イケメンのオレにカレシができました! 気持ちイイからまあいっか

mii

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23.写真

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桐谷のことを好きなんだって意識してしまってから、なんだかそわそわ落ち着かない。

5限目はサボったけど、その後の授業やHRのとき、やっぱり自然と桐谷を目で追ってしまっていた。

どうしよう・・・・ オレ、桐谷と普通に話せるのかな・・・・


でも、桐谷と話すことはないまま、学校は終わった。

『学校では話したりするのをやめよう』って、オレから言ったんだし、桐谷が話しかけてこなくても、当然だ。


帰る用意をしていると、陽人が声をかけてきた。

「瑞樹。 今日どっか寄って帰ろうぜ」


陽人の誘いに、一瞬迷う。

本当は一緒に帰りたい、けど、絶対学校のやつに見られるし。

それに、やっぱり、普通に話せる気がしないし。


結局、オレは頷いた。

「ああ、いいよ。 ていうか、あずみ先輩はいいのかよ?」

訊くと、陽人は目を逸らして、少しうつむいた。

「・・・今日は別に約束とかしてないし」

・・・・ふうん、そっか。


オレは桐谷をちらって見る。

奥村さんと、なにか話しをしてる。


「瑞樹、行こうぜ」

「ああ」

陽人の声に、オレはカバンを持って教室を出た。




その日は陽人とちょっとゲーセンとか寄って遊んで帰った。


夜、とくに桐谷から連絡は無かった。

・・・・学校で話せない分、LINEしたりしたい・・・けど・・・・

結局、自分からはなにも送れない。

桐谷からLINEこねーかな、なんて思って、風呂入る時もトイレ行く時も、スマホをずっと持ってた。

でも、桐谷からもなにもなくて。


今朝話した時、桐谷、少し傷ついたカオしてたよな・・・

本当は、あんなカオ、させたくない、のに。


オレは寝る時までスマホをいじりながら、そのまま眠ってしまった。




朝起きて、一番にスマホを確認する。

でも、桐谷からは特になにも、なかった。


『・・・・学校では話すのやめようっていったじゃん』

そう言ったけど、1日ほとんど話さずに、LINEもなかっただけで、もう、耐えられなそうになってる。


桐谷に・・・触れたい。

キス、したい。


いや・・・・ 触れたり、キスは、だめだ。

でも・・・・・早目に学校行ったら、また屋上とかで、少し話せないかな。

早い時間だったら、人も少ないし・・・話しても、いい・・・かも。

そう思って、オレは急いで仕度を始めた。
 



がんばって準備をしたから、学校にはかなり早く着いた。 まだ、運動部くらいしかいないだろう時間。

桐谷は朝勉強してるって言ってたし、教室にいるかな・・・?


ガラッ

勢いよく教室のドアを開けると、


「・・・・星野」


他に誰もいない教室で、桐谷は驚いたカオでオレを見た。

やっぱり勉強してたみたいで、机の上にはノートと参考書が開かれている。


「・・・こんな早く、どうしたんだ?」

言いながら、立ち上がる。


・・・・やばい、なんか恥ずかしい。

桐谷に会いたくて、早く来たとか。

まともにカオが・・・見れない。


オレは少し桐谷の席に近づいて、でも、恥ずかしくてあまり近づけずに、中途半端な所で立ち止まった。


「あ、あの・・さ」

桐谷は立ち上がったまま、オレに近づくことはせず、自分の席の所にいる。

本当は、こっちに来て、触れて欲しいな、なんて思うけど。 学校で話すものダメだって言ったんだから、桐谷がそんなことするわけがない。


「屋上・・いかねー・・・?」

桐谷のカオは見れずに、視線は落としたまま。


少し、間が、あって。

「・・・・・・星野、」

桐谷がなにか言いかけた時、


ガラッ


教室のドアが開いた。



オレは自然とドアを振り返る。


「おはよう、桐谷くん。 ・・・あっ、星野くん、も、おはよう」

入ってきたのは奥村さんで、オレがいたことに少し驚いたようだった。


「おはよう、奥村さん」

「あ、お、おはよう」

オレも少し驚きながら、挨拶を返した。


奥村さんは教室の中に入り、オレの横を通り過ぎて、桐谷の席に近づいた。


「桐谷くん、朝早くからゴメンね。 急に勉強教えて欲しいなんてお願いして」

「全然。 オレはいつもこの時間はもう来てるから」

奥村さんはカバンから参考書を取り出すと、桐谷の机の上に広げた。

「昨日LINEで送ったの、この問題なんだけど・・・」

「ああ。 考えてみたんだけど、これはさ・・・・」


2人で参考書を見ながら話をして、説明のためか、桐谷はノートになにか書き込んでいく。 その手元を、奥村さんが覗き込む。

そんな2人の距離は、とても近くて。

話の内容もだけど、・・・オレが入るスキマなんて、無いように感じてしまった。


勉強のジャマは出来ないし、

オレには全然わかんない話だし、

奥村さんがいるから、桐谷と話するなんてムリだし、

そう思って、そっと教室を出て、屋上に行った。



「はーぁ」

ため息をつきながら、屋上の床に寝転ぶ。


・・・せっかく早く来たのになぁ。


それに・・・

奥村さん、昨日LINEで問題送ったって、言ってた。

昨日2人は、問題の事とか、今日の朝勉強する事とか、LINE、してたんだ・・・・・・


・・・・・オレには、LINE、無かったのにな。  なんて、思ってしまう。



しばらく、なにをするでもなくぼーっとしてて。

段々、校舎から聞こえる人の声が増えてきたなって感じ出した頃。


♪~


スマホが鳴った。

手に取ってみてみると、陽人からの電話だった。

こんな時間に連絡が来る事、しかもLINEじゃなくて電話って事を少し不思議に思いながら、体を起こして電話に出た。


「陽人?  なに?」

『あ、瑞樹。 お前、まだ学校来てない?』

訊かれて、オレはカバンを持ったまま屋上に来たことを思い出した。

「いや、もう来てる。 屋上にいるけど」

『そっか。 教室、来れるか?
・・・・ちょっと、まずいことになったっぽい』


は?

「まずいこと?」

思わず眉をひそめる。


『とりあえず、教室に来いよ』

陽人がそう言う前に、オレはもうカバンを持って立ち上がっていた。

電話を切って、階段を急ぎ足で降りる。


まずいことって、なんだろ。

ぜんっぜん見当もつかないけど、陽人がわざわざ電話してくるんだもんな・・・


教室までの道程、いつもみたいに女のコに声をかけられる数が少ない気がする。

でも、ちらっちらって、見られる視線を感じるような・・・  なんなんだ?


教室に入ると、陽人、和真、美香、由奈が一緒にいた。

「あ、瑞樹」

和真がオレに気付き、その声でみんなオレを振り返った。

「おはよ。  
陽人、まずいことって、なに?
・・・・って言うか、美香、どうしたんだよ?」

美香がの目元が泣いたあとみたいに赤くて、瞳が潤んでるのに気づく。

オレは美香の肩を掴んで、カオを覗き込んだ。

「大丈夫か?」

美香はオレから目を逸らして、小さく頷いた。


「瑞樹。 コレ、見て」

由奈が、スマホをオレに差し出してきた。

なんだろうと思いながら、スマホを受け取ってその画面を見る。


「・・・・はぁっ!?」


そこには、写真が表示されていた。



オレと陽人が、キスをしてる写真が。



「な、んだよ、コレ」


コレって、昨日、陽人とキスした時の写真だよな・・・・

でも、なんで写真なんか?

誰が撮った?

それに、なんで由奈が持ってる?

いろんな疑問が頭の中に浮かんでくる。


「・・・・昨日、写真撮られてたみたいだな」

陽人がため息交じりに呟く。


「昨日ね、この写真が回ってきたの。 出所は誰なのかはわからないけど・・・・・
結構いろんな人が、もう知ってるみたいよ」

「そう・・・・ なんだ・・・・」

「まあ、瑞樹と陽人だしね。 どうせふざけてしたんだろうってのは、私たちはわかるけど・・・・
面白くうわさしてる人もいるみたい」

由奈は髪をかき上げながら、苦々しく言った。

「なにやってんのよ、あんたたち」

キッて睨まれて、オレは言葉に詰まる。

「冗談にしたって、美香はショック受けてるんだからね」


美香・・・・ そっか・・・・・

この写真見て、泣いたのか・・・・・?


「でもさ」

陽人がオレに近づいて、顎に指をかけてきた。

「冗談じゃないかもしれないぜ?」

そう言って、顎にかけた指でオレを上向かせ、カオを近づけてくる。

「バカ陽人」

オレは陽人をニラみつけて、その手を払いのけた。


陽人はそれでもオレから離れず、耳元に口を寄せてきた。

「・・・・オレたちはキャラ的に、冗談でいいけどさ。 ただこの写真、どこまで回ってるか、わかんないぜ?」

小声でオレにだけ聞こえるように話す。

「どこまでって・・・・・」

言いながら、オレはハッて気付いた。

「桐谷に知られるのも、時間の問題だろ」


・・・・・そう、だ。

桐谷も、そのうち、見てしまう。



そう思った時。


♪~


LINEの受信音。

それが、教室のいろんなところで響いた。

オレのスマホも、受信音を響かせる。


陽人、和真、美香、由奈のスマホも同じように鳴って。

みんな各々自分のスマホを見る。


「・・・・・っ!」


さっき、由奈のスマホで見た写真が、自分のスマホに表示された。


しかもこれって・・・・・・・


「クラスの、グループLINE・・・・・」


クラスの誰かが、面白がってクラスのグループLINEに、オレと陽人のキス写真を投稿したらしい。


クラスのグループLINEってことは・・・・・ 絶対、桐谷の目にも、入る・・・・・・



オレは教室を見回して、桐谷の姿を探した。

・・・・いない。

外、か?


廊下に出て見回すと、廊下をこっちに向かってくる桐谷の姿があった。


その手には、スマホ。 

LINEを見ようとしてるのか、操作してる。


「・・・・桐谷っ!」

大きな声で呼びかけると、桐谷は視線を上げた。

オレと、目が合う。


さっきの写真の投稿から、きっとみんないろいろメッセージ送ってるんだろう。

みんなのスマホはLINEの受信音をずっと鳴り響かせている。

こんな状況じゃ、スマホを見ないなんて、無理、だよな。



桐谷はオレを見て少し口角を持ち上げた後、またスマホに視線を落とした。


オレは走って桐谷に近づく。


「桐谷!」


桐谷の右手を、持っているスマホごと両手で包み込む、けど。


「・・・・これ、って」


間に合わなかったみたいだ。


桐谷はオレの手をスマホから離させると、その画面を凝視した。


「中間・・・・と、 星、野・・・・・?」



桐谷・・・・に、 見られ、た・・・・・・・


オレの心を、後悔が、占めていく。

なんで、あんなこと、したんだろう。

陽人の言う通り、オレ、すげーバカだ。

あんなことしなくても、桐谷のこと好きだって、気付けたはずだろ・・・・・!



「桐谷、あのさ」


とにかく、話さなきゃ。

あのキスは、本気でしたわけじゃないんだって、

謝って。

そんで、オレは・・・・・ 桐谷のこと・・・・・・


「話が」

桐谷の腕を掴むけど。


「・・・・・星野」

桐谷はオレの腕を掴んで、自分の腕から離させた。


「学校じゃ、話さない方がいいんだろ?」

そう言って、桐谷はオレのことは見ずに、教室に入っていった。




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