イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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24.告白

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『なにこれ!?  いつ撮ったの!?』

『昨日、撮った子がいるらしいよー』

『イケメン同士のキス♡ いいねー♡』

『男同士とか、なくねー? きもいww』

『ていうか、こいつら、できてんの?』



あの写真が投稿されたあと、授業中もお構い無しで、みんなどんどんメッセージを打ってる。

授業がつまらないせいもあるけど。

オレも自分からは書き込まないけど、みんなが書き込むメッセージを追いかけて読んでいた。


男同士は、きもい、か・・・

まあ、そう思うよなぁ・・・


『瑞樹と陽人だし、遊びでしょー!』

『でも、本気ちゅーじゃない?』

『本気とか、マジできもいww』

『この2人だと、絵になるよー♡』


みんな、好き勝手書いてるよなぁ・・・

でも結局、


『瑞樹と陽人がふざけてやっただけでしょww』

『イケメンだから、なにやっても許される!』


という女のコたちの意見に収束していった。


まあ、オレと陽人だしなぁ・・・

やっぱりみんな、どーせあいつらだしって反応になるよな、予想通り。。


とりあえずよかったけど・・・・・

オレは、桐谷のことが気になって仕方がなかった。


あの写真・・・ どう、思ったんだろ・・・・

写真見た時・・・・ 驚いて、・・・・ショック、受けてた・・・・?


話したいけど、オレが学校で話すのやめようなんて言ったから、話も出来ないし・・・・


休み時間になって。  オレと陽人は、女のコたちに囲まれていた。


「コレ、昨日なんでしょ?」

「ほんと、イケメン同士って、絵になるねー♡」

「そう? ありがとーな」

女のコたちへの受け答えは、陽人がしてる。

オレは陽人の横に居ながらも、目は桐谷を追ってしまっていた。


桐谷は自分の仲良い奴らと話してて、同じ教室に居るのに、オレたちの周りとは、空気が全然違うみたいに感じる。


「なんで2人でキスしてたのー?」

女のコからの質問は聞こえてはいるんだけど、頭は桐谷のことばっか考えてて、

「うわっ」

ぐって、陽人に肩を抱かれて引き寄せられて、びっくりしてしまう。

密着するオレたちに、女のコたちはきゃっ♡って声を上げた。


「ちょっと、キスの練習しようと思って。 瑞樹を練習台にしたんだよねー」

「練習ー?」

「陽人には必要ないでしょー」

陽人はカッコつけて、指を振って見せた。

「フツーのキスじゃなくてさ。 女のコを思いっきり蕩けさせるようなキス、したくて」


そう言うと、オレの顎に指をかけた。

くいって引っ張ってオレを上向かせると、少しカオを寄せてくる。


「で、手始めに瑞樹を蕩けさせてみよーって思ったんだよね」

本当にキスするようにカオを寄せてくる陽人に、女のコたちは『きゃーっ♡』って、歓声を上げた。


「ちょっ・・・・ 陽人、やめろっ」

オレは陽人の肩を押す。

「なんだよ瑞樹、つれねーな」

「もう練習はいらねーだろ。
・・・・・・みんな、陽人に実践してもらえば?」

女のコたちをみてニコって笑うと、みんな瞳がハートになった。


「陽人、してー♡」

「私もー♡」

女のコたちの反応に、陽人が焦った声を出す。

「ちょっ・・・ 瑞樹!」


焦る陽人にべって舌を出して、オレはその輪を離れた。


・・・・桐谷とは話せない・・・ けど。

陽人とのキスのことをこれ以上言われるのももうイヤで。

オレは教室を出た。


・・・・一人に、なりたい。


オレは屋上に行ってみた。

もうすぐ授業の始まるこの時間、人は全然いなかった。 ・・・・・一人を除いて。


「・・・美香」

声をかけると、美香はオレを振り返った。

「あ・・・・瑞樹・・・・」

少し微笑むけど、いつもの元気な美香の笑顔とは程遠い。


フェンスの外を眺めていた美香の隣に行って、オレは背中をフェンスに預けた。


「・・・・美香、 元気なくねー?」

オレの言葉に、美香は少し笑った。

「・・・誰のせいだと思ってんの」

オレは手を伸ばして、美香の頬に触れ、軽くつまんだ。

「・・・・いつもの元気な美香がいいなー、オレ」


そう言うと、美香はオレを見つめて、

・・・・大きな瞳から、ぽろぽろと涙をこぼした。


「瑞樹のばかっ・・・!」

泣きながら、オレの胸に飛び込んでくる。

「・・・・なんで、陽人とキスなんかするのっ・・・!?」


オレは美香の背中に手を回して抱きしめ、頭をポンポンと撫でた。

「まー・・・・ちょっと、な。 練習的な感じだったんだけど」

そう言うと、美香はオレに抱き付いたまま、カオを上げてオレを見た。

「だったら! 私でもしてよ!」

涙を浮かべた瞳のまま、怒ったように言う美香が、とてもかわいく思えた。


「そーゆーことじゃねーんだよ。 ・・・・・事情が、あって」

「事情・・・?」

「そ。 ちょっと、な」

「でもっ! 私とも、してほしい、よ」

オレは美香の頭を撫でながら、口角を持ち上げる。


「キスはさ・・・ 練習なんかでするもんじゃねーよ」

「瑞樹・・・・?」

「それがさ、よくわかった・・・・。 だから美香もさ、彼氏としろよ、な?」


美香の瞳が、また、うるむ。

「瑞樹・・・・ なんでそんなにイジワルなの・・・・? 私に彼氏いないの、知ってるくせに・・・!
それに・・・・ 彼氏なんて、出来ないもん・・・・・・」

「なんで? 美香、モテるだろ」

この間だって、コクられてたの、知ってるぞ。


美香はオレをキッて睨んだ。

「私の好きな人が振り向いてくれないからに、決まってるでしょ!」


美香の・・・・・ 好きな、人・・・・

それって・・・・・


「桐谷・・・・か?」

美香はオレの胸を拳でぽかぽかと殴ってきた。 ・・・・結構、痛い。

「なんで桐谷くんなのよーっ!」

「えっ、だってさ、美香、桐谷のこと気に入ってるだろ」


「いいなあっとは、ちょっと、思ったよ? でも・・・・私はっ、ずっと・・・・・」

美香は頬を染めて、オレを見つめる。


・・・・恋してる女のコの、カオ、だ・・・・・


「ずっと・・・・・ 瑞樹が、 好きなの・・・・!」


そのカオで、言われ、たら。

本気なんだって、わかった。


「美香・・・・ ずっとオレのこと、好きでいてくれたんだ・・・・・」


「・・・・そう・・・・だよ・・・・。
でも、瑞樹は私のことなんて見てないの、分かってたから・・・・・ ずっと、冗談ぽくしか、言えなくて・・・・」


そっ・・・・か・・・・・

オレは、美香を抱きしめた。


「美香・・・・ ありがとな・・・・」

美香もオレの背中に手を回してきた。

「・・・・じゃあ瑞樹、 練習でいいから、キス、 してくれる・・・?」

オレは首を振った。

「・・・それは、ダメ」

「・・・・瑞樹の、けち」


ふて腐れたような言い方に、オレは笑ってしまった。


「・・・・・好きなやつ以外とキスすんのって、やっぱダメだって、わかったから」

オレの言葉に、美香はカオを上げてオレを見つめた。


「・・・・瑞樹・・・・ 好きな人、いるの・・・・?」


オレは頷いた。


「・・・・・ああ。
だから・・・・ 陽人とキスしたのも、後悔してる。 ・・・・・こんなことに、なっちゃったし、さ」


美香はため息をついた。

「そっかあ・・・・・ 好きな人、出来ちゃったんだ・・・・・」

少しだけ、微笑んで。

「・・・・今までは、瑞樹に彼女が出来ても、瑞樹が本気じゃないのわかってたから頑張れたけど・・・・・
もう・・・・ムリだなあ・・・・・」

また、瞳から涙がこぼれる。

ぎゅうって、オレに抱き付いて、また胸にカオをうずめる。

「瑞樹ぃっ・・・・・・」

オレも、美香を抱きしめた。

「・・・美香、ありがとな・・・・・」


・・・・桐谷のこと好きなんだって、自覚したからか。

オレのことを好きでいてくれたのに、応えられないことが申し訳なくて。

美香のことを思うと、胸が痛くなった。


「・・・・瑞樹・・・・・ なんでそんなに優しいの・・・・?」

「・・・・なんで、だろーな」

美香の気持ちはうれしいし、やっぱり大事な友達だから。

傷つけてしまったことが、申し訳ない。


「きっと・・・ 好きな人が出来たからなんだろうね・・・・・・」

そう呟くと、美香はオレから離れた。


まだ瞳はうるんでるけど、

でも精いっぱいの笑顔を見せてくれた。


「瑞樹・・・・ありがと。 なんか、あきらめ、つきそう」

「・・・・そっか」

「これからも・・・・ 友達でいてね」

「もちろん」


きっと、美香は一人になりたいよな。

そう思って。


「じゃな」

オレは手を振って、屋上を後にした。





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