と由奈たちが声をかけてくる。

「陽人は?」

やっぱりいない陽人のことを、答えは分かってるけど和真に訊いてみた。

「あずみ先輩んとこ」

ニヤつきながら答える和真。

「陽人、あずみ先輩にべったりだよなー」

オレも思わずニヤついてしまう。


あずみ先輩とつき合いだしてから、陽人は先輩にべったりになった。

休み時間もちょくちょく行ってるし、昼も一緒に食べてることが多い。

帰りも、3年生の授業が終わるの、待ってたりするし。

「今までの陽人からは、想像つかねーよな」

「ほんとだよねー」

オレの言葉に、由奈と美香もうなずいた。

今まで、彼女のところに陽人から行くなんてほとんどなかったし。


弁当を食おうと机をくっつける和真たちを見ながら、ふと、オレも涼司と食いてーなって、思った。


「和真、ゴメン。 今日はオレもパス」

謝ると、和真はオレを見て口角を持ち上げ、ぐって肩を抱いてきた。

「桐谷と食うのかよー?」

拳で腹をぐりぐりされて、思わず笑ってしまう。

「ちょ、やめろって。
・・・声、かけてみる。 ダメかもだけど」

「いーじゃん。 行って来いよ」


和真に見送られて、こっちも机をくっつけようとしてる涼司の方に向かった。


「・・・桐谷」


声をかけるとオレを振り返って、ふって微笑んだ。

「あー・・・ 昼、一緒にどうかなって思って」

恥ずかしくて、ちょっとカオを背けながら言ってみた。

「いいよ。 行こう」

迷うことなく肯定の返事をくれたことが、なんだか嬉しい。


「ごめん、昼、星野と食べるな」

涼司は仲の良い友達たちに謝る。 ・・・涼司の友達は、桐谷に似てマジメな感じで・・・メガネ率、高いよな。


「ほんと、最近星野くんと仲いいよな」

「ちょっと意外な組み合わせだけどな」


涼司が仲良くしてる男子はマジメな感じでオレとは違うから、今まであんまり話したことなかったけど、話してみるとみんな結構気さくなヤツだった。

まあ、ノリは陽人や和真とは違うけど。


「うらやましいだろ」

涼司はそう言って、少し笑った。



オレと涼司は、弁当を持って屋上に上がった。

端っこの、少し周りからは見えにくいところ・・・ そこが、いつも弁当を食う定位置になっていた。



「ごめんな。 この間一緒に食ったばっかなのに、また誘って」

「なんで謝るんだよ。 うれしいよ? 一緒に食べれるの」

涼司が本当に嬉しそうに笑うから、こっちまで嬉しくなる。

オレたちは膝の上に弁当を広げて、食べ始めた。



陽人があずみ先輩とつき合いだしてから、一気にそのうわさが広まった。

陽人とあずみ先輩だもんなあ・・・・ そりゃあみんな飛びつく話題だよな。

しかも陽人が今までと違って、あずみ先輩にべったりになってるし・・・


オレも見かけたことあるけど、廊下とかで話してても、すげー距離近くて。

あずみ先輩は恥ずかしそうなんだけど、陽人がぐいぐい行ってる感じ。

もう、あずみ先輩しか見えてないって雰囲気だもんなあ・・・・


でもそのおかげで、オレと陽人のキス写真の話はなくなった。

それで、学校でだってホントは話したりしたいって思ってたし・・・

涼司と、普通に話したり、こうやって昼一緒に食べたりするようになったんだ。


「中間は、あずみ先輩・・・だっけ。 彼女と上手くいってるの?」

「ああ。 もー、すげーべったり。 あんなに陽人の方が夢中になってんのなんて見たことなかったから、ちょっとびっくりだけどな」

「そっか」

涼司は弁当に視線を落としたまま、箸でツンツンとソーセージをつつく。

「・・・中間がそんな感じだったら、女子はあきらめざるをえないだろうし・・・ その分、瑞樹がモテてたりするんじゃないのか?」


『瑞樹』


涼司にそう呼ばれるの、まだ慣れなくて。 ピクって、カラダが反応してしまう。

「そ、んなこと、ねーよ。 モテるやつなんて、オレ以外にもいっぱいいるじゃん」

名前呼びに反応してるなんて知られたくない。 そう思ってんのに

「・・・でも、この間も女子に言い寄られてた」


涼司はオレの方にカラダを乗り出してきて、オレの左手を掴んだ。


触られたら・・・ ヤバいって・・・・!


「いや、気にしすぎだって」

カオを背けたまま、涼司の手を離させようとする。 でも涼司は抵抗するように、掴んだ手に力を入れた。

「・・・気にする、よ」


恥ずかしくて慌ててたけど、涼司の声色が寂しそうなことに気づいた。

力を抜いて涼司を見ると、オレの手を掴んだまま、少しうつむいていて。 きゅって眉根を寄せてる。


「・・・ごめ、ん。 そりゃ、気にするよな」

オレの手を掴んでる涼司の手に、右手を重ねる。

「・・・確かに、言い寄られたりはあるけど・・・ 別に、増えたとかはないし。 それに」


オレは右手を伸ばして、涼司の頬に触れた。


「・・・オレは涼司が好きだから、別に誰になに言われても、関係ないし」


オレの言葉に、涼司は視線を上げる。

「・・・そんなこと言われたら、・・・ガマンできなくなる」


ちらって周りに視線を走らせる。 視界に誰もいないことを確認して


ちゅ


そっと、唇を重ねてきた。


涼司は軽くキスするだけのつもりだったのかもしれない。

でもオレは足りなくて、

「んっ・・・」

涼司の首に手を回して、深く唇を重ねた。


「ふ・・・・んっ・・・」

涼司の口内に舌を挿れ、その舌を絡めとる。

「んんっ・・・・」

ほんと、キス、きもちい・・・・


「んっ・・・み、ずきっ」

涼司がオレの両肩を掴んで離させる。

「瑞樹っ・・・学校でこんな」

オレは涼司の首に手を回したまま、見つめて少し首を傾げた。


・・・甘えるような、仕草。


「だってさ・・・涼司がキスしてきたんじゃん。
オレ、あんなんじゃ足りねー・・・」

涼司は少し赤いカオでオレを見つめ返す。

オレの頬に触れて、少し眉根を寄せた。


「・・・そんな顔、学校でしたらダメだ」

「どんなカオ?」

涼司にカオを寄せると、軽く唇を合わせてくれる。

「・・・そういう顔。 誘ってる、みたいな」


やった。 涼司、誘われてるって思ってくれてるんだ。

オレは口角を持ち上げる。

「だって、誘ってるし」


ふいに背中に手を回されて、ぎゅって抱きしめられた。


「瑞樹・・・」

耳元で名前を呼ばれて、ぞくってした。


「もう・・・たまんない。
オレ・・・みんなに言いたい。 瑞樹がオレの、恋人だって」


思いがけない言葉に、一瞬、意味が分からなかった。


「はっ・・? え!?」

少し体を離すと、涼司はオレを見てうっとりとした表情。

「瑞樹が・・・かわいすぎるから。 みんなに自慢したいのと・・・牽制」

「ちょ、涼司っ・・ん」

今度は涼司から深いキスをされて。

「んっ・・・は、ぁ」

舌を吸われて、上顎をなぞられて、カラダがぴくんぴくんって、反応する。

キスだけなのに快感が走って、オレは腰を涼司に押し付けた。

「んんっ・・・・・」

どうしよ。 学校なのに、こんなに気持ちよくなってきて。



「お前らー。 こんなとこでサカんなよ」

不意に響いた声に、びくって体が震えた。 思わず涼司をどんって突き飛ばしてしまう。

慌てて声のした方を振り返ると、陽人、だった。

隣にはあずみ先輩。


・・・やっば。 見られたよな・・・

あずみ先輩、オレたちを見てカオ赤くしてるし。


「瑞樹。 まぁたエロいカオしてんな」

陽人が口角を持ち上げてオレを見る。


え、っろい、カオ、って・・・!


慌てるオレを、涼司がぎゅって抱きしめてきた。 オレのカオを自分の胸に引き寄せて。

オレの視界は涼司の制服のシャツでいっぱいになって、陽人のカオは全く見えなくなった。

「・・・中間、見るな」

低い、涼司の声。

「なんだよ。 前はオレに見せつけてきただろ」

「あの時は・・・ お前が瑞樹にちょっかい出してきてたから」

「あー・・・まあ、 あん時は悪かったな」

カオは見えないけど、陽人がすまなさそうな表情になってるのが声で分かる。


・・・っていうか、あずみ先輩! 見られたよな!?


オレは涼司の胸から頭を上げて、あずみ先輩を振り返った。

赤いカオで、少し困ったような表情で、オレたちを見てる。

オレの視線に気づいて、陽人があずみ先輩に声をかける。

「先輩、あいつら、つき合ってんだよ」

「ちょ、陽人ッ・・・!」

確かにもう見られてるわけだし、言い訳出来ねーけど。

「いいだろ、瑞樹。 もう、隠すのやめようよ」

オレを抱きしめたままの涼司は、そう耳元でささやいてきた。

「でもさっ・・・」

「オレ、瑞樹が女子に言い寄られてるの、嫌だし。 言っただろ。 自慢と、牽制」


いつになくそうハッキリという涼司。

カオを見ると、真剣な表情で・・・ ああ、オレとのこと、本気だから言いたいんだなって、感じた。


「変な目でみられるかもしんねーぜ?」

「大丈夫。 だって、悪いことしてるわけじゃないだろ」

「そうだけど」

「瑞樹」

涼司がカオを寄せてくる。

陽人と先輩に見られてるのに。 そう思ったけど、オレはそのままキスを受け入れた。


「んっ・・・」

舌を絡めながら。

見られてるのかなと思って、ちらって陽人たちの方を見た。

そしたら、


陽人が先輩を抱きしめて、キスをしてた。


「ん・・・ふっ」

もう・・・・ 涼司も陽人も・・・・ 見られててもお構いなし、かよ。

「はっ・・・・ぁ」

唇を離すと、銀糸が伝って。


オレがあずみ先輩を見ると、先輩も唇を離してオレを見た。

うっとりした、上気した頬。 本当に、きれいだ。


「・・・お互い、苦労するっすね」

笑って言うと、あずみ先輩も笑った。

「ほんとね」


「瑞樹」

涼司がオレを責めるような瞳で見る。 あっちの方を見るなってことだよな。

オレは涼司の頭に触れ、その髪をくしゃくしゃって撫でた。

「わーかったよ。 隠すの、やめよ。 涼司の友達にも言おうぜ。
・・・陽人と和真は知ってんのに、涼司の友達が知らねーのも、不公平だしな」


オレの言葉に、涼司は瞳を大きくした。

「・・・いいのか?」

「ああ。 訊かれたら、『涼司とつき合ってる』って女のコたちにも言うよ」


涼司は嬉しそうに笑った。

・・・やっぱ、オレが女のコに言い寄られるの、いい気はしないし不安だったんだよな・・・


「オープンにしたら、いちゃつけるからいいぜー」

陽人が先輩の腰に手を回して笑う。

「陽人くんっ・・・」

先輩はやっぱり恥ずかしそうで。

「さすがに陽人みたいにはいちゃつかねーけど」

オレと涼司は、カオを見合わせて笑った。


涼司の友達とか、美香や由奈、奥山さん・・・どんな反応するかな・・・

良く思われないこともあるだろうな。

でも・・・・


「瑞樹・・・」

涼司がオレを見つめて、頬に手を触れる。

「涼司、好きだよ」

オレの言葉に、嬉しそうに笑う。

「オレも、好きだよ」


もう一度、唇を重ねた。





fin

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