イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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26.※ 好きだ

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駅からほど近い公園に着く頃には、辺りは薄暗くなってきていた。

子供たちが遊ぶ時間はもう過ぎていて、公園には犬の散歩をしている人などが、ちらほらいる程度だった。


桐谷はベンチに座った。

「・・・・・星野も、座れよ」

クールな表情のまま、立ったままのオレを見上げる。


オレはベンチには座らず、桐谷の前に立った。


「・・・・・ゴメン」

桐谷に向かって、頭を下げる。

「・・・・・本当に、ゴメン。 謝ることしか、出来ない、けど・・・・・」


頭を下げたまま、言葉に詰まる。 伝えたいことはたくさんあるのに、なんて言えばオレの気持ちが伝わるのか分からなくて。


桐谷は、なにも言わない。

どんなカオで、オレのことを見てるんだろう。


「あ、あの、オレ、」

「待って、星野」


オレの言葉を、桐谷が遮った。


「・・・・・頭、あげてくれ」

そう言われて、オレは恐る恐るカオを上げた。

桐谷はため息をついて、ベンチの背もたれに寄りかかり、空を仰いだ。


「・・・・・星野が、オレに話があるって言ったのにな。
・・・・・悪いけど、オレが先に話してもいいか?」

桐谷が・・・・・ オレに、話・・・・?

それ、って


ぎゅって胸が苦しくなって、オレは無意識に、手を胸に当てていた。


別れるって、話、だよな・・・・・・


聞きたく、ない。

でも、なにも声が出てこなくて、桐谷を見つめることしかできない。


桐谷はオレを見ると、自嘲気味に笑った。

「・・・・・オレ、星野の話を聞くことに、耐えられなそう、なんだ」


少し、うつむいて。

「・・・・・星野が、元々色んな女のコ達と遊んでるのは、知ってた。 性に奔放っていうか、そういう感じだったから、オレとつき合うことになったのも、単なる興味なんだって、分かってた」


・・・・オレは立ったまま、黙って桐谷の話を聞いていた。


「だから、星野が他の人と遊んだりしても、それでいいって、思ってた。 ・・・・つもりだったんだ。
・・・・でも」


桐谷はカオを上げて、オレを見た。

きゅって、眉根を寄せて、つらそうな表情で。


「星野が見せてくれる笑顔とか、 キスした時の表情とか、 ・・・・オレに、気を使ってくれたり、 待ってて、くれたり。
段々、自分の中に、独占欲が出てくるのを感じてた」


・・・・桐谷、そんな風に、思ってたんだ・・・・・


「そんなこと考えちゃダメだって思っても、なかなか気持ちが抑えられなくて。 ・・・・・で、中間との写真を見て、勝手にショック受けてた。 わかってたことだったのに、な」


「っ・・・ ごめん、な」


桐谷は首を振った。


「謝らなくていい。 星野はただ興味があってオレとつき合ってただけなんだし。 
でも、やっぱり星野の口から、中間とか、他の人の方がいいって言葉、聞くのは、つらい・・・。
だからさ、 ・・・・・ もう、なにも言わなくていい。 これで終わりで、いいから」


そう言うと、桐谷はベンチから立ち上がった。


「・・・・じゃあ、な」

そのまま、立ち去ろうとする。



オレは桐谷の腕を掴んだ。


「桐谷、待って」


桐谷はオレの方は振り返らない。


「・・・・オレの話も、・・・・ 聞いて、欲しい」


「・・・・・耐えられないって、言っただろ。 ・・・・もういいから」


「違うんだよ」


ああ・・・ なんて言えばいいんだろう。

どうすれば、気持ちが伝わる?


オレは掴んでる桐谷の腕を思い切り引っ張った。

オレを振り返った桐谷の首に腕を回して、抱き付く。


「星野っ・・・!?」



そのまま、桐谷の唇に、キスを、した。



桐谷は体を強張らせたまま。 


ほんの少し、唇を離して、至近距離で桐谷を見つめて。



「オレ・・・・ 桐谷が、好きだ」



自分の気持ちを、口にした。


「いっぱい傷つけて、ゴメン・・・・・ わがままだって分かってるけど、オレは・・・・ 桐谷と別れるの、嫌だ・・・・
桐谷が、好きなんだ・・・・・!」


桐谷は少し迷うように、そっとオレの背中に手を回した。


「星野・・・・ ほんと、に・・・・・?」

不安気な声。


オレは爪立って、桐谷の耳元に口を寄せる。


「ほんとだよ・・・・ 桐谷が、好きだ」


背中に回された桐谷の腕に、力が込められる。 ぎゅって、抱きしめられる。


「星野・・・・!」


桐谷に・・・・抱きしめられてる・・・・

桐谷の体温を感じて、オレのカラダは熱を帯びてくる。


「これからも・・・・ つき合って、くれるのか・・・・・?」

少し震えてる桐谷の声。

オレは桐谷の腕の中でうなずいた。


「・・・つき合って、欲しい・・・・」


桐谷は、オレにカオを寄せてきた。

オレは目を閉じて、桐谷のキスを受け入れる。


ちゅって、軽く唇を合わせた後、

深く、重なって。


「んっ・・・・・・」


口内に入ってきた舌に、自分の舌を絡める。


何度も角度を変えて唇を合わせて。


「んんっ・・・・は、ぁっ・・・・・・」


キスしてるだけなのに、ぞくぞくして。

息が、乱れる。


「きりや・・・・は、んっ・・・・・」


桐谷は唇を離すと、オレを見て口角を持ち上げた。


「星野・・・ カオ、蕩けてる・・・・・」

「だ、って、キス、きもちい・・・・・」


オレは桐谷にすがりついて、キスを求める。


「待って、星野」

桐谷はオレを抱きしめていた腕を解くと、オレの手を掴んで引っ張った。

「こっち、来て」


ベンチの裏の少し木が生い茂っているところに、桐谷はオレを引っ張って行った。

辺りはずいぶん暗くなってきてるし、人もほとんどいないけど。


「確かに・・・・・ 人に見られるもんな」

それに、ココは桐谷の家からも近いし。 もし知り合いにでも会ってしまったら、まずいだろう。


桐谷は木の幹にオレの背中を押し付けた。

「ちがう・・・・・星野のそのカオ、他の人に見せたくないんだ」



「そんなひどいカオ、してね・・・・ んっ」


言葉の途中で、唇を塞がれる。


上顎を舐められて、ぞくぞくって、快感が走る。


「んんっ・・・・・!」


ああ・・・・・ 気持ちイイ・・・・・・


下腹部に熱が集まってくる。

オレは思わず、腰を桐谷に押し付ける。

すると、


「あっ・・・・!」


桐谷はオレの股の間に自分の足を入れて、刺激してきた。


「星野・・・・ 声は、だめ」

「わかって、る・・・・ ん、やめっ・・・・・」


ぐりぐり刺激されて、声が抑えられない。

桐谷・・・・ わかってて、わざとやってるよな・・・・!


「ぁっ、 は、んんっ・・・・・・」

「声がまんして」


そう言う桐谷は、なんだか嬉しそうで。


「お前が、する、からだろっ・・・・・! く、んんっ・・・・」

睨むけど、桐谷は口角を持ち上げて、オレを見てる。

オレは桐谷の首に手を回して、自分の方に引き寄せた。


「も、くち、ふさいで・・・!」


桐谷はオレの口を、唇で塞いだ。

でも、オレの股間への刺激はやめない。

さらに、口内も舐められて、上も下も、気持ちよくなってしまう。


「ふ、んんっ・・・・・」


口を塞がれてる分、鼻に抜ける甘い声。

こんな声、自分が出してるなんて、信じられないけど。

カラダの熱は、どんどん高まってきて。


オレは桐谷の両肩をぐって押した。


「星野・・・・?」

オレは桐谷を睨みつける。

「・・・・・・もう、ムリ。 やばい、から」


オレの股間は張り詰めていて、もう、これ以上刺激されたら、ほんとにヤバい。


桐谷はオレの唇に軽くキスをした。

「・・・・じゃあさ、続きはまた今度、していいか?」

桐谷の瞳には、まだ少し、不安気な光があって。

桐谷を不安にさせてしまってることが、オレの胸を締め付けた。


オレは手を伸ばして、桐谷の頬に触れた。


「・・・・当たり前だろ。 桐谷はオレのカレシ、なんだからさ」






その後、オレたちはもう一度ベンチに戻って話をした。

・・・・カラダが熱を持ってて、このままじゃ帰れないから、ってのもあるんだけど。


「・・・・学校では、やっぱり話さない方がいいのか・・・・?」

桐谷の問いに、オレはうなずく。

「やっぱ、オレと桐谷の組み合わせって変だし。 オレと仲良くしてるのなんて、桐谷にはデメリットしかなくね?」

「そんなことない。 オレは・・・・星野と、普通に話したり、したい」

そう言ってくれるのはうれしい。 

でも


「ほら、あの・・・・ 写真のこととか、あるし。 今オレのイメージ、あんまよくねーから、余計にさ・・・・」

陽人との、キス写真。


申し訳なくて、オレはうつむいた。

少し、沈黙があって。


「・・・・わかった。 ・・・・・星野がそう言うなら、そう・・・・・する」

桐谷は少し、寂しそうな表情。


「桐谷・・・・・ ゴメン、な」

カオを覗き込むと、桐谷はオレの腕を掴んで、キス、してきた。

触れるだけの、キス。


「星野・・・・・ 好きだよ」

囁くように言われて、胸がじんわりと暖かくなるのを感じた。


「オレも・・・・好きだ」

少し照れながらそう告げると、桐谷はオレを抱きしめてきた。


「星野・・・・! ずっと、こうしてたい・・・・・」


オレも桐谷の背中に手を回す。


「・・・・オレも」


ほんとは、ずっとこうしていたい。

でも、辺りはもう真っ暗になってしまっていた。


「・・・・・でも、もう、帰んねーと、な」

そう呟くと、桐谷はオレを抱きしめていた腕を解いた。


「・・・星野、来てくれて、ありがとう」

「いや・・・・ こっちこそ、だよ。 話せて・・・・よかった」

名残惜しくなるから、オレは勢いをつけてベンチから立ち上がった。


「じゃあな、桐谷」

「駅まで、送るよ」

オレは首を振って、桐谷の申し出を断る。


「帰りたくなくなるから、いい。
道わかるし。 ・・・・・ありがと。 じゃーな」

笑って手を振ると、桐谷も笑ってくれた。

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