イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

文字の大きさ
上 下
34 / 44

33.※ また

しおりを挟む
結局由奈の誤解は解けないまま。

まあ・・・・違う理由も説明できないし・・・・しばらくほっておくか・・・・


そして桐谷とも話はできないまま、放課後になってしまった。



「今日、どっか寄って帰ろーぜー」

陽人に誘われるけど、

「あ、オレ今日掃除当番なんだよな」

めんどくせーなあ。

「そっか。 じゃあ、てきとーに時間潰してる。 一緒帰ろうぜ」

「わかった」


陽人はHRが終わった後、他のクラスの女のコと廊下でしゃべってた。

今日はオレは掃除当番。 めんどくせーなあって思ってたんだけど。

掃除当番のメンバーの中に、桐谷がいた。

なんで? 同じ日じゃなかったはずだけど。

なんでだろうって思うけど、本人には聞けない。


「桐谷くん、今日当番じゃないよね?」

掃除当番の女のコが、桐谷に聞いてくれた。

オレは掃除をしてるフリをしながらも、耳は2人の会話に集中してしまってた。


「ああ。 木村が今日は用事があるらしくて。 代わって欲しいって頼まれたから」

そうなんだ・・・・

一緒に掃除当番してるからって、話が出来るわけじゃないんだけど。

近くに居れるだけで、なんかちょっと嬉しかったりして。


・・・・桐谷とつき合いだしてから、改めて見てみると

桐谷ってすげークールな印象なんだけど、クラス委員長だからなのかクラスのみんなのことよく見てるし、いろんなことに気付いてさりげなくフォローしてるし、

なによりイケメンだし、

結構、女のコが桐谷と話するときに、嬉しそうにしてることに最近気づいた。

今桐谷と話してるコも、そうだ。


桐谷・・・・・実は結構モテてたりするのかな・・・・・ 奥山さん以外にも、桐谷のこと好きな女のコって、いるのかも・・・・

そう言えば、桐谷が今までどんな女のコとつき合ってきたのかとか、全然知らないな・・・・


そんなことを考えながらゴミ箱のゴミをまとめていたから、近づいてきた人の気配に気付かなかった。


「星野」

急に近くで話しかけられて、びっくりして体が少し跳ねてしまった。

振り返ると、桐谷だった。

いつも通り、クールな表情で。

「な、なに」

「ゴミ、オレがあっちのとまとめて捨ててくるよ」

そう言うと、桐谷はオレの手からゴミ袋を取った。


ほんの少し、手が触れる。

オレはまたびくってして、手を引っ込めた。


オレの態度を見て、桐谷は少し瞳を細める。

なんか、オレばっか意識してるみたいで・・・くやしい。


「じ、じゃあ、これ、片付けとくから」

そう言って、オレは桐谷の手からほうきを取り上げた。

取る前に、わざと桐谷の手をぎゅって掴んで。


ちらって桐谷を見ると、少し口角を持ち上げて、嬉しそうな表情になった。

桐谷の表情を見て、ほんの少し、胸が温かくなる。


「ありがとう。 じゃあ、ゴミ捨ててくる」

そう言って、桐谷はゴミ捨てに行こうとした。

「桐谷くん、持つの大変でしょ? 手伝うよ」

さっきの女のコが、桐谷に話しかける。

「大丈夫だよ。 ありがとう」

桐谷は笑顔で申し出を断るけど、

「手伝わせて?」

そのコは、有無を言わせず桐谷の持っていたゴミ袋を一つ持った。

「桐谷くん、行こ?」


結局、2人でゴミ捨てに向かった。


なんだよ。

2人で行くんなら、オレが一緒に行ってもよかったんじゃん?

掃除当番で一緒にゴミ捨て行くくらい、変じゃねーだろーし。

しかもあのコ、すげー嬉しそうだったな・・・・・


少しモヤモヤしながら、ほうきを持って片付けた。

「瑞樹」

廊下で女のコと話してた陽人がオレに声をかける。 

「もうすぐ終わるか?」

「ああ。 今ゴミ捨て行ってるから、戻ってきたら終わり」

廊下の窓に寄りかかって立ってる陽人の右隣にオレも立つ。


なんでこんなモヤモヤするんだろ。

ちょっと女子としゃべってただけじゃん。

気にするようなことじゃない。


「陽人ー。 一緒帰ろ? どっか寄ろうよー」

陽人と話してた女のコが、陽人の左腕に抱き着いて甘えてる。

「今日は瑞樹と約束してるからなー」

「じゃあ、瑞樹も一緒に行こ?」

女のコは陽人越しにオレを見て、ニコって笑った。

「んー・・・」

ふと左の肩越しに窓の外に目をやると、ゴミ捨てに向かってる桐谷が見えた。

女のコと一緒に歩きながら、楽しそうに話してるのが、表情で分かった。


やっぱさ・・・・ 桐谷も、モテてるよなあ・・・・

オレとは違って、たぶん奥山さんみたいな、ちょっとマジメな感じの女子に。


「瑞樹」

左隣の陽人に声をかけられるけど、オレの意識は桐谷に向いてて、その声は耳に届いてなかった。


急に手を頬に当てられてなんだろうと思って陽人に視線を向けると、

陽人のカオが思いのほか近くにあって、



ちゅっ


唇が、重なった。



えっ、 ちょ、 っと



「はる・・・んっ」

陽人はオレの首に手を回して、深く、唇を重ねてきた。

舌が、オレの口内をなぞる。

なにが起こったのか分からなくて、されるがままになってしまった。


「きゃーっ♡」

陽人と話してた女のコが歓声を上げて、

「陽人、瑞樹っ♡」

周りの人にも気付かれた。


「ん・・・・んっ」

ぐいって、オレは陽人の肩を押し返す。 それでも、陽人はキスをやめない。


パシャッ


誰かが押した、シャッター音。


これ・・・・やばくね?


オレは陽人の足を蹴飛ばした。

「ちょっ、いって!」

やっと、陽人がオレから離れる。

「瑞樹、ひどくね!?」

「はあっ!? こっちのセリフだ!
ていうか、陽人なにやってんだよ!」

「なにって、キス」

「お前なあっ!」


周りに居る女のコたちは、撮った写真を見て、きゃあきゃあ言ってる。

「見てー♡ 撮っちゃった♡」

「いいなあ。 私にもちょうだい?」

「うん、送るねー♡」


オレは女のコたちに近づいて、

「その写真、消してくれよ」

「えーっ、いいじゃん。 イケメン同士のキス、目の保養だよー♡」

「しかも、生で見れたし!」

女のコたちはきゃあきゃあ盛り上がって、オレの訴えなんて聞いてくれない。


茫然とするオレの肩を、陽人がぽんって叩いた。

「みんな喜んでるし、いいだろ」

オレは陽人の胸倉をぐって掴んだ。

「オレは嫌だって言ってただろ! なんでこんなことするんだよ!」

陽人は口角を持ち上げて、

「だって、オレはしたかったし。 それに」

そしてオレの耳に口を寄せてきて、

「女のコたちと遊んでないの、みんなに不思議がられてんだろ? ・・・・オレとつき合ってることにしたらいいじゃん」


・・・・・っ、確かに、なんで遊んでくれないのか、ごまかすのも結構大変で。

由奈には、奥山さんのこと好きだって思われてるし。

陽人とつき合ってることにしたら、ごまかせる・・・・?


でも


桐谷は、陽人にすげー嫉妬してて。

不安に思ってて。


だからやっぱり、それはダメだ。


オレはふるふると首を振った。

「・・・・それは、できない」



「みんな、どうしたの?」

さっき桐谷と一緒にゴミ捨てに行ったコが、戻ってきた。 桐谷も、そのコの隣に居る。


「見て見て! 陽人と瑞樹♡」

写真を撮ったコが、自分のスマホを2人に見せる。


オレは・・・・・

なにも出来ずに、その場に立ち尽くした。



写真を見て、桐谷はオレに視線を向けた。


・・・・とても、 とても、 悲しそうな、 瞳。



「えっ、ここで? みんなの前でキスしてたの?」

「そう! みんなの目の前で!」

「えーっ、 私も見たかった!」


盛り上がってるみんなをよそに、桐谷はそのまま黙って足早に教室を離れた。


「桐谷ッ!」

声をかけるけど、桐谷は足を止めることはなくて。

「陽人、瑞樹、も一回してー♡」

「私も写メ撮りたいー♡」

女のコに囲まれてしまって、桐谷を追いかけるのが遅れてしまった。

「ちょ、っと、ゴメン」

女のコを押しのけて、桐谷の後を追いかける。

「瑞樹!」

陽人の声がしたけど、オレは振り返らなかった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

春ですね~夜道で出会った露出狂をホテルに連れ込んでみたら~

夏芽玉
BL
4月、第3週目の金曜日。職場の歓迎会のせいで不本意にも帰りが遅くなってしまた。今日は行きつけのハプバーのイベント日だったのに。色んなネコとハプれるのを楽しみにしていたのに!! 年に1度のイベントには結局間に合わず、不貞腐れながら帰路についたら、住宅街で出会ったのは露出狂だった。普段なら、そんな変質者はスルーの一択だったのだけど、イライラとムラムラしていたオレは、露出狂の身体をじっくりと検分してやった。どう見ても好みのど真ん中の身体だ。それならホテルに連れ込んで、しっぽりいこう。据え膳なんて、食ってなんぼだろう。だけど、実はその相手は……。変態とSMのお話です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...