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16.数学の授業
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ばふんっ
帰ってきて、自分の部屋のベッドにダイブした。
カラダは・・・ やっぱり痛いし、だるい。
違和感が、ある。
オレ・・・・・ 桐谷と、 シちゃったんだな・・・・・・
思い出すと、
「・・・・っ」
それだけで、カラダが、熱を帯びて、
『星野・・・・・』
耳元で、囁く、声。
オレの肌をなぞる、指。
オレのナカをこじ開ける、熱。
『だ、めだっ・・・ 星野、オレ、もう・・・・!』
切羽詰まった、声。
「桐谷っ・・・・・・」
下腹部に熱が集まり、元気に勃ち上がる。
でもそれだけじゃなくて、後孔まで、うずくのを感じた。
こんなの・・・・・ 初めてだ・・・・・・・
こんなとこが、うずくなんて・・・・・・・!
初めてだったのに、あんなに気持ちよくて。
オレ・・・・・ どうしちゃったんだろう・・・・・・・
ガマンできずに、オレは自分のモノに手を伸ばす。
「ふっ・・・・ う、ん・・・・・・」
刺激を与えると、さらに質量を増し、
「はっ・・・・ ん、ぁあっ・・・!」
あっさりと、精を放出した。
それでも。
後孔のうずきが、収まらない。
「くそ・・・・・・・」
自分で触れるなんて、出来ないし・・・・・
オレはベッドにうつ伏せになり、布団を頭からかぶった。
大丈夫・・・・・
しばらくすれば、きっとおさまる。
オレはそのまま、夕飯もとらずに眠ってしまった。
「おはよーっ」
月曜日の朝、下駄箱で和真に会った。 元気な声が響く。
「和真。 おはよー」
和真はにこにこして、朝から機嫌が良さそうだった。
普通、月曜日の朝って憂鬱だよなあ。
オレはニヤッてして、和真の脇腹をつつく。
「かーずま。 カオ、にやけてんぜ」
「え、そうか?」
「昨日のデート、上手くいったんだな?」
確信をもって聞くと、和真は少し照れたように笑った。
「・・・・・つき合うことに、なりました」
まじかーっ!
「すげー! よかったじゃん!」
結構強めに和真の背中をばしばしと叩いた。
「いてぇよ、瑞樹」
和真がオレに抗議するけど、オレは気にせず叩いた。
だってなんか、すげーうれしい。
和真、良かったなあ。
ふらふらしてるオレや陽人と違って、和真が結構本気でマネージャーのコのこと好きなのは、分かってたから。
和真って、カッコいいし、すげーいい奴だし。
あのマネージャーのコ、和真の良さを分かってくれてたんだなあって思うと、なんか余計うれしくなってきた。
「オレより瑞樹の方が喜んでねー?」
「だってさ、和真いい奴だし。 ほんと、良かったなあって思って」
階段を登りながらしみじみと言うと、和真は照れたように笑った。
「瑞樹に褒められると、なんか恥ずかしーな」
教室に着くと、陽人がもう来てた。 教室に入ってきたオレたちに気付いて、こっちに近づいてくる。
「おはよー陽人。 和真がさあ」
「瑞樹、体調大丈夫か?」
和真の報告をしようとしたオレの言葉を遮って、陽人が心配そうにオレを見る。
体調・・・・?
あ!
和真の報告にうれしくなって、すっかり忘れてた。
オレ、陽人に謝んなきゃいけなかったんだ。
「あ、うん。 陽人、昨日ゴメンな。 人数とか、大丈夫だったか?」
「ああ、それは大丈夫。 他の奴らも心配してたぜ?」
「そっか。 幹事は木村だったっけ? 後で木村にも謝んないとな・・・・」
「もう大丈夫なのか?」
心配そうな陽人に、オレは笑顔を見せた。
「うん。 1日寝てたら良くなったよ。
それより、和真の話、聞いてやって」
陽人はホッとした表情になって、和真の方を見た。
「和真、どしたんだよ。 ってか、昨日のデートの話だよなっ?」
陽人が和真の肩を抱いて、自分の席の方に連れていく。
和真ホント、良かったよなあ・・・・・
そうだ、木村。
オレは昨日の合コンの幹事だった木村の姿を探す。
と、
「星野」
桐谷が話しかけてきた。
「あ・・・桐谷、 おはよ」
桐谷のカオを見ただけで、この間のことが思いだされてしまう。
・・・・ダメだ。
こんなみんないるところでなんて、思い出すな。
ぐって奥歯をかみしめて、改めて桐谷のカオを見た。
あれ・・・・・・なんか、心配そうなカオ、してる?
「・・・・中間と話してるのが聞こえたんだけど。 昨日体調悪かったのか?」
あー・・・・・
オレは桐谷に近づきながら、
「・・・・そんな、心配するほどのことじゃないから。 大丈夫」
小さな声で桐谷にそう言って、そのまま桐谷の横を通り過ぎ、オレは見つけた木村の方に近づいた。
「おはよー木村。 昨日ゴメンなー」
「おー瑞樹。 もう大丈夫なのか?」
「うん、おかげさまで。 そっちこそ、大丈夫だったのかよ?」
木村はニッて笑って、オレの肩を叩いた。
「なんとかなー。 瑞樹目当てで来てたコもいたから、ちょっとキレられたけど。 結局そのコは陽人に行ってたし」
「そうなんだ」
陽人、ほんと抜かりねーなぁ。
「でも残念だったな。 ほんと、かわいいコばっかだったぜ。 すげー当たりだった」
「そっかー」
「ま、オレは瑞樹がいなくてよかったって思ったけどな。 その分オレにもチャンスあったから」
木村の言い方に笑ってしまう。
「じゃあ良かった」
「おう。 また声かけるなー」
そう言われて、オレは曖昧に笑うしか出来なかった。
「星野、ちょっと」
木村と話が終わるのを待ってたんだろうか。
桐谷に腕を掴まれた。
そのまま腕を引っ張られて、教室の外に出る。
廊下の窓際まで連れてこられた。
触れられた場所が、アツイ、気がしてしまう。
オレは小さく息を吐いた。
外を眺めるように、桐谷と隣に並んで立つ。
ここは2階だし、外を向いて話せば、他の人に話し声はほとんど聞こえないだろう。
「体調悪かったって・・・・本当に大丈夫なのか?」
心配そうにオレを見る桐谷。
「ほんと、大丈夫だよ」
「でも。 ・・・その」
桐谷らしくなく、言いにくそうに口ごもる。
「昨日の合コン?」
代わりにオレが言葉を発した。
「行ってねーよ。 体調悪いって言って、行かなかった。 ・・・でも、そんなに動けないほどだったわけじゃなくて・・・・
まあ、若干仮病的な?」
その前の日の桐谷とのセックスの影響か、昨日は確かに、体調は万全で元気いっぱいって訳じゃなかった。
でももちろん、動けないほどじゃなくて。
正直、約束をブッチするほどの体調不良だったわけじゃないんだよな。
「・・・・じゃあなんで、行かなかったんだ?」
「んー・・・・」
行かなかった理由。
気分が乗らなかったのが、一番の理由なんだけど。
なんで気分が乗らないのかなって、自分でも考えた。
・・・・そしたらさ、
桐谷の、つらそうなカオが浮かんできて。
土曜日に会った時、特に合コンのことを知られた後、時々桐谷が見せてた表情。
それが、頭から離れなくて。
もしかして、オレが合コンに行くせいで、あんなカオさせてんのかな、なんて考えたりした。
そしたら、急に行く気が失せてきて。
別にそこまでして行かなくていーじゃんって思って。
で、体調を理由にして、行くのやめたんだ。
でも・・・・ それだけじゃ、なくて。
土曜日に桐谷に抱かれたこと、思い出すと、カラダがうずいて・・・・・
どうにもガマンできなくなって、何度も、自分で抜いてしまった。
こんなに欲求不満みたいに何度も自分でスルなんて、最近はほとんどなかったから、自分でも驚いた。
もちろん、そんなこと、桐谷には言えないけど・・・・・・
「・・・・桐谷に」
「・・・オレ?」
「・・・・あんまり、つらそうなカオ、させたくないなって、思ったから」
オレの言葉を聞くと、桐谷は口元を手で押さえてうつむいた。
そのまま、何も言わない。
「・・・・・桐谷?」
なんか変なこと、言ったかな。
それとも、オレが合コンに行くせいで桐谷がつらいカオしてるって・・・・ オレの、思い込みだったりして。
そう思うと、なんか恥ずかしくなってきた。
でも、
桐谷の髪の間から少し見えてる耳が、赤くなってるのが分かった。
「桐谷」
桐谷の肩を掴んで、オレの方を向かせようとするけど、抵抗して、こっちを向かない。
「なあ、こっちむいて」
桐谷に一歩近づいて、赤くなってる耳元でそう言うと、桐谷はカオを上げてオレを見た。
近づいたから、カオが至近距離で。
少し紅潮した目元を見て、かわいいなって、思ってしまった。
・・・・やばいな。
キス、したくなってきた。
「・・・・星野、ありがとう。 ・・・・・オレのこと、気遣ってくれて」
・・・・・だってつき合ってるんだし。 当然、だよな。
でも、その当然のこと、今までオレはちゃんとやってたのかな・・・・・
「そんなことない。 嫌な思い、させたと思うし」
桐谷は首を振った。
「オレこそ。 星野に嫌な思い、させたし」
「桐谷が?」
「ああ。 ・・・・・オレの家から帰る時とか、八つ当たり、したから」
桐谷の家から帰る時、桐谷が怒ってたこと・・・・か。
あれって、八つ当たり、されてたんだ。
桐谷もそんなことするんだな。
いつも冷静な感じなのに。
桐谷がオレのせいで感情を乱してるってのが、オレはなんだかうれしかった。
ああ、もう、すっげえキスしたい。
オレは桐谷の腕を掴んだ。
もう、カラダが熱を帯びてきてる。
「桐谷・・・・ キス、したい。 どっか行こうぜ」
オレの言葉に、桐谷はさらに頬を紅潮させた。
「星野っ・・・ なに、言ってるんだ」
「だって・・・・、したいから」
桐谷は自分の腕時計にちらって視線を走らせた。
「・・・・・だめだ。 もうすぐHRが始まる時間だ」
「またかよ。 委員長サマ。 どんだけマジメなの」
ため息まじりに言うと、桐谷は鋭い視線をオレに向けてきた。
「それに、今日の1限は数学だ。 今からどこかに行ってたら、出れなくなるぞ」
数学って。
別になんの教科でもいいじゃん。
「真面目に聞いた方がいい」
「・・・はいはい」
桐谷には断られたけど、カラダは少し熱を持ってしまっていて、なんか授業を受ける気にはならない。
さぼろっかな・・・・・
そう考えて、ふと、この間のことを思いだした。
準備室で、桐谷がオレのキスを拒否った時。
あの時も、授業があるって言われたけど。
そういえば・・・・・・
あの次の授業も、数学、だった。
『ちゃんと聞いてれば、あのぐらいの問題は解けるぞ』
『だったら、なおさらちゃんと授業は受けろ』
前に数学の授業で当てられて答えられなかったとき。
桐谷が、そう言ってた。
・・・・・そっか。
あの時、オレのキスを拒否ったのは。
嫌だったわけじゃなくて、オレを数学の授業に出したかったから・・・・・?
オレの、ために・・・・・?
「・・・・ははっ」
「星野?」
急に笑い出したオレに、桐谷は怪訝そうなカオをする。
桐谷、オレのこと考えてくれてたんだ。
それなのに、オレは拒否られたって思って、イラついてた。
でもさ、わかりにくいだろ。
ちゃんと言ってくれればいいのにさ。
「なんでもない。 桐谷・・・・ありがとな。
授業、ちゃんと出るよ」
ニッて笑って言うと、桐谷も口角を持ち上げた。
帰ってきて、自分の部屋のベッドにダイブした。
カラダは・・・ やっぱり痛いし、だるい。
違和感が、ある。
オレ・・・・・ 桐谷と、 シちゃったんだな・・・・・・
思い出すと、
「・・・・っ」
それだけで、カラダが、熱を帯びて、
『星野・・・・・』
耳元で、囁く、声。
オレの肌をなぞる、指。
オレのナカをこじ開ける、熱。
『だ、めだっ・・・ 星野、オレ、もう・・・・!』
切羽詰まった、声。
「桐谷っ・・・・・・」
下腹部に熱が集まり、元気に勃ち上がる。
でもそれだけじゃなくて、後孔まで、うずくのを感じた。
こんなの・・・・・ 初めてだ・・・・・・・
こんなとこが、うずくなんて・・・・・・・!
初めてだったのに、あんなに気持ちよくて。
オレ・・・・・ どうしちゃったんだろう・・・・・・・
ガマンできずに、オレは自分のモノに手を伸ばす。
「ふっ・・・・ う、ん・・・・・・」
刺激を与えると、さらに質量を増し、
「はっ・・・・ ん、ぁあっ・・・!」
あっさりと、精を放出した。
それでも。
後孔のうずきが、収まらない。
「くそ・・・・・・・」
自分で触れるなんて、出来ないし・・・・・
オレはベッドにうつ伏せになり、布団を頭からかぶった。
大丈夫・・・・・
しばらくすれば、きっとおさまる。
オレはそのまま、夕飯もとらずに眠ってしまった。
「おはよーっ」
月曜日の朝、下駄箱で和真に会った。 元気な声が響く。
「和真。 おはよー」
和真はにこにこして、朝から機嫌が良さそうだった。
普通、月曜日の朝って憂鬱だよなあ。
オレはニヤッてして、和真の脇腹をつつく。
「かーずま。 カオ、にやけてんぜ」
「え、そうか?」
「昨日のデート、上手くいったんだな?」
確信をもって聞くと、和真は少し照れたように笑った。
「・・・・・つき合うことに、なりました」
まじかーっ!
「すげー! よかったじゃん!」
結構強めに和真の背中をばしばしと叩いた。
「いてぇよ、瑞樹」
和真がオレに抗議するけど、オレは気にせず叩いた。
だってなんか、すげーうれしい。
和真、良かったなあ。
ふらふらしてるオレや陽人と違って、和真が結構本気でマネージャーのコのこと好きなのは、分かってたから。
和真って、カッコいいし、すげーいい奴だし。
あのマネージャーのコ、和真の良さを分かってくれてたんだなあって思うと、なんか余計うれしくなってきた。
「オレより瑞樹の方が喜んでねー?」
「だってさ、和真いい奴だし。 ほんと、良かったなあって思って」
階段を登りながらしみじみと言うと、和真は照れたように笑った。
「瑞樹に褒められると、なんか恥ずかしーな」
教室に着くと、陽人がもう来てた。 教室に入ってきたオレたちに気付いて、こっちに近づいてくる。
「おはよー陽人。 和真がさあ」
「瑞樹、体調大丈夫か?」
和真の報告をしようとしたオレの言葉を遮って、陽人が心配そうにオレを見る。
体調・・・・?
あ!
和真の報告にうれしくなって、すっかり忘れてた。
オレ、陽人に謝んなきゃいけなかったんだ。
「あ、うん。 陽人、昨日ゴメンな。 人数とか、大丈夫だったか?」
「ああ、それは大丈夫。 他の奴らも心配してたぜ?」
「そっか。 幹事は木村だったっけ? 後で木村にも謝んないとな・・・・」
「もう大丈夫なのか?」
心配そうな陽人に、オレは笑顔を見せた。
「うん。 1日寝てたら良くなったよ。
それより、和真の話、聞いてやって」
陽人はホッとした表情になって、和真の方を見た。
「和真、どしたんだよ。 ってか、昨日のデートの話だよなっ?」
陽人が和真の肩を抱いて、自分の席の方に連れていく。
和真ホント、良かったよなあ・・・・・
そうだ、木村。
オレは昨日の合コンの幹事だった木村の姿を探す。
と、
「星野」
桐谷が話しかけてきた。
「あ・・・桐谷、 おはよ」
桐谷のカオを見ただけで、この間のことが思いだされてしまう。
・・・・ダメだ。
こんなみんないるところでなんて、思い出すな。
ぐって奥歯をかみしめて、改めて桐谷のカオを見た。
あれ・・・・・・なんか、心配そうなカオ、してる?
「・・・・中間と話してるのが聞こえたんだけど。 昨日体調悪かったのか?」
あー・・・・・
オレは桐谷に近づきながら、
「・・・・そんな、心配するほどのことじゃないから。 大丈夫」
小さな声で桐谷にそう言って、そのまま桐谷の横を通り過ぎ、オレは見つけた木村の方に近づいた。
「おはよー木村。 昨日ゴメンなー」
「おー瑞樹。 もう大丈夫なのか?」
「うん、おかげさまで。 そっちこそ、大丈夫だったのかよ?」
木村はニッて笑って、オレの肩を叩いた。
「なんとかなー。 瑞樹目当てで来てたコもいたから、ちょっとキレられたけど。 結局そのコは陽人に行ってたし」
「そうなんだ」
陽人、ほんと抜かりねーなぁ。
「でも残念だったな。 ほんと、かわいいコばっかだったぜ。 すげー当たりだった」
「そっかー」
「ま、オレは瑞樹がいなくてよかったって思ったけどな。 その分オレにもチャンスあったから」
木村の言い方に笑ってしまう。
「じゃあ良かった」
「おう。 また声かけるなー」
そう言われて、オレは曖昧に笑うしか出来なかった。
「星野、ちょっと」
木村と話が終わるのを待ってたんだろうか。
桐谷に腕を掴まれた。
そのまま腕を引っ張られて、教室の外に出る。
廊下の窓際まで連れてこられた。
触れられた場所が、アツイ、気がしてしまう。
オレは小さく息を吐いた。
外を眺めるように、桐谷と隣に並んで立つ。
ここは2階だし、外を向いて話せば、他の人に話し声はほとんど聞こえないだろう。
「体調悪かったって・・・・本当に大丈夫なのか?」
心配そうにオレを見る桐谷。
「ほんと、大丈夫だよ」
「でも。 ・・・その」
桐谷らしくなく、言いにくそうに口ごもる。
「昨日の合コン?」
代わりにオレが言葉を発した。
「行ってねーよ。 体調悪いって言って、行かなかった。 ・・・でも、そんなに動けないほどだったわけじゃなくて・・・・
まあ、若干仮病的な?」
その前の日の桐谷とのセックスの影響か、昨日は確かに、体調は万全で元気いっぱいって訳じゃなかった。
でももちろん、動けないほどじゃなくて。
正直、約束をブッチするほどの体調不良だったわけじゃないんだよな。
「・・・・じゃあなんで、行かなかったんだ?」
「んー・・・・」
行かなかった理由。
気分が乗らなかったのが、一番の理由なんだけど。
なんで気分が乗らないのかなって、自分でも考えた。
・・・・そしたらさ、
桐谷の、つらそうなカオが浮かんできて。
土曜日に会った時、特に合コンのことを知られた後、時々桐谷が見せてた表情。
それが、頭から離れなくて。
もしかして、オレが合コンに行くせいで、あんなカオさせてんのかな、なんて考えたりした。
そしたら、急に行く気が失せてきて。
別にそこまでして行かなくていーじゃんって思って。
で、体調を理由にして、行くのやめたんだ。
でも・・・・ それだけじゃ、なくて。
土曜日に桐谷に抱かれたこと、思い出すと、カラダがうずいて・・・・・
どうにもガマンできなくなって、何度も、自分で抜いてしまった。
こんなに欲求不満みたいに何度も自分でスルなんて、最近はほとんどなかったから、自分でも驚いた。
もちろん、そんなこと、桐谷には言えないけど・・・・・・
「・・・・桐谷に」
「・・・オレ?」
「・・・・あんまり、つらそうなカオ、させたくないなって、思ったから」
オレの言葉を聞くと、桐谷は口元を手で押さえてうつむいた。
そのまま、何も言わない。
「・・・・・桐谷?」
なんか変なこと、言ったかな。
それとも、オレが合コンに行くせいで桐谷がつらいカオしてるって・・・・ オレの、思い込みだったりして。
そう思うと、なんか恥ずかしくなってきた。
でも、
桐谷の髪の間から少し見えてる耳が、赤くなってるのが分かった。
「桐谷」
桐谷の肩を掴んで、オレの方を向かせようとするけど、抵抗して、こっちを向かない。
「なあ、こっちむいて」
桐谷に一歩近づいて、赤くなってる耳元でそう言うと、桐谷はカオを上げてオレを見た。
近づいたから、カオが至近距離で。
少し紅潮した目元を見て、かわいいなって、思ってしまった。
・・・・やばいな。
キス、したくなってきた。
「・・・・星野、ありがとう。 ・・・・・オレのこと、気遣ってくれて」
・・・・・だってつき合ってるんだし。 当然、だよな。
でも、その当然のこと、今までオレはちゃんとやってたのかな・・・・・
「そんなことない。 嫌な思い、させたと思うし」
桐谷は首を振った。
「オレこそ。 星野に嫌な思い、させたし」
「桐谷が?」
「ああ。 ・・・・・オレの家から帰る時とか、八つ当たり、したから」
桐谷の家から帰る時、桐谷が怒ってたこと・・・・か。
あれって、八つ当たり、されてたんだ。
桐谷もそんなことするんだな。
いつも冷静な感じなのに。
桐谷がオレのせいで感情を乱してるってのが、オレはなんだかうれしかった。
ああ、もう、すっげえキスしたい。
オレは桐谷の腕を掴んだ。
もう、カラダが熱を帯びてきてる。
「桐谷・・・・ キス、したい。 どっか行こうぜ」
オレの言葉に、桐谷はさらに頬を紅潮させた。
「星野っ・・・ なに、言ってるんだ」
「だって・・・・、したいから」
桐谷は自分の腕時計にちらって視線を走らせた。
「・・・・・だめだ。 もうすぐHRが始まる時間だ」
「またかよ。 委員長サマ。 どんだけマジメなの」
ため息まじりに言うと、桐谷は鋭い視線をオレに向けてきた。
「それに、今日の1限は数学だ。 今からどこかに行ってたら、出れなくなるぞ」
数学って。
別になんの教科でもいいじゃん。
「真面目に聞いた方がいい」
「・・・はいはい」
桐谷には断られたけど、カラダは少し熱を持ってしまっていて、なんか授業を受ける気にはならない。
さぼろっかな・・・・・
そう考えて、ふと、この間のことを思いだした。
準備室で、桐谷がオレのキスを拒否った時。
あの時も、授業があるって言われたけど。
そういえば・・・・・・
あの次の授業も、数学、だった。
『ちゃんと聞いてれば、あのぐらいの問題は解けるぞ』
『だったら、なおさらちゃんと授業は受けろ』
前に数学の授業で当てられて答えられなかったとき。
桐谷が、そう言ってた。
・・・・・そっか。
あの時、オレのキスを拒否ったのは。
嫌だったわけじゃなくて、オレを数学の授業に出したかったから・・・・・?
オレの、ために・・・・・?
「・・・・ははっ」
「星野?」
急に笑い出したオレに、桐谷は怪訝そうなカオをする。
桐谷、オレのこと考えてくれてたんだ。
それなのに、オレは拒否られたって思って、イラついてた。
でもさ、わかりにくいだろ。
ちゃんと言ってくれればいいのにさ。
「なんでもない。 桐谷・・・・ありがとな。
授業、ちゃんと出るよ」
ニッて笑って言うと、桐谷も口角を持ち上げた。
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