イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

文字の大きさ
上 下
29 / 44

28.※ 海辺の散歩

しおりを挟む
「あー、すげーうまかった!」

2種類のパフェを食べることができて大満足のオレを見て、桐谷が笑う。

「星野が喜んでくれてよかった」

「ああ! わざわざ調べてくれて、店につき合ってくれてさ・・・ ほんとにありがとな!」

ニッて笑うと、桐谷もうれしそうな表情をした。


オレたちは店を出て、海岸に降りてきていた。

まだ夏前の海だけど、サーファーの人はちらほらいた。 あとは海岸を散歩してる人とか。


「海見てると、やっぱ入りたくなるよなー」

「星野、そんなところ歩いてたら、濡れるぞ」

波打ち際ぎりぎりを歩くオレに、桐谷は心配そうな目を向ける。

「大丈夫大丈夫!」

って言ったそばから、少し大きな波が来た。


やばい、濡れるっ!


「星野っ!」

ぐいって桐谷に腕を引っ張られて、オレはその胸に飛び込んだ。


「・・・・ほら、濡れるって言っただろ」

・・・・おかげで濡れずに済んだけど。

「あ・・・、りが、と」

桐谷に抱き付くような格好になってしまっている。

恥ずかしくて慌てて離れようとすると、


ぎゅ


背中に手を回されて、抱きしめられた。


「ちょ・・・ 桐谷」

少ないとはいえ、人のいる海岸で、こんな。


ちゅって首筋にキスをされて、

「・・・っ」

オレのカラダは小さく跳ねる。


抱きしめられて・・・・ キスされて・・・・

こんなことされたら・・・・ カラダが、アツく・・・なる・・・・・・


「桐谷・・・・」

至近距離で桐谷を見ると、桐谷は少し眉根を寄せて、考え込むような表情をしていた。

こんなカオをしてるなんて思わなかったから、少し驚いてしまう。


「桐谷・・・・ どうした?」

頬に触れると、桐谷はハッとしたように、オレに焦点を合わせた。

少し口角を持ち上げて、

「ゴメン・・・・ なんでもないよ。 行こう」

そう言うと、オレを抱きしめていた腕を解いて、桐谷はまた歩き出した。

オレも一緒に歩き出す・・・ けど。

さっきの桐谷の表情が・・・・・ 頭から離れない。


オレたちは無言で海岸を歩く。

ちらって桐谷の表情を盗み見ると、さっきと同じ表情をしていた。


オレはたまらなくなって、桐谷の腕を掴んで足を止めた。

「・・・星野?」

桐谷が少し、驚いた表情になる。

「桐谷・・・・・ なんか思ってることがあるんなら、言えよ」

オレの言葉に、桐谷は少し困ったカオをした。

「あー・・・・ごめん。 言い方、キツかったよな」

オレは少しうつむいた。

「なんか・・・・・ 考えてるっぽいから、さ。
桐谷の考えてること・・・・ 聞きたい、し」


桐谷は小さくため息をつくと、海に視線を移した。

「星野は・・・・・海、似合うな」

「え?」

「去年の夏も、海に来たんだろ?」

「あ、ああ・・・・」

桐谷の横に立ち、カオを覗き込むと、桐谷もオレを見た。

少し、微笑んで、

「・・・・・中間たち、と?」

「え? う、ん」

「女のコも一緒に? それとも、海で声かけた?」

「え・・・・っと」

海には何度か来て、両方、やりました・・・・・・・

でもそんなことは言えなくて、オレは口ごもる。


桐谷は、なんでこんな事聞くんだろう・・・・・


「・・・やっぱり、星野は海が似合うな。 ・・・・・キラキラ、してるし」

桐谷はオレを見て、本当にまぶしそうに少し目を細めた。

オレは気恥ずかしくて、目を逸らす。

「・・・・・キラキラって、なんだよ」

「・・・・・星野が、カッコいいってことだよ」


カッコいい、って。

面と向かって言われると、すげー照れるな・・・


「星野・・・・・」

そっと、桐谷がオレの頬に触れた。

桐谷を見上げると、また少し、寂しそうな表情で。

オレは頬にある桐谷の手に、自分の手を重ねた。


「桐谷・・・・・ どうした?」

桐谷は少しうつむいた。

「星野は・・・・ 中間たちと居るのが・・・・・ 自然、だよな・・・・・」

自然・・・・って・・・・・

「そ、りゃあ、仲良いから一緒に居るけど」

「オレと居るのは・・・・ 不自然・・・だろ」

「そんなことっ・・・・」


否定しようとして、

言葉に詰まった。


・・・・学校で一緒に居るのは変に思われるから、話さないって言ったのは、オレだ。

もちろん、桐谷にとってデメリットだから、そう思って提案したんだけど。


オレ自身、桐谷とオレの組み合わせが不自然だって、感じてるわけで。

なにも言えなくなって、オレはうつむいた。



「・・・・中間とキスしてたのだって、みんな最初は驚いてたけど、結局受け入れられてるし」



桐谷の言葉に、オレは弾けるようにカオを上げた。

桐谷の口から、陽人とのキスのことが出るなんて、思ってなかったから。


「それはっ・・・・ オレたちがチャラいから、みんな呆れてるだけで」

桐谷は少し口角を持ち上げて、首を振った。

「イケメン同士だからなにやってもいい、とか、むしろ目の保養になる、とか、女子たちは言ってる。
それに・・・・・・ あの後も、変わらず仲が良いから、女子たちは見て喜んでるだろ」

「いや・・・・・」


そんな風に言われてるのは、オレ自身も知ってた。

陽人がやたらスキンシップ多いし、キスしてきそうなフリとかするし、そんなだから、みんながキス写真のこと忘れてくれなくて困るなって思ってはいたけど。


桐谷は額に手を当てて、うつむいた。


「・・・・っ、ごめん。 星野はオレのこと好きだって言ってくれたのに、いちいち、中間に嫉妬してしまうんだ」


・・・・・オレ、知らなかった。

桐谷がそんな風に感じてたなんて。


自分の気持ちを桐谷に伝えて、これからもつき合っていけることになって、それで満足してた。

桐谷がどんな風にオレと陽人のこと見てるのかなんて・・・・・・ 全然、考えてなかった。

『好きだ』ってちゃんと言ってたし、お互いの気持ちが分かってるから・・・・ 大丈夫だって、安心しきってた。


「女子たちは中間と星野のこと認めてるし、2人がつき合うんだったら、それもアリとか、それなら許せる、とか言ってるし。
・・・ああ、やっぱり中間とはつり合ってるんだなって、思うと・・・・・」


オレは桐谷のことを抱きしめた。


「桐谷・・・・ ごめん。
オレ・・・・・桐谷の気持ち、全然気付いてなかった」

桐谷のことを好きな気持ちに気付けて、それを伝えられて。

舞い上がってたし、満足してしまってた。


桐谷は首を振った。

「いいんだ・・・ オレが勝手に、いろいろ考えてしまってただけだから・・・・・」


桐谷に、申し訳なくて。

でも、どうしたらいいのか、わからない。

今まで人とまともにつき合ってきてなかったから・・・・


「桐谷・・・・ オレ、桐谷のこと、好きだよ。
オレたち、見た目も雰囲気も違うし、確かにつり合ってないのかもしれないけど・・・・・
でも、オレは桐谷と居ると楽しいし、一緒に居たい」


どうしたらいいかわからなかったから、オレは自分の気持ちを口にした。


「星野・・・・・ありがとう・・・・・・」


少しカラダを離して、桐谷のカオを覗き込む。

さっきまでとは違って、少し頬を染めて、うれしそうな表情に見えた。 でも視線はオレを見ていなくて、まだ不安そうな光を、瞳の中に見つけた。


「桐谷、なんでも、言って?
オレ・・・・・ たぶん、相手の気持ちとかにすげー鈍感みたいで・・・・・ 桐谷の気持ち、わかってあげられてないと思う。
だからさ・・・・ 不安に思うこととか、言ってほしい」


オレの言葉に、桐谷は少し視線を泳がせて、オレを見ないまま、口を開いた。


「星野は・・・・・ 中間のこと、・・・・・ 好き、なのか・・・・・?」


そりゃあ、友達なんだし、好きに決まってる。

でも、さすがのオレも、桐谷がそういう意味で聞いてるんじゃないってのは、わかった。


「・・・・・友達としては、もちろん、好きだよ。 でも・・・・・ それだけ、だ。
桐谷に感じてる気持ちとは、全然違う」

オレの言葉に、桐谷は表情を歪める。

「・・・・っ、じゃあ、なんで、・・・・・・キス、なんて、したんだ・・・・・?」


・・・・ああ、ダメだな、オレ。

こんな時なのに、桐谷の表情を見て、かわいいって思ってしまってる。


だって、オレのことでこんなに感情を乱して、陽人に嫉妬して・・・・・

オレのこと、すげー好きでいてくれてるんだなって思ったら、

もう、気持ちが抑えられない。


オレは桐谷の首に手を回して、自分の方に引き寄せた。


「星野っ・・・・!?」


そのまま、唇を重ねる。

桐谷の口内に舌を挿れると、


「っ・・・ほし、のっ」


ぐって肩を掴まれて、引きはがされた。


「なっ、急に、なにしてるんだ」

頬を染めて、慌てたような表情。

そのカオも、かわいい。

「桐谷が、かわいいから」

「か、わいい、って・・・・! それに、人が、いるだろ・・・・・・!」

「知ってる人なんかいねーよ。 いいだろ」


もう一度桐谷の首に腕を回して、唇を重ねた。


桐谷はオレの肩を掴んでたけど、オレが舌を絡めると、諦めたように力を抜いて、オレの背中に腕を回してきた。


「んっ・・・・・は、ぁ」


ぴちゃ、くちゅっ・・・・・


桐谷がオレの舌を吸う。

そして、絡めて、歯列をなぞって。


「んんっ・・・・ぁっ」


ぞくぞく、してきた。

オレは腰を桐谷に押し付ける。


桐谷のキス、気持ちイイ・・・・・


「はっ・・・きり、や、んんっ・・・・・」


「星野っ・・・・・」



何度もキスを重ねて、

完全に、自分たちの世界に入ってた。



そのとき。


「つ、めてっ・・・・!」


ひときわ大きな波が来て、海に背を向けて立っていたオレの足を濡らした。


「星野っ、大丈夫、か?」

「濡れたー・・・・・ 結構かかったな・・・ 桐谷は?」

ふくらはぎまで、びっしょり濡れてしまってる。

「星野が壁になってくれて・・・・ オレは少ししか濡れてない」

「そか、よかった・・・・ 冷てー」

靴ん中まで、水入っちゃってるし。


ぱたぱたと足を振るオレを見て、桐谷は心配そうな表情になった。


「大丈夫か? タオルとか・・・ さっきの店で借りようか」

タオルっていうか・・・・ もう脱ぎたい。

冷たいし、肌に張り付いて気持ち悪い。 靴もぐちゃぐちゃだし。



・・・・・そうだ。



「・・・・・・タオルはいいや。 でも少し休憩したい」

「いいよ」

「じゃ、行こーぜ」


オレは桐谷の手を引いて、海岸から道路に上がった。


さっき降りたバス停に向かうわけでもないオレに、黙ってついてきてた桐谷も、さすがに怪訝そうな表情になる。


「星野、休憩って、どこに行くんだ?」

「ん? ・・・・・あそこ」


オレが指差した先は・・・・・ ラブホテル、だった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

春ですね~夜道で出会った露出狂をホテルに連れ込んでみたら~

夏芽玉
BL
4月、第3週目の金曜日。職場の歓迎会のせいで不本意にも帰りが遅くなってしまた。今日は行きつけのハプバーのイベント日だったのに。色んなネコとハプれるのを楽しみにしていたのに!! 年に1度のイベントには結局間に合わず、不貞腐れながら帰路についたら、住宅街で出会ったのは露出狂だった。普段なら、そんな変質者はスルーの一択だったのだけど、イライラとムラムラしていたオレは、露出狂の身体をじっくりと検分してやった。どう見ても好みのど真ん中の身体だ。それならホテルに連れ込んで、しっぽりいこう。据え膳なんて、食ってなんぼだろう。だけど、実はその相手は……。変態とSMのお話です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...